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四章
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大勢の観客に囲まれていたクリケット場が、ひと気もなくガランと静まり返っている。その端に設置された白の天幕の張られたテントの下で、吉野は一人ぽつりと椅子に腰かけ、はぐれてしまった友人を待っている。
やがて簡易駐車場に続く遊歩道からせかせかと歩いてきた待ち人に、吉野はほっとして腕を高く挙げた。
「おい! ここだ」
ごめん、ごめんと謝りながら駆けよってきた蘇芳は、苦笑いしながら照れたように頭をかいた。
「すげー可愛い子がいてさ、お友達になれるかなーって追っ駆けたんだけどな、」
「馬鹿だな、雨宿りしていたんじゃないのか! そんなに濡れて」
吉野は着ていた白のジャケットとベストを脱いで、蘇芳に差しだした。
「ほら、これに着替えろよ。それ脱いでさ」
「げー、素肌にベスト~! カッコ悪ぃ~!」
蘇芳は唇を突きだして顔をしかめながらも、ぶるりと身震いして渋々と着ていたTシャツを脱いでベストとジャケットに腕を通す。
「そっちの方がまだマシだ」とポロシャツ一枚の吉野を羨ましそうに見つめる。だがすぐに小さく吐息をつくと、「でも、いいや、寒いから。やっぱ、スゲー冷えてるわ、俺」と、いきなりその場で沈みこむと、勢いよく垂直に軽く飛びあがった。
「メシに行くぞ」
試合が終わってから、徐々に小雨になっている空を吉野はチラと見あげた。なぜだかニヤニヤと嬉しそうにジャンプスクワットを繰り返す蘇芳に、「急げよ、食いっぱぐれる」と促して早足で歩きだす。
「その子、金髪だった? 薄い水色のスカートを穿いた子かな?」
「そうそう、そんな感じ」
急に思いだしたように訊ねられ、蘇芳は慌てた。適当にごまかすような相槌を打つ。
「それキャルだよ、きっと。応援席にすげーたくさん、取り巻き連中を引き連れてきてた」
「誰?」
「ほら、昨日言ったろ。アレンの姉貴だよ」
吉野はにんまりと顔をほころばせる蘇芳を呆れたように一瞥すると、「ま、あの様子じゃ、話しかけるのは無理だと思うけどな」と、くっくっと肩をすくめて哂う。
「いいよ、別にぃ。見るだけでも目を保養だろ! 可愛い子はさ!」
蘇芳は思いきり唇を尖らせている。
「それでメシ、どこで食うの?」
「そこ」
吉野は駐車場の向こう側を指さした。林に向かう遊歩道から左に反れ、小高い丘を上がる。見晴らしのいい高台にはいくつもテントが張られ、その下で立食パーティーが始まっていた。
寮ごとに用意された天幕の下、長テーブルには白のクロスがかけられ、その上に並べられたいくつものビュッフェ用チェーファーには色取り取りの料理が山盛りに用意されている。雨もあがり、招待客と生徒たちは広い芝地にばらばらと散らばって、それぞれ好きなところで食事を楽しんでいた。
「ヘンリーの飼い犬はどこにいるの?」
テントから離れた場所に置かれた木製の折りたたみ椅子に、深く疲れた様子でもたれかかっていたアレンは、他人に聞かれないように顔を寄せて訊ねる姉に、目を瞑ったまま、「何のことか判らない」と素知らぬ顔で白を切った。
「あの、うちに忍びこんできた、図々しい、厚顔な、東洋人の子のことよ!」
キャルは声を潜めたまま腹立たしげに、アレンの耳許に囁いた。顔を動かすたびに、大きくカールしたブロンドの髪が柔らかな頬にそって揺れる。眉をひそめたきつい表情でさえ、少女の整った顔を生き生きとして見せている。アレンはようやくこの姉に、顔を向け身体を起こした。
「知らないよ。どうしてきみが、そんな事気にするの?」
キャルは言葉を詰まらせぷいっと横を向く。だが、かなりたってから、「あの時のこと、文句言ってやろうと思って」と蚊の鳴くような小声で答えた。
「キャルには関係ないだろ。彼に何かしたら許さないよ。僕以上に兄が、許さない。解っているだろ?」
今度は、アレンがキャルの耳許で囁いた。そして顔を離すと片眉を上げてさも嫌そうに姉を見つめる。
「だいたいなんでキャルがここにいるの? 僕は招待なんかしていないのに!」
「あら、あんたなんかに呼ばれなくたって、私に来てほしい人くらい、いくらでもいるのよ!」
キャルはすっとひじ掛けに腕を置き、右手をくいっと返すように外に向けた。二人の椅子を取り囲むように立っている男性陣の一人が、すかさずそのすらりとした指先にグラスを差しだす。そのシェフ特性のフレッシュジュースを飲みながら、キャルはぷいっと顔を逸らす。つまらなそうに、駐車場の向こうの、今は人影の見当たらないクリケット場に視線を漂わせて――。
「な、似てるだろ」
アレンと並ぶ、同じ瞳、同じ髪色のキャルを遠目に眺め、吉野は蘇芳の脇を小突く。
「あー、まぁ、可愛いけど……。駄目だな、弟の方が格段に上。なんで男なんだよ! 完璧、どストライクなのに!」
「なんで駄目なん? 同じ顔だろ?」
「透明感がない。弟の方はさぁ、あの雰囲気がいいんだよ。今まであんなの見たことない」
蘇芳は残念そうに溜息をつきながらも、もりもりと皿の上の食べ物を消化してる。吉野も、ふーんと首を捻りながら、やはりその口は喋るよりも食べる方に忙しい。
「ま、男じゃなくたって、お前にゃ高値の花だよ。姉貴の方もな」
「なんで? お前のダチなんだろ?」
「ダチだけどさ、あいつら平気で、一食四、五万円するようなところでメシ食ってるんだぞ。そんなのとデートできるか? 今お前の口ん中入ってるのも三ツ星レストランのシェフの料理だぞ。こんなの毎日食っているような奴と、普通つきあえねぇよ」
「へぇー! 道理で旨いと思った! イギリスはメシマズって聞いてたのにとんだ誤算だったな」
「マズいよ。昼はシェフの料理だけれど、夜は課外授業やサークル活動なんかで食事時間がまちまちになるから、セルフの激マズ料理だもの。俺、本当驚いたよ。こんなの食い物じゃねぇよ、て感じでさぁ」
吉野は蘇芳と取り留めのないお喋りをしながらも、じっと離れた場所に座るアレンを見つめていた。
「あいつ、何か変だ……」
蘇芳はぎくりとローストビーフを口に運ぶ手を止め、さりげなさを装いつつ訊ねる。
「どうかした? 」
「セドリックがいるからかな。そいつな、アレンをボコボコにして医療棟送りにしたやつ。あいつな、その事があってから、そいつの顔見るたびに真っ青になってガタガタ震えだすんだ。見ているこっちまで辛くなるつうか……。そいつ、もう卒業したんだけどさ、OBだから、やっぱ今日来てるんだよ。絶対にそいつにだけは会わせたくないんだ」
最後の語句に力を籠め、吉野は顔をしかめて吐き捨てるように言った。そして深く溜息をつき、気を取り直すようにガツガツと残りの食べ物を掻きこんだ。
「コーヒー飲むか?」
蘇芳はなんとも微妙な顔をして、吉野の顔をじっと見つめている。
「何? 紅茶の方がいいのか? せっかくのイギリスだし」
「あー、うん。紅茶にする」
吉野は軽く掌を振って承諾のサインを送ると、料理の置かれているテントに向かった。だが皿を返却しただけで通り抜け、そのままぐるりと大回りしてアレンの後ろ手に回る。そして少し離れた場所に立っているサングラスをかけた体躯のいいスーツ姿の男の傍に寄っていった。男は少し身を屈め、顔を近づけて話を聞いている。立ち話はすぐに終わった。多くの人が行き交う中での一瞬の事だ。吉野はすぐに戻り、「ほら」と紙コップに注がれた熱い紅茶を差し出している。
「ありがと」
蘇芳は紅茶を受けとると、そのまま穴の開くほど吉野を見つめた。
「あの子、ボディーガードまでいんのかよ?」
頷く吉野に、「やっぱお前、面倒見がいいっつうか、心配性だよなぁ。あの子は大丈夫だよ。あんな可愛い顔して、すげー男だもん」と相好を崩す。
「なんでお前にそんな事判るんだ? あいつ、すげー泣き虫なんだぞ」
「――昨日、けっこう、いろいろ話したんだ」
蘇芳はにやりと笑って、「乾杯!」と吉野のカップに自分のカップをトンッと当てた。
「何に?」
吉野は怪訝そうに眉をよせる。
「お前の友達が増えたことを祝って。お前、舎弟はいっぱいいたのに友達は少ないもんな」
「それもそうだな」
吉野もにやっと嗤い、蘇芳に向けカップをくいっと持ちあげ口に運ぶ。
「トヅキ」
その暗く沈んだ声音に、二人は驚いて振り返った。そこには、青白い顔のノースが力ない亡霊のように佇んでいた。
やがて簡易駐車場に続く遊歩道からせかせかと歩いてきた待ち人に、吉野はほっとして腕を高く挙げた。
「おい! ここだ」
ごめん、ごめんと謝りながら駆けよってきた蘇芳は、苦笑いしながら照れたように頭をかいた。
「すげー可愛い子がいてさ、お友達になれるかなーって追っ駆けたんだけどな、」
「馬鹿だな、雨宿りしていたんじゃないのか! そんなに濡れて」
吉野は着ていた白のジャケットとベストを脱いで、蘇芳に差しだした。
「ほら、これに着替えろよ。それ脱いでさ」
「げー、素肌にベスト~! カッコ悪ぃ~!」
蘇芳は唇を突きだして顔をしかめながらも、ぶるりと身震いして渋々と着ていたTシャツを脱いでベストとジャケットに腕を通す。
「そっちの方がまだマシだ」とポロシャツ一枚の吉野を羨ましそうに見つめる。だがすぐに小さく吐息をつくと、「でも、いいや、寒いから。やっぱ、スゲー冷えてるわ、俺」と、いきなりその場で沈みこむと、勢いよく垂直に軽く飛びあがった。
「メシに行くぞ」
試合が終わってから、徐々に小雨になっている空を吉野はチラと見あげた。なぜだかニヤニヤと嬉しそうにジャンプスクワットを繰り返す蘇芳に、「急げよ、食いっぱぐれる」と促して早足で歩きだす。
「その子、金髪だった? 薄い水色のスカートを穿いた子かな?」
「そうそう、そんな感じ」
急に思いだしたように訊ねられ、蘇芳は慌てた。適当にごまかすような相槌を打つ。
「それキャルだよ、きっと。応援席にすげーたくさん、取り巻き連中を引き連れてきてた」
「誰?」
「ほら、昨日言ったろ。アレンの姉貴だよ」
吉野はにんまりと顔をほころばせる蘇芳を呆れたように一瞥すると、「ま、あの様子じゃ、話しかけるのは無理だと思うけどな」と、くっくっと肩をすくめて哂う。
「いいよ、別にぃ。見るだけでも目を保養だろ! 可愛い子はさ!」
蘇芳は思いきり唇を尖らせている。
「それでメシ、どこで食うの?」
「そこ」
吉野は駐車場の向こう側を指さした。林に向かう遊歩道から左に反れ、小高い丘を上がる。見晴らしのいい高台にはいくつもテントが張られ、その下で立食パーティーが始まっていた。
寮ごとに用意された天幕の下、長テーブルには白のクロスがかけられ、その上に並べられたいくつものビュッフェ用チェーファーには色取り取りの料理が山盛りに用意されている。雨もあがり、招待客と生徒たちは広い芝地にばらばらと散らばって、それぞれ好きなところで食事を楽しんでいた。
「ヘンリーの飼い犬はどこにいるの?」
テントから離れた場所に置かれた木製の折りたたみ椅子に、深く疲れた様子でもたれかかっていたアレンは、他人に聞かれないように顔を寄せて訊ねる姉に、目を瞑ったまま、「何のことか判らない」と素知らぬ顔で白を切った。
「あの、うちに忍びこんできた、図々しい、厚顔な、東洋人の子のことよ!」
キャルは声を潜めたまま腹立たしげに、アレンの耳許に囁いた。顔を動かすたびに、大きくカールしたブロンドの髪が柔らかな頬にそって揺れる。眉をひそめたきつい表情でさえ、少女の整った顔を生き生きとして見せている。アレンはようやくこの姉に、顔を向け身体を起こした。
「知らないよ。どうしてきみが、そんな事気にするの?」
キャルは言葉を詰まらせぷいっと横を向く。だが、かなりたってから、「あの時のこと、文句言ってやろうと思って」と蚊の鳴くような小声で答えた。
「キャルには関係ないだろ。彼に何かしたら許さないよ。僕以上に兄が、許さない。解っているだろ?」
今度は、アレンがキャルの耳許で囁いた。そして顔を離すと片眉を上げてさも嫌そうに姉を見つめる。
「だいたいなんでキャルがここにいるの? 僕は招待なんかしていないのに!」
「あら、あんたなんかに呼ばれなくたって、私に来てほしい人くらい、いくらでもいるのよ!」
キャルはすっとひじ掛けに腕を置き、右手をくいっと返すように外に向けた。二人の椅子を取り囲むように立っている男性陣の一人が、すかさずそのすらりとした指先にグラスを差しだす。そのシェフ特性のフレッシュジュースを飲みながら、キャルはぷいっと顔を逸らす。つまらなそうに、駐車場の向こうの、今は人影の見当たらないクリケット場に視線を漂わせて――。
「な、似てるだろ」
アレンと並ぶ、同じ瞳、同じ髪色のキャルを遠目に眺め、吉野は蘇芳の脇を小突く。
「あー、まぁ、可愛いけど……。駄目だな、弟の方が格段に上。なんで男なんだよ! 完璧、どストライクなのに!」
「なんで駄目なん? 同じ顔だろ?」
「透明感がない。弟の方はさぁ、あの雰囲気がいいんだよ。今まであんなの見たことない」
蘇芳は残念そうに溜息をつきながらも、もりもりと皿の上の食べ物を消化してる。吉野も、ふーんと首を捻りながら、やはりその口は喋るよりも食べる方に忙しい。
「ま、男じゃなくたって、お前にゃ高値の花だよ。姉貴の方もな」
「なんで? お前のダチなんだろ?」
「ダチだけどさ、あいつら平気で、一食四、五万円するようなところでメシ食ってるんだぞ。そんなのとデートできるか? 今お前の口ん中入ってるのも三ツ星レストランのシェフの料理だぞ。こんなの毎日食っているような奴と、普通つきあえねぇよ」
「へぇー! 道理で旨いと思った! イギリスはメシマズって聞いてたのにとんだ誤算だったな」
「マズいよ。昼はシェフの料理だけれど、夜は課外授業やサークル活動なんかで食事時間がまちまちになるから、セルフの激マズ料理だもの。俺、本当驚いたよ。こんなの食い物じゃねぇよ、て感じでさぁ」
吉野は蘇芳と取り留めのないお喋りをしながらも、じっと離れた場所に座るアレンを見つめていた。
「あいつ、何か変だ……」
蘇芳はぎくりとローストビーフを口に運ぶ手を止め、さりげなさを装いつつ訊ねる。
「どうかした? 」
「セドリックがいるからかな。そいつな、アレンをボコボコにして医療棟送りにしたやつ。あいつな、その事があってから、そいつの顔見るたびに真っ青になってガタガタ震えだすんだ。見ているこっちまで辛くなるつうか……。そいつ、もう卒業したんだけどさ、OBだから、やっぱ今日来てるんだよ。絶対にそいつにだけは会わせたくないんだ」
最後の語句に力を籠め、吉野は顔をしかめて吐き捨てるように言った。そして深く溜息をつき、気を取り直すようにガツガツと残りの食べ物を掻きこんだ。
「コーヒー飲むか?」
蘇芳はなんとも微妙な顔をして、吉野の顔をじっと見つめている。
「何? 紅茶の方がいいのか? せっかくのイギリスだし」
「あー、うん。紅茶にする」
吉野は軽く掌を振って承諾のサインを送ると、料理の置かれているテントに向かった。だが皿を返却しただけで通り抜け、そのままぐるりと大回りしてアレンの後ろ手に回る。そして少し離れた場所に立っているサングラスをかけた体躯のいいスーツ姿の男の傍に寄っていった。男は少し身を屈め、顔を近づけて話を聞いている。立ち話はすぐに終わった。多くの人が行き交う中での一瞬の事だ。吉野はすぐに戻り、「ほら」と紙コップに注がれた熱い紅茶を差し出している。
「ありがと」
蘇芳は紅茶を受けとると、そのまま穴の開くほど吉野を見つめた。
「あの子、ボディーガードまでいんのかよ?」
頷く吉野に、「やっぱお前、面倒見がいいっつうか、心配性だよなぁ。あの子は大丈夫だよ。あんな可愛い顔して、すげー男だもん」と相好を崩す。
「なんでお前にそんな事判るんだ? あいつ、すげー泣き虫なんだぞ」
「――昨日、けっこう、いろいろ話したんだ」
蘇芳はにやりと笑って、「乾杯!」と吉野のカップに自分のカップをトンッと当てた。
「何に?」
吉野は怪訝そうに眉をよせる。
「お前の友達が増えたことを祝って。お前、舎弟はいっぱいいたのに友達は少ないもんな」
「それもそうだな」
吉野もにやっと嗤い、蘇芳に向けカップをくいっと持ちあげ口に運ぶ。
「トヅキ」
その暗く沈んだ声音に、二人は驚いて振り返った。そこには、青白い顔のノースが力ない亡霊のように佇んでいた。
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