162 / 739
三章
4
しおりを挟む
「ヨシノがまた逃げ出しているよ」
アレンは一瞬振り返って小声でそう告げると、また開け放った窓枠に肘をついて暗闇に目を凝らす。
「どこ、どこ?」
フレデリックも横に並んで、窓から身を乗り出すようにして向いの銀杏の木の下や、黒く沈み込んだ中庭の芝生の上に吉野の姿を探した。
「ほら、あそこ」
アレンが指差した方向を目で追い、「泳ぎに行くのかな。今日は、月も出ていないのに……」と心配そうに呟いて、自分のスマートフォンを取り出し吉野の位置情報を確認する。
「連れ戻してくるよ。寮長室の灯りもすぐ後に消えたんだ。寮長より先に見つけないと」
アレンは薄暗がりの中、急いでもう一度制服に着替えローブを羽織った。
「僕も行くよ」
心配そうに顔をしかめるフレデリックに、アレンは首を横に振って応える。
「一人で平気。僕は夜目が利くからすぐ追いつけるよ。もし見回りが来たら誤魔化しておいて」
吉野が頻繁に抜け出すせいなのかは知らないが、最近はやたらと夜間の取り締まりが厳しくなった。夜中の急な点呼が度重なっているのだ。
「見回りする本人が追い駆けているのなら、大丈夫だよ」
フレデリックは苦笑したが、もう同行するとは言わずに、気をつけて、とアレンを送り出した。
吉野のように、窓から木を伝って飛び降りる訳にはいかないので、アレンは足音を忍ばせて階段を下り、一階の窓を開けて外に出るとそこから全力で走り出す。
月のない闇夜でも歩けるほど何度も通った池のある林に入ると、微かに不思議な音が聞こえてきた。
フルート……?
音に惹かれて進んでいくと、新緑の葉を茂らせた欅の大木の根元に吉野がいた。
ふっと雲が切れ、月が顔を覗かせる。吉野は、唇を笛に当てたまま顔をあげ笑っているように目を細めていた。
その調べは今まで聴いたことのない不思議な旋律で、空気を震わせる高音にもかかわらず、あまりにも静かで、流れるようで、アレンは、本当は吉野と話がしたくて追いかけていたことをすっかり忘れ、浄化され、澄み渡る空気に身を浸すようにしゃがみこんでいた。
どのくらいたったのか、顔を伏せ、じっと聴き入っていたアレンは、音が途切れたことに気づいて顔をあげた。目の前に吉野がいて、同じようにしゃがみ込んで自分を覗き込んでいた。
驚いてのけ反るアレンに、「何やってんだ、こんなところで。学習能力のないやつだな!」と、吉野は乱暴な口調で言い、自分のことは棚にあげて偉そうに顎をしゃくる。
「さっさと帰れ。消灯時間を過ぎてるんだぞ」
「きみを探しにきたんだよ。早く戻らないと、今日は寮長が見回りに出ているんだ」
「そうなのか、チャールズ?」
顔をあげた吉野の視線を追って振り返ると、寮長が苦笑しながら見おろしている。
「まぁ、そうだね。かなり収穫があったよ、五、六人は捕まえたしね」
「なんだ、もうそんなに広まっているのか――」
つまらなそうに呟く吉野に、チャールズは肩をすくめる。
「だから、夜歩きは慎みなさいってことだよ。今じゃもう、ここの伝説がすっかり変わってしまって困ったことだ」
「伝説って――?」
訳が判らず怪訝な顔をして吉野とチャールズを見比べていたアレンに、
「なんだ、お前、知らないのか?」と吉野はニヤニヤしながら、声のトーンを落として顔を寄せた。
「出るんだよ、この池。何年か前に、上級生から預かった大切な鍵を落としてなくしちまってな、怒られて、つまはじきにされて、そこの池に飛び込んで死んだ、何とかアボットていう一学年がな、鍵をなくした時間になると、こう、池から這いでてきて――、」
「きゃっ、」
ボチャン、という水音に、アレンは耳を押さえ瞼をギュッと瞑って小さく悲鳴を上げる。クスクスと聞こえる忍び笑いに恐る恐る目を開けると、吉野も、寮長も、声を殺して口を抑えていた。
「からかったの?」
頬を膨らませて怒るアレンに、吉野は笑いを噛み殺しながら続けた。
「――って作り話をな、ここでの昼寝の時間を確保するために、お前の兄貴が振り撒いたんだ」
思いがけず兄の名を出され、アレンは唖然として二の句が継げなくなっている。
「今は、類まれな妙音に誘われ、ふらふらと夜中に彷徨い歩く寮生が続出、セイレーンの池って噂になっているよ」
チャールズは吉野の肩に手を置いて、ため息をつく。
「もう、勘弁してくれよ。どうして夜じゃないと駄目なんだい?」
「月が綺麗だろ」
「さっきまで曇って見えなかった」
「雲が切れると思ったんだよ。こんな日は遠くまで飛べるんだ」
無邪気な顔で月を眺める吉野の頭を、チャールズはコンと小突いた。
「まぁ、そういうことだ。アレン、ここで見たことは内緒にしておくれ」
「寮長公認ってことですか?」
眉をしかめるアレンに、チャールズは、「たまに息抜きさせてやらないと、とんでもないことをしでかすからね、この子は」と、苦笑して言った。
「笛なら自習室で吹けばいいのに……」
「空気の澱んだ教室じゃ嫌なんだ」吉野は呟き、チャールズは納得がいかない様子のアレンの頭をくしゃっと撫でてやりながら、「あんな麻薬みたいな笛の音、他の子たちに聞かせるわけにはいかないよ。きみなら判るだろ?」と背中を丸めてアレンの視線に合わせ、同意を求めるようにじっと覗き込む。
そんな風に言われると反論出来ない――。自分も、何もかも忘れて聞き惚れていたのだから。アレンは、当初の目的を思い出し、困ったように口角を上げ、頷いた。
また、言えなかった――。
どうしてこう、間が悪いんだろう。やっと彼が、自分に対しても他の子と同じような口調で話してくれるようになったのに――。
もどかしい想いを抱えたまま、アレンは、月明りに照らされた道を一歩遅れて、寮長と肩を並べて歩く吉野の背中を、淋しげに見つめながら帰路に着いていた。
アレンは一瞬振り返って小声でそう告げると、また開け放った窓枠に肘をついて暗闇に目を凝らす。
「どこ、どこ?」
フレデリックも横に並んで、窓から身を乗り出すようにして向いの銀杏の木の下や、黒く沈み込んだ中庭の芝生の上に吉野の姿を探した。
「ほら、あそこ」
アレンが指差した方向を目で追い、「泳ぎに行くのかな。今日は、月も出ていないのに……」と心配そうに呟いて、自分のスマートフォンを取り出し吉野の位置情報を確認する。
「連れ戻してくるよ。寮長室の灯りもすぐ後に消えたんだ。寮長より先に見つけないと」
アレンは薄暗がりの中、急いでもう一度制服に着替えローブを羽織った。
「僕も行くよ」
心配そうに顔をしかめるフレデリックに、アレンは首を横に振って応える。
「一人で平気。僕は夜目が利くからすぐ追いつけるよ。もし見回りが来たら誤魔化しておいて」
吉野が頻繁に抜け出すせいなのかは知らないが、最近はやたらと夜間の取り締まりが厳しくなった。夜中の急な点呼が度重なっているのだ。
「見回りする本人が追い駆けているのなら、大丈夫だよ」
フレデリックは苦笑したが、もう同行するとは言わずに、気をつけて、とアレンを送り出した。
吉野のように、窓から木を伝って飛び降りる訳にはいかないので、アレンは足音を忍ばせて階段を下り、一階の窓を開けて外に出るとそこから全力で走り出す。
月のない闇夜でも歩けるほど何度も通った池のある林に入ると、微かに不思議な音が聞こえてきた。
フルート……?
音に惹かれて進んでいくと、新緑の葉を茂らせた欅の大木の根元に吉野がいた。
ふっと雲が切れ、月が顔を覗かせる。吉野は、唇を笛に当てたまま顔をあげ笑っているように目を細めていた。
その調べは今まで聴いたことのない不思議な旋律で、空気を震わせる高音にもかかわらず、あまりにも静かで、流れるようで、アレンは、本当は吉野と話がしたくて追いかけていたことをすっかり忘れ、浄化され、澄み渡る空気に身を浸すようにしゃがみこんでいた。
どのくらいたったのか、顔を伏せ、じっと聴き入っていたアレンは、音が途切れたことに気づいて顔をあげた。目の前に吉野がいて、同じようにしゃがみ込んで自分を覗き込んでいた。
驚いてのけ反るアレンに、「何やってんだ、こんなところで。学習能力のないやつだな!」と、吉野は乱暴な口調で言い、自分のことは棚にあげて偉そうに顎をしゃくる。
「さっさと帰れ。消灯時間を過ぎてるんだぞ」
「きみを探しにきたんだよ。早く戻らないと、今日は寮長が見回りに出ているんだ」
「そうなのか、チャールズ?」
顔をあげた吉野の視線を追って振り返ると、寮長が苦笑しながら見おろしている。
「まぁ、そうだね。かなり収穫があったよ、五、六人は捕まえたしね」
「なんだ、もうそんなに広まっているのか――」
つまらなそうに呟く吉野に、チャールズは肩をすくめる。
「だから、夜歩きは慎みなさいってことだよ。今じゃもう、ここの伝説がすっかり変わってしまって困ったことだ」
「伝説って――?」
訳が判らず怪訝な顔をして吉野とチャールズを見比べていたアレンに、
「なんだ、お前、知らないのか?」と吉野はニヤニヤしながら、声のトーンを落として顔を寄せた。
「出るんだよ、この池。何年か前に、上級生から預かった大切な鍵を落としてなくしちまってな、怒られて、つまはじきにされて、そこの池に飛び込んで死んだ、何とかアボットていう一学年がな、鍵をなくした時間になると、こう、池から這いでてきて――、」
「きゃっ、」
ボチャン、という水音に、アレンは耳を押さえ瞼をギュッと瞑って小さく悲鳴を上げる。クスクスと聞こえる忍び笑いに恐る恐る目を開けると、吉野も、寮長も、声を殺して口を抑えていた。
「からかったの?」
頬を膨らませて怒るアレンに、吉野は笑いを噛み殺しながら続けた。
「――って作り話をな、ここでの昼寝の時間を確保するために、お前の兄貴が振り撒いたんだ」
思いがけず兄の名を出され、アレンは唖然として二の句が継げなくなっている。
「今は、類まれな妙音に誘われ、ふらふらと夜中に彷徨い歩く寮生が続出、セイレーンの池って噂になっているよ」
チャールズは吉野の肩に手を置いて、ため息をつく。
「もう、勘弁してくれよ。どうして夜じゃないと駄目なんだい?」
「月が綺麗だろ」
「さっきまで曇って見えなかった」
「雲が切れると思ったんだよ。こんな日は遠くまで飛べるんだ」
無邪気な顔で月を眺める吉野の頭を、チャールズはコンと小突いた。
「まぁ、そういうことだ。アレン、ここで見たことは内緒にしておくれ」
「寮長公認ってことですか?」
眉をしかめるアレンに、チャールズは、「たまに息抜きさせてやらないと、とんでもないことをしでかすからね、この子は」と、苦笑して言った。
「笛なら自習室で吹けばいいのに……」
「空気の澱んだ教室じゃ嫌なんだ」吉野は呟き、チャールズは納得がいかない様子のアレンの頭をくしゃっと撫でてやりながら、「あんな麻薬みたいな笛の音、他の子たちに聞かせるわけにはいかないよ。きみなら判るだろ?」と背中を丸めてアレンの視線に合わせ、同意を求めるようにじっと覗き込む。
そんな風に言われると反論出来ない――。自分も、何もかも忘れて聞き惚れていたのだから。アレンは、当初の目的を思い出し、困ったように口角を上げ、頷いた。
また、言えなかった――。
どうしてこう、間が悪いんだろう。やっと彼が、自分に対しても他の子と同じような口調で話してくれるようになったのに――。
もどかしい想いを抱えたまま、アレンは、月明りに照らされた道を一歩遅れて、寮長と肩を並べて歩く吉野の背中を、淋しげに見つめながら帰路に着いていた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・エメリーン編
青空一夏
恋愛
「元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・」の続編。エメリーンの物語です。
以前の☆小説で活躍したガマちゃんズ(☆「お姉様を選んだ婚約者に乾杯」に出演)が出てきます。おとぎ話風かもしれません。
※ガマちゃんズのご説明
ガマガエル王様は、その昔ロセ伯爵家当主から命を助けてもらったことがあります。それを大変感謝したガマガエル王様は、一族にロセ伯爵家を守ることを命じます。それ以来、ガマガエルは何代にもわたりロセ伯爵家を守ってきました。
このお話しの時点では、前の☆小説のヒロイン、アドリアーナの次男エアルヴァンがロセ伯爵になり、失恋による傷心を癒やす為に、バディド王国の別荘にやって来たという設定になります。長男クロディウスは母方のロセ侯爵を継ぎ、長女クラウディアはムーンフェア国の王太子妃になっていますが、この物語では出てきません(多分)
前の作品を知っていらっしゃる方は是非、読んでいない方もこの機会に是非、お読み頂けると嬉しいです。
国の名前は新たに設定し直します。ロセ伯爵家の国をムーンフェア王国。リトラー侯爵家の国をバディド王国とします。
ムーンフェア国のエアルヴァン・ロセ伯爵がエメリーンの恋のお相手になります。
※現代的言葉遣いです。時代考証ありません。異世界ヨーロッパ風です。
あなたに愛や恋は求めません
灰銀猫
恋愛
婚約者と姉が自分に隠れて逢瀬を繰り返していると気付いたイルーゼ。
婚約者を諫めるも聞く耳を持たず、父に訴えても聞き流されるばかり。
このままでは不実な婚約者と結婚させられ、最悪姉に操を捧げると言い出しかねない。
婚約者を見限った彼女は、二人の逢瀬を両親に突きつける。
貴族なら愛や恋よりも義務を優先すべきと考える主人公が、自分の場所を求めて奮闘する話です。
R15は保険、タグは追加する可能性があります。
ふんわり設定のご都合主義の話なので、広いお心でお読みください。
24.3.1 女性向けHOTランキングで1位になりました。ありがとうございます。
【完結】「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」
まほりろ
恋愛
【完結】
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
第15回恋愛小説大賞にエントリーしてます。
壁の花令嬢の最高の結婚
晴 菜葉
恋愛
壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。
社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。
ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。
アメリアは自棄になって家出を決行する。
行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。
そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。
助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。
乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。
「俺が出来ることなら何だってする」
そこでアメリアは考える。
暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。
「では、私と契約結婚してください」
R18には※をしています。
【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!
Bu-cha
恋愛
ずっと好きだった初恋の相手、社長の弱みを握る為に頑張ります!!にゃんっ♥
財閥の分家の家に代々遣える“秘書”という立場の“家”に生まれた加藤望。
”秘書“としての適正がない”ダメ秘書“の望が12月25日の朝、愛している人から連れてこられた場所は初恋の男の人の家だった。
財閥の本家の長男からの指示、”星野青(じょう)の弱みを握ってくる“という仕事。
財閥が青さんの会社を吸収する為に私を任命した・・・!!
青さんの弱みを握る為、“ダメ秘書”は今日から頑張ります!!
関連物語
『お嬢様は“いけないコト”がしたい』
『“純”の純愛ではない“愛”の鍵』連載中
『雪の上に犬と猿。たまに男と女。』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高11位
『好き好き大好きの嘘』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高36位
『約束したでしょ?忘れちゃった?』
エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高30位
※表紙イラスト Bu-cha作
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる