54 / 140
第三章.寂寥のお絵かき
1.拝金主義者と見栄っ張り
しおりを挟む
「……師匠たち遅いな?」
「確か、に……そうで、す……ね……?」
リーシャと二人で奈落の底のエントランスにて一緒の席で師匠たちを待っているが……全然来ないな? 人を呼びつけておいて遅れるなど、とうとうボケたのか?
「あのクソジジィ……」
「も、もう……少しだ、け……待ちま……しょ、う……?」
「……そうだな」
リーシャの言う通りもう少しだけ待つか……ここで怒っても仕方がないし、また師匠から『若者は短気じゃのう』とか態とらしく嘆かれて面倒くさくなるだけだしな。……本気でシロアリに喰われないかな。
「お前らがクレルとリーシャか?」
「……(ビクッ」
「……誰だ?」
いきなり人の背後から声を掛けてくるなど非常識な……見てみろ、リーシャが突然のコミュニケーションの発生にどうしていいか分からず、肩を震わせながら視線を彷徨わせ、プチパニックに陥っているじゃないか……本気で大丈夫かこの子は。
「リーシャ、大丈夫だから……それで? そちらさんは?」
「……(コクッ」
とりあえずオロオロとしているリーシャに対して優しく声を掛けてから落ち着かせてから改めて話し掛けてきた二人組に立ち上がってから向き直る……こちらと同年代くらいの男女だな、奈落の底に居るという事は魔法使いで確定だろう。
「……俺はカルマン・ゴールドって名前だが、その女大丈夫か?」
「ふん! 私はレティシャ・シュヴァリエよ! 光栄に思いなさい! ……その子、大丈夫?」
こちらを訝しげに見ながら自己紹介をする刈り上げた金髪に金目の男と、威勢よく高圧的に上から目線で名乗る白髪に銀目の女という濃ゆいコンビだが……そのどちらもリーシャを心配する当たり流石だなと思う。
「俺はクレル・シェパードだ、こっちがリーシャ・スミスで……多分大丈夫だ」
「……」
「あなたの後ろに隠れたけれど……」
自分の自己紹介を終えた後に次いでとばかりに彼女の紹介も代わりに済ませて心配いらないと伝えるが……当の本人が身体を固くしてこちらの背後へと隠れてしまうのでその言葉の説得力が秒速で消失してしまった。
「……とりあえず、座ろうか」
「……(コクッ」
「「……」」
お互いに顔を見合わせこちらを……特にリーシャを不思議そうに見ながら対面の席に座る二人に対して居心地悪そうにしながら、こちらへと少しばかり席を寄らせ座るリーシャに呆れながら自分も席に着く。
「じゃあ俺らになんの用があるのか──」
「──その前に俺に探させて自己紹介までさせたんだ、六〇〇ベルンでいいぞ」
「……は?」
この男は……カルマン・ゴールドと名乗るこいつは何を言っているんだ? 六〇〇ベルン? ……たかが自己紹介で金を取るのか?!
「すまない、意味がわからない」
「説明料金は二〇〇ベルンだ」
「……」
ダメだ会話にならんぞ、なんだこの男は? 説明料金? はぁ? こんな事で金を請求してどうすると言うのだ、第一どう考えても『価値が釣り合って』いないだろう。
「飲み物を取ってきてあげるわ! 感謝しなさい?」
「あ、ありがとう?」
そしてレティシャは唐突だな? こいつも人付き合いというか人との会話が苦手なのか? 無駄に高圧的だしどう反応するのが正解なんだ……。
「取ってきてあげたわよ! 全員コーヒーで良いわよね? 感謝しなさい!」
「……は、早いな? もう少しゆっくりでも──」
「──俺の相棒を使った、五〇〇ベルン」
「「……」」
もうどうしたら良いんだとリーシャの方を向けば彼女も泣きそうな表情で眉尻を下げてこちらに助けを求めていた。重度の人見知りである彼女にこの濃ゆいメンツの相手は無理だろうし……マトモなのは俺だけか?!
「ちょっと?! これは私が善意でやったのよ? あなたは引っ込んでいなさい!」
「数少ない同期と仲良くするんだーって、前日から準備してただろ? 俺も手伝ったんだから半額の二五〇ベルンは欲しいな」
「ちょっとバラさないでよ?!」
あー……とりあえずレティシャは善人そうなのか? こちらと仲良くしようと前日から準備をするくらいには好意的なようだ……なぜ偉そうに声を張り上げるのかはわからないが。
「あー、コーヒーの代金ぐらいは払おう」
「仕方ない、初回割引だ」
「あ、気にしなくていいのに……じゃなくて、準備してあげたんだから感謝しなさいよね!」
「「……」」
こちらを上から下まで舐め回すように値踏みするカルマンと何がしたいのかキャラがブレブレなレティシャの二人に脱力感を覚える……さっきから一歩も話が進んでいないのだが?
「……あなたは飲まないの?」
「……(ビクッ」
「あー……リーシャは苦い物はあまり好きじゃなくてな、甘いココアの方が良いと思うぞ?」
まったく飲めない訳ではないのだが、一回だけコーヒーを出した時に震えながら飲み、終わった後は舌を口から少しばかり出して涙目になっていた事がある……ちゃんと苦手だったら正直に言ってくれとその時に伝えたが、初対面の彼らに自分から言う事は難しいだろう。
「そ、そうなのね……まったく世話の焼ける子ね!」
「……(ビクッ」
「本当だよ、慰謝料三〇万ベルン」
「高っ! 払える訳ないだろ?!」
レティシャが一瞬だけ暗い顔をしてからそれを払拭するようにまた高圧的にリーシャを評すると、それに便乗するようにカルマンが法外な慰謝料を請求する……アホなのか?
「ご、ごめ……んな、さ……い……」
「リーシャは財布を出さなくていいから」
自分が何か悪いことをしたのだろうかと勘違い、あるいはどうしようも出来なくて払った方が自分の精神衛生上は楽だと考えたのだろうリーシャの財布を取り出す手に自分の手を重ねて窘める。
「わ、私はそんなつもりじゃないのよ? ……そんなつもりじゃないから、あなたのお金なんていらないわよ!」
「延滞料金一〇万ベルン」
「あなたは黙ってなさいよぉぉお!!」
こちらがそんなやり取りをしている間にも向こうは向こうで何やら揉めているようだ……レティシャは普通に喋ればいいんじゃないかな?
「……よくわからんが、レティシャは普通に話したらどうだ?」
「っ?!」
「あっ……俺は知らんぞ?」
「……何か不味い事でも言ったのか?」
なんだ? 何が不味いと言うんだ? 話していて節々からレティシャが良い子なのは伝わってくるし、高圧的な話し方も無理があると思うのだが……所々で申し訳なさそうな表情をするし。
「うっ……ぅぅ……!」
「……?」
「う"わ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ん"ん"ん"!!!」
「「っ?!」」
いきなり泣き出したレティシャにリーシャと二人で驚き、目を見開いて困惑する……え? いや、え? 本気になぜ泣いた? ぼ、僕そんなに悪いこと言ったの? ど、どうしよう……。
「ど"、ど"う"せ"私"は"見"栄"を"張"ら"な"い"と"ま"と"も"に"喋"れ"な"い"ク"ソ"女"よ"ぉ"お"ぉ"ぉ"お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"お"お"!!!」
「お、落ち着いて? 謝るから、ね?」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
「……あ、えっと……そ、の…………」
もしかして彼女のトラウマか何かを刺激しちゃったのかなぁ? リーシャもオロオロ仕出してもうどうしたら良いのか……。
「だ"っ"て"人"と"ど"う"や"っ"て"話"せ"ば"良"い"の"か"わ"か"ら"な"い"ん"だ"も"ぉ"お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"お"ん"ん"ん"!!!!」
「ご、ごめんね?」
「……(コクッ」
ぐっ……『人とどうやってはなせば良いのかわからない』の部分で同意するようにしたり顔で頷くリーシャにこの時ばかりはイラッとしてしまう……お、落ち着け俺! リーシャも頑張っているんだ!
「じ"、自"分"に"な"ん"て"自"信"が"な"い"か"ら"ぁ"! こ"う"や"っ"て"声"を"……こ"、声"を"張"り"上"げ"な"き"ゃ"ダ"メ"で"っ"……!」
「わ、わかっから! 俺が悪かったから落ち着こう? な?」
ど、どうすればいいんだ……彼女がここまで色々と切羽詰まっていた状態だったなんて知らなかったぞ?! なんでこうなるまで放っておいたんだ!!
「そうだ、同じ人見知り? としてリーシャは──」
「……」
「──ダメだ、気絶してやがる!」
さっきまで同意するように頷いていたくせに! いつの間にかコミュニケーション許容値を超えたようだ……クソッ! さっきまで無事なように見えてもいきなり電源が落ちるから気をつけないといけなかったのに、レティシャの対応に追われて疎かになっていた!
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
「俺の相棒を泣かせた、慰謝料五〇〇万ベルン」
もう……収拾がつかない…………。
▼▼▼▼▼▼▼
「確か、に……そうで、す……ね……?」
リーシャと二人で奈落の底のエントランスにて一緒の席で師匠たちを待っているが……全然来ないな? 人を呼びつけておいて遅れるなど、とうとうボケたのか?
「あのクソジジィ……」
「も、もう……少しだ、け……待ちま……しょ、う……?」
「……そうだな」
リーシャの言う通りもう少しだけ待つか……ここで怒っても仕方がないし、また師匠から『若者は短気じゃのう』とか態とらしく嘆かれて面倒くさくなるだけだしな。……本気でシロアリに喰われないかな。
「お前らがクレルとリーシャか?」
「……(ビクッ」
「……誰だ?」
いきなり人の背後から声を掛けてくるなど非常識な……見てみろ、リーシャが突然のコミュニケーションの発生にどうしていいか分からず、肩を震わせながら視線を彷徨わせ、プチパニックに陥っているじゃないか……本気で大丈夫かこの子は。
「リーシャ、大丈夫だから……それで? そちらさんは?」
「……(コクッ」
とりあえずオロオロとしているリーシャに対して優しく声を掛けてから落ち着かせてから改めて話し掛けてきた二人組に立ち上がってから向き直る……こちらと同年代くらいの男女だな、奈落の底に居るという事は魔法使いで確定だろう。
「……俺はカルマン・ゴールドって名前だが、その女大丈夫か?」
「ふん! 私はレティシャ・シュヴァリエよ! 光栄に思いなさい! ……その子、大丈夫?」
こちらを訝しげに見ながら自己紹介をする刈り上げた金髪に金目の男と、威勢よく高圧的に上から目線で名乗る白髪に銀目の女という濃ゆいコンビだが……そのどちらもリーシャを心配する当たり流石だなと思う。
「俺はクレル・シェパードだ、こっちがリーシャ・スミスで……多分大丈夫だ」
「……」
「あなたの後ろに隠れたけれど……」
自分の自己紹介を終えた後に次いでとばかりに彼女の紹介も代わりに済ませて心配いらないと伝えるが……当の本人が身体を固くしてこちらの背後へと隠れてしまうのでその言葉の説得力が秒速で消失してしまった。
「……とりあえず、座ろうか」
「……(コクッ」
「「……」」
お互いに顔を見合わせこちらを……特にリーシャを不思議そうに見ながら対面の席に座る二人に対して居心地悪そうにしながら、こちらへと少しばかり席を寄らせ座るリーシャに呆れながら自分も席に着く。
「じゃあ俺らになんの用があるのか──」
「──その前に俺に探させて自己紹介までさせたんだ、六〇〇ベルンでいいぞ」
「……は?」
この男は……カルマン・ゴールドと名乗るこいつは何を言っているんだ? 六〇〇ベルン? ……たかが自己紹介で金を取るのか?!
「すまない、意味がわからない」
「説明料金は二〇〇ベルンだ」
「……」
ダメだ会話にならんぞ、なんだこの男は? 説明料金? はぁ? こんな事で金を請求してどうすると言うのだ、第一どう考えても『価値が釣り合って』いないだろう。
「飲み物を取ってきてあげるわ! 感謝しなさい?」
「あ、ありがとう?」
そしてレティシャは唐突だな? こいつも人付き合いというか人との会話が苦手なのか? 無駄に高圧的だしどう反応するのが正解なんだ……。
「取ってきてあげたわよ! 全員コーヒーで良いわよね? 感謝しなさい!」
「……は、早いな? もう少しゆっくりでも──」
「──俺の相棒を使った、五〇〇ベルン」
「「……」」
もうどうしたら良いんだとリーシャの方を向けば彼女も泣きそうな表情で眉尻を下げてこちらに助けを求めていた。重度の人見知りである彼女にこの濃ゆいメンツの相手は無理だろうし……マトモなのは俺だけか?!
「ちょっと?! これは私が善意でやったのよ? あなたは引っ込んでいなさい!」
「数少ない同期と仲良くするんだーって、前日から準備してただろ? 俺も手伝ったんだから半額の二五〇ベルンは欲しいな」
「ちょっとバラさないでよ?!」
あー……とりあえずレティシャは善人そうなのか? こちらと仲良くしようと前日から準備をするくらいには好意的なようだ……なぜ偉そうに声を張り上げるのかはわからないが。
「あー、コーヒーの代金ぐらいは払おう」
「仕方ない、初回割引だ」
「あ、気にしなくていいのに……じゃなくて、準備してあげたんだから感謝しなさいよね!」
「「……」」
こちらを上から下まで舐め回すように値踏みするカルマンと何がしたいのかキャラがブレブレなレティシャの二人に脱力感を覚える……さっきから一歩も話が進んでいないのだが?
「……あなたは飲まないの?」
「……(ビクッ」
「あー……リーシャは苦い物はあまり好きじゃなくてな、甘いココアの方が良いと思うぞ?」
まったく飲めない訳ではないのだが、一回だけコーヒーを出した時に震えながら飲み、終わった後は舌を口から少しばかり出して涙目になっていた事がある……ちゃんと苦手だったら正直に言ってくれとその時に伝えたが、初対面の彼らに自分から言う事は難しいだろう。
「そ、そうなのね……まったく世話の焼ける子ね!」
「……(ビクッ」
「本当だよ、慰謝料三〇万ベルン」
「高っ! 払える訳ないだろ?!」
レティシャが一瞬だけ暗い顔をしてからそれを払拭するようにまた高圧的にリーシャを評すると、それに便乗するようにカルマンが法外な慰謝料を請求する……アホなのか?
「ご、ごめ……んな、さ……い……」
「リーシャは財布を出さなくていいから」
自分が何か悪いことをしたのだろうかと勘違い、あるいはどうしようも出来なくて払った方が自分の精神衛生上は楽だと考えたのだろうリーシャの財布を取り出す手に自分の手を重ねて窘める。
「わ、私はそんなつもりじゃないのよ? ……そんなつもりじゃないから、あなたのお金なんていらないわよ!」
「延滞料金一〇万ベルン」
「あなたは黙ってなさいよぉぉお!!」
こちらがそんなやり取りをしている間にも向こうは向こうで何やら揉めているようだ……レティシャは普通に喋ればいいんじゃないかな?
「……よくわからんが、レティシャは普通に話したらどうだ?」
「っ?!」
「あっ……俺は知らんぞ?」
「……何か不味い事でも言ったのか?」
なんだ? 何が不味いと言うんだ? 話していて節々からレティシャが良い子なのは伝わってくるし、高圧的な話し方も無理があると思うのだが……所々で申し訳なさそうな表情をするし。
「うっ……ぅぅ……!」
「……?」
「う"わ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ん"ん"ん"!!!」
「「っ?!」」
いきなり泣き出したレティシャにリーシャと二人で驚き、目を見開いて困惑する……え? いや、え? 本気になぜ泣いた? ぼ、僕そんなに悪いこと言ったの? ど、どうしよう……。
「ど"、ど"う"せ"私"は"見"栄"を"張"ら"な"い"と"ま"と"も"に"喋"れ"な"い"ク"ソ"女"よ"ぉ"お"ぉ"ぉ"お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"お"お"!!!」
「お、落ち着いて? 謝るから、ね?」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
「……あ、えっと……そ、の…………」
もしかして彼女のトラウマか何かを刺激しちゃったのかなぁ? リーシャもオロオロ仕出してもうどうしたら良いのか……。
「だ"っ"て"人"と"ど"う"や"っ"て"話"せ"ば"良"い"の"か"わ"か"ら"な"い"ん"だ"も"ぉ"お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"お"ん"ん"ん"!!!!」
「ご、ごめんね?」
「……(コクッ」
ぐっ……『人とどうやってはなせば良いのかわからない』の部分で同意するようにしたり顔で頷くリーシャにこの時ばかりはイラッとしてしまう……お、落ち着け俺! リーシャも頑張っているんだ!
「じ"、自"分"に"な"ん"て"自"信"が"な"い"か"ら"ぁ"! こ"う"や"っ"て"声"を"……こ"、声"を"張"り"上"げ"な"き"ゃ"ダ"メ"で"っ"……!」
「わ、わかっから! 俺が悪かったから落ち着こう? な?」
ど、どうすればいいんだ……彼女がここまで色々と切羽詰まっていた状態だったなんて知らなかったぞ?! なんでこうなるまで放っておいたんだ!!
「そうだ、同じ人見知り? としてリーシャは──」
「……」
「──ダメだ、気絶してやがる!」
さっきまで同意するように頷いていたくせに! いつの間にかコミュニケーション許容値を超えたようだ……クソッ! さっきまで無事なように見えてもいきなり電源が落ちるから気をつけないといけなかったのに、レティシャの対応に追われて疎かになっていた!
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
「俺の相棒を泣かせた、慰謝料五〇〇万ベルン」
もう……収拾がつかない…………。
▼▼▼▼▼▼▼
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる