執事の嗜み

桃瀬わさび

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番外編

溺2 〚ケヴィン〛

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 果たして彼は、確りと準備をしていたらしい。
 彼の元へと帰れば緊張気味に湯殿を勧められ、何食わぬ顔でゆっくりと汗を流して戻ってきた。
 月明かりのみが差し込む暗い部屋。天蓋が降ろされ、微かな衣擦れの音がする。
 声を掛けて中へと入れば、布団に潜っている彼がいた。

「捕らえろ!」

 そう叫んでがばりと出てきた彼は、明らかに大きい俺のシャツ1枚。
 釦をきっちり閉めているのにシャツの隙間から鎖骨まで見えてしまっている。
 口元が緩みそうになるのを眉を顰めて堪えて、飛びつかれるままに寝台へと沈み込んだ。

 なるほど、なんといい“弱点”だろうか。
 どこか必死の面持ちで俺の夜着を脱がしていく彼が、まだ反応していない性器を見て戸惑ったように固まる。
 いつも勃っているところしか見ていないからだろう。どうしようと言いたげに少し視線を揺らし、決意したように目を閉じて顔を近づけてきた。
 手で刺激すれば良いものを、それは思いつかないようだ。王城で咥えさせて以降なんどか奉仕させているから、ここを愛撫するときは咥えるものとでも思っているのかもしれない。
 彼の奉仕は、拙い。
 いつも奉仕というより喉奥を嬲るといった風に口を使われているからして、自ら動くことは不慣れそのもの。
 熱い舌でゆるゆると舐め、大きく口を開いてくぷんと呑み込み、咥えきれずに眉を下げる。
 反応してきたそれが口の中をいっぱいにして苦しいのか、涙目で俺を見上げてくる。

 ―――なんと、可愛らしい。

 はやくぐちゃぐちゃに犯してしまいたい。
 その気持ちと、もっとこの媚態を愉しみたいという気持ちがせめぎ合って、かろうじて忍耐が勝った。
 この“弱点”は、虎に担がれたのだと彼が知れば、また暫くこんな愉しいことはないだろうから。

 むっとしたように眉を顰めた彼が、いよいよ膝立ちになる。
 大きさが全く合っていない黒のシャツの裾から覗く白い太腿が艶めかしい。
 そのシャツの前を押し上げているのは、彼の花芯だろう。全く触れていないというのに、淫らな身体は奉仕だけで反応してしまうらしい。

 細い指が剛直に絡まり、先端が蕾に導かれた。
 もう片手を前に伸ばしてなんとか俺の視界を遮ろうとするところが、却って男の欲を煽る。

「み、るなぁっ……!っは、あんっ……!」

 これを見ないなど、到底無理な相談だ。
 びくびくと身体を震わせながらじりじりと腰を落とし、喉を反らして甘い吐息を漏らす。
 自らが焦らされているように時折ふるふると首を振りながら、赤く染まった顔を蕩かして、唾液に塗(まみ)れたふっくらとしたくちびるを、声を堪えるように噛んで。
 前立腺の寸前で、彼がぴたりと動きを止めた。
 きゅうっと締め付けてくる内部が、逡巡するように揺れる瞳が、期待と躊躇いを伝えてくる。
 もうお終いですか?と煽れば、きっと眉を釣り上げた彼が勢い良く腰をおろした。

「うるさいっ!ここからに、決まって、るぅ……っっ!!」

 下ろすと同時、びくびくと身体を反らして達する。
 腹にぱたぱたと垂れるものは、彼の蜜だろう。一切触れもしないまま放つとは。
 俺のカタチを確りと覚えているナカが、俺のための場所に剛直を導いてきゅうきゅうと締め付けてくる。
 絶頂感が収まらないのだろうか。淫らに過ぎる表情ではくはくとくちびるを動かし、何度もびくびくと身体を跳ねさせる。
 淫らな姿をもっと見ていたくて、灯りを灯してシャツの前を開けた。
 とろとろと蜜を吐き出すままの花芯の先端をくちくちと弄り、いやいやと首を振る彼に笑いかける。

「っ、そんな、余裕な顔も、今のうちなんだからなっ…!!」

 本当に扱いやすいひとだ。
 深く繋がったまま上体を倒し、違うところに当たって「ぁぅっ、」と小さく喘ぎ、誤魔化すように拙く傷痕を舐めてくる。
 腹筋の筋を愛おしげに撫でながらぺろぺろと舐める姿は子猫のようだ。
 可愛らしいが、もどかしい。
 舐めるのに夢中になり、くったりと力を抜いた彼の腰骨に触れ、下から強く突き上げた。

「ひぃっ……んっ!!ぁ、ばかぁっ!ぁっ、あっ、んっ……」

 ぐじぐじと最奥を潰しながら、上体を起こして乳首に噛み付いた。
 牙に鈴を引っ掛けるようにして引っ張ると、いやいやと首を振りながらぼろぼろと啼く。
 もはや陥落寸前といった有様をくつくつと笑い、ぱっと手を離した。

「ぁ……、…?」
「マティアス様、大変失礼致しました。まるで娼婦のような痴態に煽られて、思わず。以後手出しは控えますので、どうぞ存分になさってください。」

 涙を称えた大きな瞳が、揺れる。
 悔しげにくちびるを噛み、俯き、きっと睨んでくる姿にぞくぞくと興奮が湧き上がる。
 それでいて、顔を紅く染めて躊躇うように視線を揺らすのだから堪らない。言葉はなくとも、その瞳が雄弁に犯してほしいと伝えてくる。
 それでも尚動かずにいたら、ぽすりと肩に額が寄せられた。
 しがみつくように縋り付いてきた彼が、もどかしげにゆらゆらと腰を揺する。
 ぬちぬちという音に耳までを紅く染め、俺の腹に花芯を擦りつけては身体を震わせ、漏れる喘ぎを堪えるように、かぷりと肩に噛み付いた。

「っふ……」

 ケヴィン、


 そう、吐息だけで囁いた彼に、かっと目の前が紅く染まった。
 細腰を掴んで突き込んで、敏感な奥をぐじゅぐじゅと潰す。
 その度に甲高い悲鳴をあげ、堪らえようと肩に噛み付き、強く噛んでしまったことを謝るように舌で舐めて。
 ―――煽るのも大概にしろ。

「どこに欲しい。………言えよ。」
「ぁあああっ!!!あっ、やっ………!!」

 身体が浮き上がるほど突き上げながら聞いても、快感に身を震わせるだけ。
 言わせるために敢えて腰を引けば、ぎゅっと全身で抱きついてきた。
 少しも離れたくないと言うように腰の後ろで脚を組み、胸に縋り付いていやいやとむずがる。
 さらさらの髪からふわりと彼の香りが鼻孔をくすぐり、きゅんきゅんと複雑に締め上げられて、堪える間もなく奥に放っていた。

 再び腹に熱いものがかかり、彼も同時に達したと知る。
 …………クソ
 舌打ちをして、そのまま彼に伸し掛かった。
 敏感な襞に白濁を擦り付けるようにぬちぬちと腰を揺らし、縋り付く手を掴んで頭上で磔にする。
 とろとろに蕩けた顔に誘われるままふっくらと濡れるくちびるに噛み付き、熱い咥内を貪った。

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