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スライむてきせいかつ 4
しおりを挟む「それで?袋から出たらあの部屋で、どうしたんだ」
「んっと、おじさんたちが、じょうだま? とか、うれる? とか、あじみ? って言ってて、お手手つかまれて、服やぶかれちゃった」
「………………それで」
「ぽよぽよになって、ボタンひろった!」
「…………………………はぁ……全ッ然わかってねーな……いや、結果としては最良なんだが……」
「あのね、でもね、」
手の中のボタンをぎゅっとにぎって、しょんぼりしてちょっとうつむいた。
転移魔法で戻ってきた、ごしゅじんさまと泊まっている宿。
ふかふかの大きいベッドの上で、お部屋だってあったかくて。
なのに、こころはしおしおとしおれている。
「まさか、あいつらに何かされたのか!?」
ぎゅうっと肩をつかまれて、びっくりしてごしゅじんさまの顔を見上げた。
わあ、ごしゅじんさま、こわいかお。ヌシと戦うときみたい。
でも、なんでそんなかおしてるんだろう?
あいつらに何かって、なんのこと?
「やらしいこと……っつってもわかんねぇか。いつも俺とするようなことだ。ココをいじくられたり、ココに汚ぇモンを突っ込まれたり、舐められたり噛まれたりしたのか、って聞いてるんだが」
ごしゅじんさまの手が乳首を触って、おちんちんを弄って、おしりの穴をくにりと拡げる。
きもちいいが広がってきて、はふはふと吐息をもらすけど、ふるふると首を横にふった。
キスをするのも、ぎゅっとするのも、奥の奥までくしざしになるのも、ぜんぶ、ごしゅじんさまとだけ。
そうやって、前に、やくそくしたもん。
「…………そうか。えらいな」
「うん! ……でも、」
「でも、なんだ? さっきも何か言いかけていたよな?」
「……うん。でもね、ボタン、ひとつ、なくなっちゃった」
ぎゅうっと握っていたお手手を開いて、ごしゅじんさまに手の中を見せる。
白っぽい木でできた、まあるいボタンがぜんぶでむっつ。何回数えても、むっつしかない。
本当はななつあったのに。
ごしゅじんさまが、ぼくに買ってくれたのに。
「はぁ? ボタン? そんなモンどうでも………………あー。明日、明るくなったら探しに行くか」
「っ、うん!! ……でも、焦げちゃってたらどうしよう」
「そんときゃまた買ってやる。ほら、顔あげろ」
ん、と顔を上げたら、おでこにキスがふってきた。
まぶた、ほっぺた、鼻のあたま。くすぐったくてくすくす笑うと、ごしゅじんさまがかぷりと鼻を噛んでくる。
食べるみたいにくちびるに噛みつき、そのまま全身でのしかかってくる。
「ごしゅじんさまー、重たいよう」
「我慢しろ」
「ぼく、ぺしゃんこになっちゃうよう」
「ならねぇよ」
ごしゅじんさまがちょっと笑ってくれたから、ぼくはふにゃふにゃになって抱きついた。
―――やっぱり、ごしゅじんさまのそばがいい。
ぎゅーってするとうれしくて。近くにいるとあったかくて。
笑ってくれると、むねの奥がむずむずするから。
「ごしゅじんさま、だいすき」
ふにゃりと笑って伝えたら、ごしゅじんさまがなでてくれた。
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