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二話 とある大柄な男性の話

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 これは、いつの話か分からない。ここではない、何処かの話。
 ここは、町と町を繋ぐ交易路。といっても荒野だな。
 この世界は、人間が武器を持って、日々戦いをする世界。
 魔法?そんなものは・・・少なくとも、俺は知らないな。

 荷物を積んだ馬車を曳いて。昼過ぎの荒野を、行進する。
 道が荒れているせいもあるけど、荷物をいっぱい積んでいるからな。速度はゆっくり。仕方ないさ、のんびり行こうぜ?
 この速度で歩いても十分間に合う。隣町まで行って、荷物を積み下ろして・・・夕方までには、仕事が終わるだろう。
 楽な仕事だ。馬車の前か後ろにくっ付いて、散歩するだけなんて。俺は馬車の前に待機している。他の奴らは・・・知らん。今日出会ったばかりの冒険者達だ。
 楽ではあるが、つくづく思うと不思議な仕事だ。宿屋にある張り紙や、街角にある張り紙を見て、その日の仕事を決める。これが冒険者というものなのか。
 冒険者という割には、さほど冒険はしていない気もするが・・・。近所のゴミ拾いとか、迷子探しとか、用心棒とか、荷物運びとか。これ、いわゆる何でも屋じゃねーのか?
 まぁでもおかげで、人間の仕事というものに、ある程度は理解を持てた。人間共の世界って大変だなぁ。色々と考えることが多そうで。
 俺は頭で考えるのは苦手だからなぁ。思いっきり暴れて、敵をブチのめすほうが・・・ほう、ちょうどいい。
「おい依頼主、止まれ。イヤな気配がする」
 馬車の前に身を乗り出して。御者も務めている依頼主に進言する。
 他の奴らも警戒している。なるほど、お前らもそれなりに修羅場は潜ってきているのか。さすがは冒険者達、やるな。

 じっと見ている。この先にある、岩陰を。誰かがいる。1人2人ではない。俺達は依頼主を除けば、戦えるのは4人。相手は俺達より多いな。
 でも、知らん。俺は1人で、ゆっくりと岩陰に向かう。
「お、おい無茶すんな。お前1人だけでは」
 冒険者の1人が俺に進言する。親切心はありがたいぜ?でも、
「お前らは馬車を守ってろよ。他に誰かいるかも知れねーだろ?」
 本音を言うと、お前らに邪魔されたくない。1人でヤりたい。こういうのがあるから、俺はこの仕事を始めたんだ。
 無闇に暴れたり、無闇にケンカして、誰かを傷つけるのはマナー違反。これは人間の世界だけでなく、俺の故郷でも同じ。何か仕方のない理由があるのなら、話は別だが。
 でも。この仕事なら、いくらでもケンカができる。よほど過剰な暴力さえしなければ、大体の事は許してくれる。良いなぁこの仕事、ヤりがいがあるぜ。
 おおう、1人で近づく俺が気になったのか、岩陰から団体様が出てきやがった。10人前後か。どいつもこいつもガラの悪い見た目と服装をしてやがる。・・・まあ、俺も似たような風貌なんだけど。
 敵共は、長めの剣に、短剣に、棍棒に。まぁ、色々な物を手に持って、俺に向けている。ちなみに俺は丸腰だ。ちょいと諸事情があるので武器の類は持っていない。
「オイてめぇ、まさか丸腰で、たった1人で俺達とヤる気か?少しばかり図体がデカいからって、舐めんじゃねえぞ?」
 先頭の男が俺に何かを言ってくる。でもコイツには用が無い。
 俺は、奥を見ている。一番奥の男だけを見ている。

 俺のターゲットはアイツだ。一番奥で、一番豪華そうな服を着てて、一番偉そうにしている、アイツ。あの男がリーダーだな。
 ターゲット、ロックオン。速攻で仕留めてやる。
 地面を蹴り、駆け出す。一気に距離を詰めて、
「え、何、速っ、うあっ!?」
 驚いている雑魚共の間を抜けて、敵のリーダーに最短距離で接近。
「な、なんだコイツ!?いきなり何を」
 おいおいリーダーさんよ、この程度の事でうろたえるなよ?そんなんじゃ、体の反応が遅れてしまうだろ?ほい、射程圏内だ。地面を強く蹴って、思いきり飛んで、空中で体を横に一回転して。
「――ゴフォッ!?」
 側頭部に飛び蹴りを叩き込む。派手にブッ飛ぶリーダーさん。でも容赦はしないぜ?ここから更に・・・ってオイオイ、たったの一撃で気を失うなよ、張り合いが無いな。
「ヒッ!?しゅ、首領!?う、うああああ!?」
 こういう輩共は、敵将を真っ先に潰すに限る。俺も昔は故郷でリーダーの真似事をやったことがあるから、よく分かるんだ。
 でも、雑魚共が一目散に逃げだしたのは想定外だったな。オイオイ、仲間を見捨てるとか情けない奴等だなぁ。こういう時はな、リーダーの仇だとか言って、俺に立ち向かってこいよ。まったく、張り合いの無い。
 チッ、つまらん。仕方ないから元の仕事に戻るか。気を失ってるリーダーさんの足を掴んで、引き摺って、依頼主の前にポイだ。おい依頼主、ロープ持ってる?町まで引き摺り回してやろうぜ。

 そこからは何のトラブルもなく町に着き、冒険者達と一緒に荷物を降ろして、ついでにボロボロな姿になったリーダーさんを自警団って奴等に引き渡し・・・ん?何この銀貨袋。
「いやぁ、ありがとう。あの盗賊団には困っていてね、近日にでも賞金首にしようと思ってたところなんだ。少ないが、これを受け取ってくれ」
 ほう。なら遠慮なく、今日行動を共にした冒険者達にパスしてやる。
「えっ・・・?いや、リオン、これはお前の金だろ?お前1人で盗賊共を追い払ったんだ。お前への報酬だ」
 いらねぇよ。金なら荷物運びの報酬だけで十分だ。諸事情あって、あまり荷物は持ちたくないんだよ。これやるから、俺はもう良いだろ?あばよ。
「リオン君・・・と、言ったか?もしよかったら、自警団に入らないか?この町は少し治安が悪いせいで、犯罪が絶えないんだ。君のような正義感のある若者なら」
 知らん。正義感とか意味分からん。無視して出て行くぜ。
 冒険者達や自警団の奴等がギャーギャー言ってくるけど、どうでもいい。俺は先を急ぐんだ。今は夕方だから、急ぎ足で帰れば間に合うかな?
 元の姿に戻ってもいいが・・・今着ている服の処理とか手荷物を運ぶのが面倒になるからな。人間の姿のままでいいか。
 おっと、肉屋を見つけたぞ。ちょうどいい、腹が減ってたんだ。おい親父、その羊の骨付き肉をくれ。一番デカいやつ。どうもありがとう。
 さて飯を食う・・・のはここでは止めるか。人間共は肉を食べる時は火を使うのが基本で、生で食べるのはマナー違反らしいからな。だいぶ昔に、大通りのド真ん中でヤっちまった時にはドン引きされてしまったぜ。
 肉はそのまま食べる方が美味いってのに。味付けなんかいらん。あんな辛いの食ってたら舌がおかしくなる。ハァ、さっさと人目が付かないところまで走るか・・・。

 人里離れた、とある山。
 ここには人間共は基本的に立ち入らない。というか、立ち寄れない。
 何でもここは、人間共にとっては禁足地という扱いになっているようだ。曰く、ここに無闇に入ろうものなら二度と帰れない、恐ろしい獣が住んでいるから生きては帰れない、という理由で。
 なので、山の入り口には見張りの自警団がいる。さっき町中にいた奴等とは別人だがな。普通の人間がこの山に入りたい場合は、コイツらに許可を取らないと入れない決まりになっている。
 だが、知らん。山への入り口は他にもいっぱいあるからな。
 普通の人間なら歩けない道。越えられない溝。登れない崖。行く手を邪魔する木々。これだけでも、素人が無闇に入り込めば、迷子になって二度とは帰れないだろう。
 しかも日は沈み、夕方から夜へと変わり、周囲はどんどん暗くなってくる。普通の人間なら、松明や炎の明かりでも無いと、まともに歩くことすらできないだろう。
 でも、俺は余裕。分かる。たとえどんなに暗くて寒い日でも、いくらでも見える眼を持っているから。それに匂いでも分かる。気配でも分かる。
 だから、行くべき道が分かる。帰るべき場所への道が分かる。山の中にある森。俺の故郷。俺達の、同胞達の住処。やっぱり故郷の空気は良いなぁ。
 俺が、俺達の同胞が、いつごろ生まれ、いつからこの森にいるのか、それは覚えていない。でも分かる。ここで生きてきたから。同胞達と共に。
 人間共の暮らしも、悪くはない。人間共の生活、知識、苦労、習慣。色々な事を学べた。こんな山奥では絶対に知り得ることができない、貴重な経験ができた。
 だから俺はまた、人間共の生活に戻るだろう。でもやはり、俺は・・・おおっ、これはツいている。脅して人間の姿にする手間が省けた。

 人間の女基準でいえば、大人の体型ながら少し小柄。胸は小さめ。髪は白く、肩まで伸ばしている。そして裸。まあここで服を着ているのって、侵略者か俺ぐらいしかいないからな。
 そんな白髪の女が、湖のほとりで魚を食っている。もちろん生だ。魚も肉と同様に、焼かずに味付けも無しで、そのまま食べた方が美味いんだぞ?食い終わるまでは待ってやろう。
 ・・・さて、食事が終わったようだ。声を掛けるぞ?
「おい白狐。どうした?そんな姿で」
 オイ待てよ、いきなり背を向けるとは失礼な。ターゲット、ロックオン。
「おい逃げることは無いだろ?質問には答えろよ」
 一瞬で距離を詰めて、手を掴んでやる。逃がさんぞ?
「し、侵略者を、追い払ってたの。私は疲れたから、もう寝るね?」
「何言ってるんだ。普段は昼寝して夜はずっと起きてるくせに」
 白狐は俺を払いのける。払いのけようとする。でも無理だな。
 俺は白狐より体が大きい。しかも普通の人間よりも少し大柄。
 元々の姿でも、人間の姿でも、こいつは俺には勝てない。どうやっても、俺の方が強くて、白狐の方が弱い。だから、
「ね、ねぇ、だからこの姿で交尾はやめ、あうう!?」
 押し倒す。さて、ヤってやるか。ちなみに俺は着衣のままだ。

 俺達の世界は、弱肉強食。強い者こそ正義。
「や、やめて、手を縛らないで、いや、やめ」
「なぁに、食いはしねぇよ。同胞を食って殺すほど、俺も落ちぶれてねーよ。だけど・・・人間共との生活で、疲れてるんだ。ダメだ我慢できない」
 仰向けに押し倒して、布切れで両手を縛り、頭の上に。
「こ、交尾なら、普通に四つん這いで、ヤらない?こんなの、いや、恥ずかしい、いや、な、それは止めてって言ったでしょ!?ねぇ、ひゃううん!?」
 無理矢理キスをしてやる。ふっふっふ、人間共の世界で覚えたんだコレ。
 ほれほれ、どうした?何も言ってこないな。口を離してやるか。
「おい白狐。こんなのでもう満足しているのか?」
「あ・・・ふあう・・・」
 うわぁ、もう顔が蕩けてやがる。
 こんな行為、人間共の世界でやったらマナー違反だ。合意もなく女を襲うなんて最低の行為、その場で殺されても文句は言えない、というほどの重大なマナー違反。
 女とどうしてもヤりたいのなら、子孫を残すこと前提で一生を共にするか、娼館に行って金を支払ったりと、それ相応の手順が必要になるが。
「せめて・・・優しく、して?」
 だが、この森の場合は、そんな手順は必要ない。弱い者は強い者に従うのが絶対の掟なのだから。さあ、楽しもうぜ?白狐よ。

「い、いや、もうイイでしょ!?交尾なんだからアソコ同士を合わせるだけで、いやああああ何でそんなとこ舐めるの!?ひいいいいいいいいいいいいいっ!?」
 だからこれは交尾じゃないと言っているのに。男女が仲良く楽しむためのセックスだ。エッチとも言ってもいい。
「嫌ああっ!分かったからぁっ!交尾ならいくらでもヤるからぁっ!だから殺すのだけはやめてえええぇっ!ひ、う、うわ・・・うわああああぁん・・・うぅ、ぐすっ」
 オイオイ、そんなにガチ泣きして怯えることは無いだろう?顔を舐める程度で。だから食いはしないと言ってるのに。ほら、涙を舐め取ってやろう。
「い、いや、食べないで、いや、私は美味しくないから、やめ」
 だから、頬っぺたを甘噛みする程度だ。ついでに、弱肉強食の立場を改めて分からせるためにヤってる。いやぁ、俺に屈している姿を見るのが楽しくて楽しくて。
「ひ、いいいい、いや、死にたくない、いやだ、生きたいの、まだ死にたくないの、やめて、う、うあ、ああああああ・・・」
 分かった分かった。じゃあ今度は乳首を噛んでやる。ちょっと強めに。
「ぎゃああああああ!?い、痛い、い、あ、何で、そんな、ところ」
 そして思いっきり吸い付く。
「あううううううううん!?ば、馬鹿ッ!母乳なんか出ないって!ひ、あ、あう、あ、ああああああああああああああああっ!?」
 いやぁ、白狐を虐めるのって本当に楽しいなぁ。
 こいつ、ちょっとのことでイくからなぁ。冒険者仲間に誘われて高級娼館に連れてってもらったこともあるけど、白狐以上の女には出会えなかったな。
 しかも、白狐はタフな女だ。確かに俺よりは弱いが、普通の人間共と比較すればかなり強い方だ。だから朝まで激しくヤっても問題ない。ほれほれ、まだヤるぞ?
「優しくしてぇっ!もう酷い事はやめてぇっ!もうこんなの嫌だああああっ!」
 嘘つけ、乱暴にされる方が好きなんだろ?まだまだ遊ぼうぜ、白狐。

「あ、う、う、うわあああん・・・もう、許、して・・・」
 息を切らし、涙が止まらず、体が震えっぱなしの白狐。
 もうここまでヤれば手を縛る必要は無いか。外してやろう。
 ついでに俺も服を脱ぐ。うん、やはり裸の方が良いな。人間共ってどうして服なんか着ているんだろう・・・未だによく分からん。
「ひいっ・・・もう、酷い事は、やめて、よぉ・・・」
 座った姿勢のまま抱き抱える。ほれ、お前の大好きなキスだ。
「あっ・・・ふぁうぅぅ、もう、それ、ヤダ、って、言ってる、の、にぃ」
 優しくしろって言ったのはお前だろうに。ついでに頭も優しく撫でてやる。
「あ、いやぁ・・・また意識、飛んじゃう、のぉ・・・」
 キスしながら頭を撫でるだけでイくとは、ますますもって面白い女だなぁ。よし、これなら今日こそはイケるか?舌を伸ばして、白狐の口にギャアアア!?
「・・・また、同じこと、したら。今度は、噛み切って、やる」
 ペッ、とその辺に血を吐き出す白狐。言うまでもなく、俺の血です。
 痛ってぇ・・・。あやうく舌を噛み千切られるところだった。
 やっぱ無理か。昔調子に乗ってフェラをしてもらおうと思った時は地獄だったなぁ。アソコに思いっきり噛みつかれて、朝まで痛くて痛くて死にそうだった。
 さすがは俺の同胞。この程度ではまだ屈しないか。でも最終的にはディープキスやフェラをして欲しいなぁ。できれば無理矢理じゃなくて、白狐から自らヤってほしい。
 でもそれには、まだまだ時間が掛かりそうだ。なので再び普通のキスを・・・って、うおおう口を開けて待ち構えてやがる。
「ヤる、ヤってやる、もうどうなってもいい、殺されてもいい、せめて一発ヤり返してから死んでやる、あんなの絶対に認めないぃ・・・」
 しかも眼がマジだ。ただし顔は真っ赤っ赤。まったく、舌を入れられたのがそんなに嫌・・・じゃなくて、気持ち良すぎたのかな?フハハ照れちまってて可愛い。
 だが、さっきまでは普通にキスを受け入れてたというのに、このままでは唇に噛みついて来てエラい目に遭わされそうだ。遊びはここまでにしておくか。

 なので、これより本番に入る。人間共でいう、正常位の体勢だ。
 ただし両腕を手で押さえつけて、逃げられないようにしているが。
「白狐、お待ちかねの時間だ。愛し合おうぜ?」
「・・・お前なんて、嫌い」
 おおう、いいぞその眼。いくらでも睨んで来やがれ。
「お前って呼ぶなよ。名前で呼んでくれよ。さもないとまた乱暴にするぞ?優しくして欲しいんだろ?」
「・・・リオ、ン。まったく、何で、人間共みたいに、名前、なんて」
「悪くねぇぞ?ていうか名前が無いと人間の世界では生きられないんだ。せっかくだから白狐にも名前を付けてやろうか?」
「いら、ない。私はここで、生きるから」
 白狐は俺から視線を逸らした。俺ではなく、俺の上を見ている。
「私は、ここで生きるの。月を見ながら、ずっと、ここで」
 そうだよな。お前って夜空を見るのが好きなんだよな。
「オイオイ白狐、知らないのか?世の中にはもっといい景色があるんだぜ?夜空がもっと綺麗に見える場所があるんだ。今度一緒に行かないか?」
「・・・ふん」
 おおう、そんな不機嫌そうな顔して睨むなよ。可愛いじゃないか。
「私は、ここで、生きる。死ぬまで、ずっと」
 フッ、振られたか。まあいい、またアタックすればいいだけだ。

 白狐の顔をじっと見る。白狐も俺を見つめている。
「・・・早く、終わらせてよ。恥ずかしい、の」
 でも、俺をじっと見てくる。期待の眼差しだ。息も荒い。
 イヤイヤ言いながら、お前も悪くはないんだろう?逃げられるチャンスはいくつか与えてやったはずだ。お前なら逃げられるはずの隙を与えたはずだ。
 それに・・・お前。実はもう、狐の姿に戻れるんだろ?
 でも。お互いに、元の姿に戻ってしまうとヤれなくなるから、人間の姿のままでいるんだろ?人間嫌いだから、人間の姿のままでいるのは嫌なくせに。
「白狐。愛しているよ」
「・・・お前なんて、大っ嫌い」
 だから名前で呼んでくれって。まあいい、思いっきりブチこんでやる!
「――ぎゃあああああああああああっ!?だから優しくしてって」
 思いっきり、力いっぱい。打ち付ける。アソコ同士を激しくぶつけ合う。体を押さえつける力も強くする。
「ああああっ!?あううううん!?ひ、ひいいいいいいっ!?なんでこんなので私、気持ちよくなんか、あああああああああああっ!?」
 フッ、そんなに泣いて喜んでくれるなんて、嬉しいぞ?
「こんなの交尾じゃないいっ!こんなの、ああああああああっ!?」
「白狐、そろそろイくぞ?どうせ妊娠しないから、中に思いっきり出してやる。嬉しいだろ?楽しいだろ?俺の事が好きなんだろ?」
「いやあああっ!リオンなんか嫌いだぁっ!いつも無理矢理襲うんだからぁっ!こんなのやだああっ!こんなので幸せになりたくないいいっ!こんな幸せな気持ち、意味分かんないいいいっ!――あああああああああああっ!」
 うおっ、凄い、締め付け・・・。ああ、やっぱりイイなぁ、白狐の中に出すのは。さて、これで終わると思うなよ?お互いまだまだヤれるだろ?なぁ!?
「ひいいいっ!?もう交尾はやめてええええっ!嫌あああああああっ!」
 ここからが本番だぜ?楽しもうぜ、朝までずっと。

 ふう、もうすぐ朝か。あぁあ、良い夜だったぁ。
「白狐、どうだ?楽しかっただろ?」
 白狐を後ろから抱き抱えて、湖に浸かる。ヤりまくって熱くなった体を冷やすにはちょうどいい。いやぁ気持ち良い。
「・・・ふん」
 おやおや不機嫌そうだ。でも悪くはないんだろう?今ならいつでも逃げられるはずなのに、出て行かない。狐の姿にも戻らない。こうやって俺に抱かれているのがイイんだろ?
「そういえば白狐。侵略者が来たって言ってたな。どういう奴らだ?」
「――私達みたいに、人間になれる動物?つまりは、私達を狙ってたみたい。非合法な、裏社会、って言ってた。大金持ちになれる、って。意味が分からない」
 おぉうまだ不機嫌・・・いや、違う。この顔は、
「でも、これで分かった。あの子も、それで急に居なくなったんだと思う。許さない、人間共を許さない、今度はもう絶対に手加減しない、仲間達に酷いことする奴は、誰であっても」
 おいやめろ、泣きながらそんな恐ろしい顔をするな。
「殺す。人間共を殺す。ここに来る侵略者共は私が殺す。食べ物目的や、道に迷ってここに来たのなら許す。それ以外は許さない。絶対に許さない。絶対に殺す。殺してやる。私が殺してやる。もう誰も――ひゃううん!?」
 こっち向け。キスをしてやろう。
「リオ、ン・・・もう、交尾は、やめ、て」
 だから違うって。これは愛情表現だ。
 何も言わず、優しく抱き締めてやる。頭も撫でてやる。
 白狐は抵抗していたが、やがて俺を素直に受け入れ、俺を抱き返してきた。白狐の涙は止まらない。でも、それでいいんだ。
 お前を泣かしていいのは俺だけだ。他の奴が泣かすのだけは許さん。
 お前は可愛いんだから。そんな恐ろしい涙を流す必要は無いんだ。

 朝日の下で、湖に浸かって。向かい合って。
「白狐、ありがとう。この森を守ってくれて」
「・・・うん。これからも、守るから。私が、戦うから」
 泣き止んでくれた。照れている。笑っている。可愛い笑顔で、自ら俺に抱き着いて来て・・・おおっ!?これは狙ってなかったが、待ちに待った展開がようやく!?
「俺が人間共の世界で生きているのも、そのためなんだ。俺達の同胞を攫おうとする悪い奴らを、探している。俺もお前と一緒だ、一緒に戦っているんだ」
 本音を言うと、嘘。仕事が忙しくて、そこまでの余裕はない。
「嬉、しい。リオンも、そこまで。私達の、ことを」
 けど、白狐には効果的のようだ。さすがは俺の同胞達でも屈指の武闘派。一緒に戦うという言葉には弱いようだウヘヘ。なので俺も抱き返してやるぜ。密着状態で顔を向き合っているぞフハハハハ。
「場合によっては、数多くの人間共と戦うことになるだろう。でも、さすがに俺だけではな。どうだ白狐、俺と一緒に人間共の世界に行かないか?一緒に戦って欲しいんだ」
 視線を逸らされた。考えている。・・・でも、決心したのか。俺をじっと見つめてきた。いいぜ、お前と2人なら、どこまでも。
「・・・うん、そういう理由なら、イ――ちょっとどいて、離して、邪魔」
 おっと、急に照れが来たか?でも逃がさん、お前は絶対にゴフォッ!?
「邪魔だって言ってるの!リオンなんて嫌い!」
 い、いたい・・・不意打ちで顔面に頭突きはねぇだろうよ。
 あぁあ行っちまった。一体なんだよ、何が起き――。
「――う、うあ、ああっ。ああああっ、ああああああああっ」
 ・・・また、白狐が泣いてしまった。
 しかも、そんな顔で。やめろ、そんな顔をするのは。


 これは人間共の世界と、俺達の不思議な森の物語。
 この世界は弱肉強食。強い者は生き、弱い者は死ぬ。
 人間共も、俺達も、それは同じ。強い者だけが生き残れる。
 だから俺は強くなった。いくらでも強くなれた。
 ふと思えば、俺達は意味が分からない生き物だ。
 森に住まう生き物なのに、人間の姿になることができる。
 そしてこの森には、俺と同じく人間になれる同胞達がいる。
 うん。俺達って、つくづく思うと意味分かんねえな。
 俺はそこまで、人間共を嫌ってはいない。
 確かに悪い奴もいるけど、良い奴もいるんだぜ?
「――私が、殺して、やる。許さ、ない、絶対、に」
 だから白狐。もうそんな、恐ろしい顔をしないでくれ。


 ――今回の主役:リオン
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