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小学生編

32話 サッカーバンザイ

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こっちボールで後半が始まったと同時にケースケが凄い速さで詰めて来た

僕達は落ち着いてパスを回す

まだ0対0焦る必要はない

じっくりチャンスを狙う

がさすがケースケあっという間にボールを奪われてしまった

ここからはもうケースケのペース

ボールを自由に操り攻めてくる

でも僕も負けてられない

何度も体をぶつけてクリアした


気が付けば後半も残りわずか僕達はあのケースケに1度もシュートを打たせてない

僕は少し安心したのか疲れが出てきた

ケースケはその隙を見逃さなかった

ボールを持った瞬間僕に突っ込んで来た

僕は落ち着いてディフェンスしようとしが足がもつれて転んでしまった

タクミも疲れで間に合わなかった

ケースケはレーザービームの様なシュートを打ちとうとうゴールを奪われてしまった

と同時に


ピッピッピーー


試合終了


「クソーーー。」


僕は悔しくて地面を殴った

ケースケが僕の所に来て


「やるじゃねーか。引き分けにしといてやるよ。中学で決着つけようぜ。俺達の所まで上がって来いよ。」


そう言って僕の肩を叩いた

ベンチ組の僕がケースケに勝てる訳ない

そんなの分かってる

でも悔しい

僕は生まれて初めて悔しくて泣いた

絶対にこの借りは中学で返す

僕は心に誓った


6年生追い出し試合が終わり最後に村上コーチから挨拶があった


「みんな卒業、そして卒団おめでとう。サッカー少年団でのいろいろな経験。もしかしたら辛い事の方が多かったかもしれないし、もっとできたかもっていう後悔と。それも経験。でもその分色々な人の気持ちが分かる様になれたと思うしそれはサッカー以外でもとても大切な事だと思う。みんなにはとにかく諦めないで頑張って欲しい。格好悪くてもいい。泥臭くてもいい。成功出来なくてもいい。とにかく成長してもらいたい。みんな夢をありがとう。」


みんな気が付けば泣いていた


セイギが


「みんな最後に円陣組むぞー。」


ユウキが


「またあの掛け声かよー?」


ダイスケが


「文句言うなよ。」


ケースケが


「格好悪いけどやるか?空。」


僕は


「みんなありがとう。」


最後はみんな笑顔で肩を組んだ






こんな経験はありませんか?


うちの子は言われなきゃ自主練しないからやる気が無い

やる気がある子は勝手に上手くなる


試合で負けても泣かない

だからやる気が無い

本当は感情を出すのが苦手なだけなのに


将来サッカー選手になりたい

大きな夢を語れる子はやる気があって

大きな夢を語れない子はやる気が無い


そんな事、親やコーチが決めつける事じゃない


勝手に上手くならなくても

上手く感情が出せなくても

大きな夢を語れたくても

楽しければいいじゃない

その子が今も続けてる事が1番のやる気の証拠

続ける事が1番大切

だってみんな伸び代しかないんだから


全てのサッカー少年達に



「サッカーバンザイ。」

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