あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第十四楽章 2度目の中日吹

完成度

「まだ足りない！もっと全体的に強く！」

「はい！」

栗本先生の指導はより一層厳しくなった。
中日吹まで残り一週間を切っていた。
時間が足りない。

「トランペット！もっと音を揃えなさい！
汚く聞こえる。」

「はい！」

「ホルン！全然聞こえません！
もっと音を聞かせて下さい！」

「は、はい！！」

音聞こえないかぁ。
くそっ、、、。

「15分休憩のあと五回通しやります。
全員それまで確認しておいて下さい。」

「はい！」

五回通しとは課題曲と自由曲の2曲を五回やる。
ただそれだけ。
だだそれだけなんだけどこれがきつい。

「はぁ、、きつい、、。」

ユーフォニアムの貝原はかなりきつそうだ。
無理もない。
他の一年生もキツそうだ。

「大丈夫。貝原。
夏合宿のときは10回通しだから。」

「え？、、、。」

貝原は固まった。

「あーあ。言っちゃった。
貝原くん固まったよ。」

谷川が言う。

「先輩、、高校の合奏ってこんなにきついんすね。」

歌川もきついみたいだ。

「ちょっと吹いてきます！」

「お、おう。休憩もしなよー。」

「はーい！」

風見は結構涼しい顔で廊下へ行ってしまった。

確か去年。
同じような先輩がいた気がする。

雨宮はペットボトルの水を一口飲み
楽譜を見返した。

でも自分も余裕がある。
全体の音をよく聞こえてる気がする。
村上先生のところで小学生たちと練習を繰り返してるせいかみんなの音を聞くようになった。

「雨宮！トランペットの私のソロどう？
雨宮も吹いてるでしょ？」

「あ、はい！
大丈夫だと思いますよ。俺、音量もうちょっと落としましょうか？」

「いや、大丈夫。栗本先生に今のところは言われてないしいいと思う。」

「了解です！」

市ノ瀬先輩。
ソロもやって副部長。
大変だよな。

、、、こんなこと考えるなら
俺は役職つくのは無理そうだな。

雨宮は残り10分。
ゆっくり休憩することにした。