あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第八楽章 東海大会編

メンタリティ①

「では、ここを雨宮くん。1人で。」

「は、はい！」

公開処刑｡それはみんながいる中1人で吹いてみてと言われ吹かされる最悪な殺し方。
雨宮はみんなの前で吹かされるのが大っ嫌いなのだ。

「はい。そこまで｡もっと自信を持って吹いてください。そこ中日吹でカットされてたところですよね。県大会では吹いてましたけど東海大会で吹きたくないのなら吹かなくてもいいですよ。」

「い、、いえ！吹きます。」

「言いましたね。しっかりお願いします。」

「はい！、」

「それでは次、、」

そして1日の練習が終わり雨宮は体力を全て使い果たし心が死んでいた。

「だめだ。」

「あまっち、この前吹けてたじゃん｡」

優美が気を遣って話しかけてきた。

「いや、吹けるんだけどどうも公開処刑だとなんかプレッシャーが｡」

「あーわかる。私もそれはわかる。
公開処刑私も嫌い。」

「メンタル弱いなー俺。」

「鍛えるしかないね。」

「どうやって？」

「それは～そのーえーっと？」

「なんだよ。優実だってわかってないじゃん。」

「わ、私は結構本番強いタイプだからなぁー｡あまっちみたいにメンタルが弱い悩みなんてないからなー｡」

「おまえ馬鹿にしてるのか。」

「別にー｡」

優実は緊張するタイプではない。
元々本番に強いのかそんなに悩むタイプではないのか知らないが
公開処刑の時もみんなで吹く時も特にいつもと変わらずに吹いている。

「特に何も考えてないのでは、、｡」

「あっ、じゃあメンタル強い人に聞けばいいんじゃないかな？」

「そんな人いるか？」

「あっ杉山先輩！！」

「ゲェ、優実｡やめろ。」

優実は部室にいた杉山先輩に大声で話しかけた。
すると大きな声に気づき杉山先輩は近づいてきた。

「ん？どうした？2人とも。」

「杉山先輩って本番に強いですよね？」

「え？そんなこと思ったこともないけど
まぁ本番は結構好きかな？」

「じゃあ決定。杉山先輩、雨宮にメンタルのこと教えてあげてください。」

「え？」

なんかまた巻き込まれたんだが。