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第六楽章 北浜高校の夏合宿

ソロオーディション②

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「では野末さん。お願いします。」

「はい!」

野末先輩は横に3人並んでいた列から少し前に出て楽器を構える。

「自分のタイミングで。」

「はい。」

楽器を構える。
そして大きく息を吸いソロを吹き始めた。
いつもの安定感。そして聞き慣れた演奏。
一つ一つの音が形となって観客席に届く。

「はい。ありがとう。いいですよ。」

「ありがとうございました。」

野末先輩は頭を下げ後ろに下がる。

「では次、横山さん。」

「はい!」

横山先輩は楽器を構え吹き始めた。
ソロはあんまり練習してないかと雨宮は思っていたが全然違った。
いつもフルートは野末先輩の印象が強かったがピッコロと掛け持ちしているのか
とても上手だ。

「そういえば横山先輩が吹いてるところ改めて初めて見た、、。」

そう小さかな声でつぶやいていしまった。

「はい、ありがとう。いいですよ。」

「ありがとうございます。」

栗本先輩は横山先輩にそのまま告げ、
横山先輩は列に戻る。

「じゃあ、最後に小林さん。」

「はい。」

小林は少し天井を見て大きく深呼吸をして
楽器を構えた。

その目には覚悟を決めた姿が写った。

始まりは綺麗な音。
ため息が出るほど綺麗な音。
音は小さいはずなのにホール中に響いて
観客席に伝わる。
目を瞑るとそこには
キラキラとして輝いたものが
雨宮の周りを囲む。
脆いけど美しい。
触ってしまうと壊れてしまいそうな
そんな演奏だ。

「はい。」

栗本先生が演奏を止める。

雨宮は目を開けると涙が出ていた。

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