あの音になりたい! 北浜高校吹奏楽部へようこそ!

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第六楽章 北浜高校の夏合宿

それぞれの思い②

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「あー食い過ぎた。」と谷川先輩。

「もう食えねぇ。」と日明先輩。

北浜高校吹奏楽部は夕食後、
その広場に集まっていた。

「スイカ分けるよー。」

「よし、食うぞ」と谷川先輩と日明先輩はすぐさま部長のところに向かっていった。

「別腹か。」

各グループ散らばっていたがスイカをもらうために列に並ぶ。

「洸、行かないの?」
若菜が雨宮に聞いてきた。

「いや行くよ。食べるよ。」

ゆっくりと雨宮は立ち上がりスイカを配ってるところへ向かう。

「はい、どうぞ。」

スイカを渡してくれたのは桃葉先生。

「あっすみません。ありがとうございます。」

「いいのいいの。食べて食べて!」

桃葉先生とは今回あまり喋る機会が少なかったが優しそうな印象だ。

小林から聞く桃葉先生のイメージとは少し違う感じするが自分がフルートだったら教えてもらってたのだろうか。

そのままスイカをもらい近くのベンチに座る。綺麗にスライスされたスイカを食べる。

口の中に甘さと水分が体に染みる。

「うっま。」

久々に食べたスイカは美味しい。
練習後だろうか。甘いものが体に染み渡る。

周りを見ると大海は二年生の先輩たちとスイカの種飛ばしをしてるし、
パーカッションの先輩たちと
絢辻と朝花は一緒にスイカを食べている。

「おーおー、青春だね。」

「篠宮先輩。お疲れ様です。」

「お疲れ。」

篠宮先輩は1人分席を開けて雨宮の
隣に座る。

「うーん、美味しいね。やっぱり夏はスイカだね。」

「そ、そうですね。ははは。」 

雨宮はその時に感じた。
なんかいつもの篠宮先輩と様子がおかしい。
そんな気がした。

「ねぇ。」

「はい?」

「勝てると思う、?」

「え?」

予想してなかったことを聞かれ雨宮は
驚いてしまった。

「そ、それは、。」

「みんな学生の大切な夏休み。学校も休みで自分に時間を使ったほうがいいのに好きなことばっかりしてていいのかな?」

「う!」

篠宮先輩はこちらをジロっと雨宮を見つめる。意地悪な質問だ。

「そ、それは、、」

「ふっ、まぁいいや。頑張ってね!!」

篠宮は雨宮に手を振り他の部員のところに向かっていった。

「ふー。」

雨宮は大きく息を吐いた。
いつも見せてくれる篠宮先輩は
本物じゃない、偽物だ。

でも、その偽物も本物に見えてくる。
掴みどころのない篠宮先輩。

今の言葉は本音か嘘か。

ますます雨宮は訳がわからなくなった。



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