あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第六楽章 北浜高校の夏合宿

野末は栗本に相談する。

夕飯も食べ各個人が練習に向かう中
栗本は1人廊下を歩いていた。コンビニで夜のビールを買い部屋で譜面の確認をしようとしていた。

「あの、先生｡いいですか？」

後ろから声がした。
振り向くと三年の野末が聞いてきた。

「おっ、どうした？野末｡」

「あの、ソロのことなんですが、、、」

「あっ、ああ。どうした？」

栗本は野末の問いかけに耳を傾けた。
廊下には2人だ。
野末はゆっくりと口を開いた。


「先生！オーディションは贔屓なしでしっかり見てもらいたいんです｡」

「え？」

「学年関係なく見て欲しいです。私たち三年生はもう負けたらコンクールがありません。上位入賞できるメンバーを選んでください。」

「、、、」

「先生？」

「え、あ、そうだよな！！！
わかった。贔屓はしない。」

野末のまっすぐな目には覚悟を決めたようなそんなふうに見えた。

「あ、うーん｡これを言おうか言わないか迷ってたんだけどな。」

栗本先生はゆっくり口を開いた。

「え？」

「俺は昔、高校の時チューバのメンバーオーディションがあって二年生の俺が三年生の先輩のソロを奪ったことがあってな。」

「え？」

「当時はなんで三年生じゃないんだろう？とか他のメンバーからの不満が聞こえたりしたことがあってな。まぁ俺はそんなこと気にするタイプじゃなかったんだけど｡」

「そんなことが｡」

「あぁ。でもその時、先輩は気にするなって声をかけてくれて救われたよ。」

「、｡」

「だから俺もコンクールでは北浜の最高の演奏ができるように俺もサポートする。ソロも学年も関係ない｡」

「はい！」

野末の強い覚悟が栗本を動かす。