あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第六楽章 北浜高校の夏合宿

差し入れ②

会話をしているので雨宮は他のところに行こうかと考え周りを見ようとしたその時、

「それで篠宮、あの子がホルンの？」

「あっ、そうそう。私の後輩の雨宮洸くんです。」

田村先輩が篠宮に聞く。どうやら自分のことが気になるらしい。

「え、あ、はい、！篠宮先輩と一緒のホルン吹かせてもらってます｡雨宮です！」

「大丈夫だって！そんなにかしこまらないで！こういう時は軽く話してもらっていいから、」

「あ、はい、」

「そうそう、別に気を遣わなくていいから、タメ語でいいよ。」

篠宮先輩が真面目な顔でこちらに話しかける｡

「おい、それはやりすぎだ｡お前は真面目なのかボケてるのか分からん｡」

「あははは、さぁアイス食べよ｡」

篠宮は少し離れた机の上にアイスが入っているクーラーボックスを探りはじめた｡

「篠宮はどう？ちゃんと教えてくれる？」

田村先輩は雨宮に質問する。

「はい、教えてくれますよ。でも普段何考えてるかわからないというか、、、」

「ははは、そうだよね。美玲ちゃん頭いいからな、演奏も上手だし｡」

白石先輩は答える。やはり篠宮先輩は一年生の時から変わってないようだ。

「そうなんですね。先輩たちは篠宮先輩の、、、」

「一個上だよ｡3年の時に篠宮は2年生だったんだ。でも美玲ちゃんは1年生の時に同じ楽器の先輩が3年生いたんだけど、2年の時はホルンは先輩いなかったんだよ。」

「え、そうなんですか？」

「うん。私はトロンボーン｡田村くんはチューバ、西川くんはユーフォニアム｡同じ金管で喋ることも多かったんだよ。」

「そうなんですね。」

「じゃあ今ホルンは3人か｡いいなーいっぱいいて｡」

「え？2人ですよ｡」


「ん？あれ、あ、そうか、もう百瀬くん、いないんだ｡」


「えっ、百瀬？」

「ごめんごめん、さぁアイスたくさんあるから雨宮くん遠慮しないで食べて食べて｡」

「え、あ、はい。じゃあいただきます｡
ありがとうございます。」

雨宮は3人の先輩たちに別れを告げアイスが入ったクーラーボックスを覗きに行く。

「百瀬って誰だ、、」

雨宮は遠くで中山先輩と話している篠宮先輩を見ながらつぶやく｡

「何か、部活であったのかな？」

篠宮先輩は何か隠しているんじゃないか、、