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第四楽章 中部日本吹奏楽コンクール
一枚の写真。
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雨宮は朝早く来て、合奏練習で出来なかったところをひたすらに練習していた。
メトロノームをセットしてテンポ通りに忠実に吹けるようにひたすら繰り返す。
吹けるようになるまで吹く。
出来ないところはなんとしてでも完成させなくてはならない。
北浜高校は朝練はない。強制ではないためやりたい人はやる感じだ。
篠宮先輩は朝練はしていないがそれ以外の先輩は毎日ではないが練習してる先輩は多い。
朝のホームルームが始まるのが8時半からなので今は7時半。あと1時間も練習できる。
いつもの席に座って練習していると
となりの篠宮先輩の席に楽譜が入っているクリアファイルから一枚の写真が落ちきた。
「ん?なんだこれ。」
雨宮は手を伸ばし写真を見るようとする、
しかし手に取る前にいったん停止する。
周りを見る。誰も見ていないことを確認する。
「いけないいけない。誰も見てないな。」
見たいような見たくないような、天使と悪魔に囁かれてるような、そのまま裏返しのまま戻そうとする。しかし運悪く窓からの風で写真の表が見えてしまう。
「あっ。」
写真が見えてしまった。
先輩たちが全員並んで写真を撮っていた。
栗本先生が真ん中にいた。
「これ、去年のか。写真は去年の十一月って書いてあるのか。」
今の雨宮と同じくらいの年齢で先輩たちも少しあどけない感じだ。
「コンサート写真かな。先輩たち若いな。」
しばらく見ていると篠宮先輩の隣にホルンを持っている男子生徒を見つけた。
「ん?この人って誰だ。」
見覚えのない人物に首を傾げる。
すると部室の扉がガラガラと大きく音を立ててひとりの女子生徒が入ってくる。
雨宮は慌ててポケットに写真をしまう。
入ってきた部員は百瀬梓だった。
「どうしたの?」
「あっいや。なんでも。」
「ふーん。」と百瀬は自分のクラリネットを
取り出して練習し始める。
「百瀬さんって部室使う?」
「まぁ使うけど。鍵閉めなら私がしとくよ。」
「すまん。じゃあお願いするよ。」
「わかった。じゃあまた部室で。」
「うん。部室で」
雨宮はそさくさと片付け部室を飛び出して
教室に向かう。
「あっ。写真持ってきちまった。」
雨宮は後悔してしまうのと同時に
写真に映っていた男子生徒は誰なんだろうかと知りたくなってしまった。
メトロノームをセットしてテンポ通りに忠実に吹けるようにひたすら繰り返す。
吹けるようになるまで吹く。
出来ないところはなんとしてでも完成させなくてはならない。
北浜高校は朝練はない。強制ではないためやりたい人はやる感じだ。
篠宮先輩は朝練はしていないがそれ以外の先輩は毎日ではないが練習してる先輩は多い。
朝のホームルームが始まるのが8時半からなので今は7時半。あと1時間も練習できる。
いつもの席に座って練習していると
となりの篠宮先輩の席に楽譜が入っているクリアファイルから一枚の写真が落ちきた。
「ん?なんだこれ。」
雨宮は手を伸ばし写真を見るようとする、
しかし手に取る前にいったん停止する。
周りを見る。誰も見ていないことを確認する。
「いけないいけない。誰も見てないな。」
見たいような見たくないような、天使と悪魔に囁かれてるような、そのまま裏返しのまま戻そうとする。しかし運悪く窓からの風で写真の表が見えてしまう。
「あっ。」
写真が見えてしまった。
先輩たちが全員並んで写真を撮っていた。
栗本先生が真ん中にいた。
「これ、去年のか。写真は去年の十一月って書いてあるのか。」
今の雨宮と同じくらいの年齢で先輩たちも少しあどけない感じだ。
「コンサート写真かな。先輩たち若いな。」
しばらく見ていると篠宮先輩の隣にホルンを持っている男子生徒を見つけた。
「ん?この人って誰だ。」
見覚えのない人物に首を傾げる。
すると部室の扉がガラガラと大きく音を立ててひとりの女子生徒が入ってくる。
雨宮は慌ててポケットに写真をしまう。
入ってきた部員は百瀬梓だった。
「どうしたの?」
「あっいや。なんでも。」
「ふーん。」と百瀬は自分のクラリネットを
取り出して練習し始める。
「百瀬さんって部室使う?」
「まぁ使うけど。鍵閉めなら私がしとくよ。」
「すまん。じゃあお願いするよ。」
「わかった。じゃあまた部室で。」
「うん。部室で」
雨宮はそさくさと片付け部室を飛び出して
教室に向かう。
「あっ。写真持ってきちまった。」
雨宮は後悔してしまうのと同時に
写真に映っていた男子生徒は誰なんだろうかと知りたくなってしまった。
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