あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第四楽章 中部日本吹奏楽コンクール

時間はない｡

自由曲「星の旅」｡
最初はフルートのソロからのアルトサックスのソロに入る。
そこからアップテンポで早くなり木管は連符が続く。

しかしホルンにはメロディーのところに
違ったリズムで動くところがある。
裏メロみたいな感じで遅れて入ってくるのだが高い音が入ったり急に低くなったり難しい｡成功率は50%だろうか。安定しない。

「やめ。」と栗本先生が合奏を止める。

今はそこのフレーズを全体で繰り返している。
このリズムの動きをしているのはホルンの
篠宮先輩と雨宮だけである。

「ホルンだけで｡1人ずつ｡」

「はい。」と篠宮先輩と雨宮が返事をする｡

でた、公開処刑。
「演奏中1人ずつ吹いて」と練習中に要求する先生がいる。

「まず美玲から。」

「はい。」

「ワンツースリーフォー。」

篠宮先輩は息を吸い込んだ。
テンポよく忠実に吹く｡しっかり音も出ていて響きも良い。

「はい。もっとなめらかに｡しっかり吹けるように｡次。」

「は、はい。」雨宮は慌てて楽器を構える。

栗本先生の指揮に合わせて行きの吸い込むタイミング、個人練習だってしてきた。
しかし高い音を外してしまう。

「もう一度｡」栗本先生が雨宮にもう一度吹くように要求する。しかしうまくいかない｡
唇や左手の指がうまく動かない。

「ホルン？」

「はい。」

「ここ吹けるようになる？」

「、｡練習してきます。」

「本番は一回しかないからね。」

「はい。」

「じゃあ今度は低音｡全体的に音が崩れてるから、、｡」


吹奏楽部は練習してないと吹けない。
コンクールで上位入賞を狙うには上手な演奏を審査員の前で披露しなくてはならない。
だが吹けないでは話にならない。

雨宮は譜面に吹けないところを丸で囲む。

「練習しなきゃ。」

中部日本吹奏楽コンクールまで時間がない。
早く練習しなくては｡