あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第三楽章 新生北浜高校吹奏楽部

一年生で合奏をしてみよう。④

「じゃあみんな準備はいい？」と横山先輩が合奏準備を始める。

「はい。」と一年生が全員返事をする。
自信がある人ない人。不安な人。
それはそうだ不安があって当然だ。

周りを見ると一年生ごとに先輩がついていた。雨宮と小林と若菜と優実以外の一年生は隣に先輩がついていた感じだった。

クラリネットの百瀬には二年生の同じ楽器を担当している内山先輩｡

大海の隣にはバリトンサックスの時田先輩｡

伊藤の隣にはバスクラリネットの名瀬先輩｡

金子の隣は眼鏡をかけた市ノ瀬凛先輩｡

パーカッションの絢辻と朝花は野俣先輩が2人を見ている。

「私が指揮をするからそれに合わせて。テンポの音は大きく出しておくから。四拍子で振るからね。じゃあ行くよ。」

「はい。」一年生が返事をする。

音をみんなで合わせる。雨宮は何ヶ月ぶりだろうか。そんなことを思いつつゆっくりと息を吸う。深く必要な分だけ吐き出す。
久しぶりの演奏なはずなのに不思議と迷いはない。

「ワンツースリーフォー」

みんな同じ音。ドレミファソラシド。
たったの八個の音なのに。みんな同じ音を吹く。

ドレミファミレド。ミファソラソファミ

小学校の音楽の授業の時に教わった鍵盤ハーモニカの曲の一つ。
伸ばす音もひとつもない一つの音。

大海のバリトンサックス。伊藤のバスクラリネットの低音の音が重なり中音のホルンと優実のトロンボーンの音、そしてフルートやアルトサックス、トランペット、クラリネットの音が一体感を生む。
パーカッションもリズムを刻み一緒についていく。

音がズレてたり少しリズムにがズレてたり、
みんなまだまだバラバラだけど

やっぱり合奏は悪くないと思う雨宮だった。