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第一楽章 始まりの日

初めての感覚。

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吹奏楽部の新入生歓迎コンサート、楽器体験会も終わり大海と2人で帰り道を歩いていた。

「マジ凄かったな。洸お前すごいなぁ。なんであんなに吹けるんだよ。」

「褒める前に何か謝ることあるだろ。」

ギロッと大海を睨む。

「悪い悪い。でも隠しとくなんて勿体無いだろ。あんな才能を持ってるのに。」

「3年間やれば吹けるようになるよ。でもそこからもっと上手くなるのが難しい。」

「そうか?俺からしたら雨宮は上手く見えるけどな。でもみんな洸とあの先輩のことみてたぜ。それだけ注目の的だったてことだろ。」

「いや。みてたのは初心者の子達だけだよ。初めてみることだから興味の方が大きかったんだろ。他の先輩や経験者の一年生の子達は見てなかった。」

「そうなのか?まぁいいや。」

「そういえば大海はサックス見てたけど?」

「あぁ!俺、学園天国のソロやってたサックスの部長。中畑さんだっけか?俺、サックスやりたくなったよ。」

「そうか頑張れよ。」

「何言っててんだ。お前もはいるんだよ。」

「ちょっと待って。なんで一緒に入る前提になってるんだ。」

「えぇ?入らないの?」

「まだわからない。」

「そうか。まぁまだ部活決めるまで2週間くらいあるしな。ゆっくり決めようぜ。」


「じゃあ俺こっちだから。」

2人で進んだ帰り道を大海は右手で人差し指を夕日の方に向けた。

「また明日。」

「そうだ。雨宮。せっかくだし連絡先交換しようぜ。」

「いやだよ。」

「なんでだよ。いいから貸せ。」

そう言って無理矢理スマホを取り上げて連絡先を交換する。

「また連絡するわ。」

「わかったよ。」

大海は指を刺した方へ自転車を漕ぎながら走っていく。

「べつに連絡する必要ないだろ。」と雨宮は呟いた。


家につき、玄関の扉を開ける。

「ただいま。」

「おかえりー。」

母親の声がする。いつものように家の2階に登っていく。「洸。ご飯できてるよ。」と声をかける。「わかったよ。と返事をする。」

部屋につき、ベッドに寝っ転がる。

部屋の片隅に置いてあるホルンにつぶやく。

「今日、凄い人に会ったよ。」

篠宮先輩。

あんなに上手な演奏をする人、人生で初めて出会った。
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