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プロローグ 最後のコンクール
決意の日
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「以上で最後のホームルームです。最後になりましたが委員長号令をよろしくお願いします。」
「起立!礼!ありがとうございました!」
卒業証書授与式。
友人たちと最後の別れを悲しんでいるもの。
これからの旅立ちにウキウキしているもの。
はたまた、これからの打ち上げ会で盛り上がってるクラスの上位カーストの人たち。
そんな中、雨宮は音楽室にいた。
雨宮のホルンは自分で所持している楽器のため持ち帰らなくてはいけない。引退した後何度も持ち帰ろうと思ったが家にあっては勉強に集中できないのではないかと考え音楽室に置いてあったのだ。
中身を確認してしまって帰る。そう思ったがいつのまにかマウスピースに口をつけていた。
深くブレスを吸い込んで吹いてみた。
自分が出せる最高の音を。
最初はなるべく小さい音で、だんだんとクレッシェンドぽく。
「新世界より」 ドヴォルザーク
よく練習前に吹いていた曲。
ロングトーンをした後、
後輩のホルンの子達との合奏練習で
よく吹いていた曲だ。
「いい曲だね。」
ふと振り返るとそこには林先生が立っていた。
「えぇ。いい曲です。」
「卒業おめでとう。よかったな。
まぁ何とかなって」
「どういうことですか。俺、そんなに問題児でしたか?」
「お前知らないのか、
教師のなかでは部活バカとか呼ばれてたぞ」
「なんなんすかそれ!酷すぎるでしょ!」
「はっはっはっ!!」
林先生の高笑いが音楽室に響く。
そして自分の頭に嫌な音が響く。マジでやめてほしい。
「雨宮。お前、吹奏楽部続けろよ。」
林先生はじっとこっちを見つめる。
「吹奏楽部に入らなくても
音楽はできます。」
「入らないつもりなのか?なんでだ?」
何故か不思議だが自分の口から言葉が出てきた。あの日から極力避けてきたはずなのに何故だろうか。
「嫌なんです。負けるのが。俺が頑張っても負ける。努力はしてもしても足りないんですよ。吹奏楽部はチームです。1人が頑張っても無駄です。」
「無駄なんてことない!」
林先生が強く反論する。だが反論には聞こえなかった。とても優しい言葉だと思った。
「負けは負けだ。お前はチームに恵まれなかったかも知れない。たしかにお前の気持ちはわかる。でも音楽は1人じゃできない!」
その瞬間、洸は心の奥が熱くなるような
気がした。
「洸!お前は弱さを乗り越えられる
お前のホルンは人を暖かくするよ。
今までの悔しかった気持ち全部ぶつけてこい!」
「お前が吹奏楽部を熱くするんだ!!!」
南中、卒業式。
旅立ちの日に。
「起立!礼!ありがとうございました!」
卒業証書授与式。
友人たちと最後の別れを悲しんでいるもの。
これからの旅立ちにウキウキしているもの。
はたまた、これからの打ち上げ会で盛り上がってるクラスの上位カーストの人たち。
そんな中、雨宮は音楽室にいた。
雨宮のホルンは自分で所持している楽器のため持ち帰らなくてはいけない。引退した後何度も持ち帰ろうと思ったが家にあっては勉強に集中できないのではないかと考え音楽室に置いてあったのだ。
中身を確認してしまって帰る。そう思ったがいつのまにかマウスピースに口をつけていた。
深くブレスを吸い込んで吹いてみた。
自分が出せる最高の音を。
最初はなるべく小さい音で、だんだんとクレッシェンドぽく。
「新世界より」 ドヴォルザーク
よく練習前に吹いていた曲。
ロングトーンをした後、
後輩のホルンの子達との合奏練習で
よく吹いていた曲だ。
「いい曲だね。」
ふと振り返るとそこには林先生が立っていた。
「えぇ。いい曲です。」
「卒業おめでとう。よかったな。
まぁ何とかなって」
「どういうことですか。俺、そんなに問題児でしたか?」
「お前知らないのか、
教師のなかでは部活バカとか呼ばれてたぞ」
「なんなんすかそれ!酷すぎるでしょ!」
「はっはっはっ!!」
林先生の高笑いが音楽室に響く。
そして自分の頭に嫌な音が響く。マジでやめてほしい。
「雨宮。お前、吹奏楽部続けろよ。」
林先生はじっとこっちを見つめる。
「吹奏楽部に入らなくても
音楽はできます。」
「入らないつもりなのか?なんでだ?」
何故か不思議だが自分の口から言葉が出てきた。あの日から極力避けてきたはずなのに何故だろうか。
「嫌なんです。負けるのが。俺が頑張っても負ける。努力はしてもしても足りないんですよ。吹奏楽部はチームです。1人が頑張っても無駄です。」
「無駄なんてことない!」
林先生が強く反論する。だが反論には聞こえなかった。とても優しい言葉だと思った。
「負けは負けだ。お前はチームに恵まれなかったかも知れない。たしかにお前の気持ちはわかる。でも音楽は1人じゃできない!」
その瞬間、洸は心の奥が熱くなるような
気がした。
「洸!お前は弱さを乗り越えられる
お前のホルンは人を暖かくするよ。
今までの悔しかった気持ち全部ぶつけてこい!」
「お前が吹奏楽部を熱くするんだ!!!」
南中、卒業式。
旅立ちの日に。
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