番なんていません、本当です!

jun

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「王女様は…ウサギの獣人なんですね。」

「そう、私の母がウサギなの。父はライオンよ。」

「ライオン⁉︎カッコいいですね~!」

「フフ、ありがとう。でもね、耳と尻尾がある以外はジャンやグレンと同じなのよ。
な~んにも変わらないんだけど、なかなかそれを分かってもらえないんだよね~。」

「そうなんですか?俺は獣人の友達たくさんいますけど、違うなんて思った事ないっすよ。」

「ホント?番とか信じてないの?」

「番?なんすか、それ?」

「知らないの?本読んでないの?」

「俺ら本読むなら剣の練習してる方が好きだから。な、グレン。」

「そうだな、本は読まないな。」

「うわあ、良かった~!絶対、本読まないで!お願い!」

「へ?良いですけど…。」

「ジャン、グレン、私とお友達になって、お願い!」

「え?俺達と王女様が?友達⁉︎」

「そう!私と友達になって!ジャンとグレンは騎士なんだよね?何処に所属してるの?
ここに来れるって事はそこそこ良い所に所属してるんでしょ?」

「そこそこって…まあ、一応白騎士なんで…。」

「白騎士って何?そういえば制服が白だね。」

「白は王宮騎士で、王族や来賓を護衛しています。青は王宮の外が担当ですね。
黒は諜報部隊です。」

「へえ~知らなかった。そっか、私はここでしか騎士の人を見たことがないから、青も黒も知らないんだね。」

「そうですね。でも、王女様なら友達なんてたくさんいるでしょ?」

「それがね…女の子の友達はたくさんいるんだけど、男の子が寄って来ないのよ…」


そして、どうして男の子が寄って来ないのかを説明した。

「へえ~番ね~初めて聞いた。グレン、知ってた?」

「俺も知らないけど、学生の時に女子が本の話ししてた時に聞いたかもしれないな…」

「でね、私20歳までに結婚しないと本物のウサギになっちゃうのよ。」

「「え?」」

「人族の人と結婚して、子供を作らないと血が薄まらないんだって。だからジャンとグレンには私と結婚してくれそうな人、紹介して欲しいの!」

「待って待って!ウサギになっちゃうの?
あの、ピョンピョン跳ねるウサギ?」

「そう、ウサギ。後数年しかないから焦ってるんだけど、誰も寄って来ないから困ってた。こっちに急遽留学したのも、そういう理由なんだよ。」

「そっか…なんか大変なんすね…。」

「他の獣人の方はならないんですか?」

「獣人の血が濃いのはやっぱり王族なんだろうね~私も両親も驚いたんだけどね…」

「姫様だけなんですか?」

「そうみたい…。だから、花婿募集中なの。」

「分かりました!俺らが協力しますよ!」

「はい、俺達で出来る事は協力します!」

「ありがとう、ジャン、グレン。
そういえば、二人は婚約者いるの?」

「俺はいないけど、グレンには彼女がいますよ。」

「はい、お付き合いしている人はいます。」

「そっか…じゃあ、ジャン、私と婚約してみない?」

「ハア?嫌です!」

「だよね~一応ね、一応。聞くだけ聞いてみた…」

「あ!すみません、王女様が嫌とかではなく、騎士を辞めるのが嫌なんです!」

「良いの良いの、そんな訳だからよろしくお願いします。」

「分かりました。それで、これから俺達は何をすれば良いんですか?」

「そうね~どうしたら良いんだろ?」

「俺達は王女様がいる間はここが担当なので、ちょくちょく来ますから、見かけたらその時にでも声かけてくれたら、良いですよ。」

「ありがとう!そうするわ!」

「じゃあ、俺達もう行きますから。」

「ジャン、グレン、本当にありがとう。貴方達は私の初めての男友達よ!またねー!」

「はい、じゃあまた!」



そう言って二人は行ってしまった。


「姫様…私は知りませんよ~クレアさんに怒られても!」

「だって、こうでもしないと男性となんて知り合えないもの!」

「そうですけど…」

「ケイト…でも意外とあの二人嫌いじゃないでしょ?尻尾がさっきからフリフリしてるもの。」

「ハッ!もう違いますよ~!この尻尾は私の意思とは関係ありません!」

「ハイハイ、そういうことにしとこ!」

「姫様、ホントですからー!」



こうして私に初めての男友達が出来た。

遅くなった事に怒ったクレアに理由を話したら、もっと怒られた…。













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