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親父と隼也、憤慨する

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親父と実家に帰ってきてから、慎吾、友利、西山に昨日からの出来事をメッセージで送った。
しばらく実家にいる事、これから面倒な事になるかもしれない事を伝えた。

友利は了解、西山は今度行く、慎吾は心配だから今日行くと返事が来た。

「今日、慎吾来るって。」

「別に来なくてもいいけど。でも仕方ないか、いっぱい嫌がらせしたし。」
と親父。

「え?嫌がらせ?」

「まあまあいいじゃない、隼也が帰ってくるまで、詳しく山口何某さんの事教えてよ。」

という事で、親父に昨日の山口との再会を話した。

「隣りに住んでいたのは偶然なんだね?」

「多分…なんとなくだけど引っ越しの挨拶に来たような気がするから。」

「昨日まで、接触はなかったんだね?」

「うん。隣りに山口が住んでた事も知らなかった。てか、男が住んでるのか女が住んでるのかも知らなかった。」

「その山口さんは、引っ越ししたけど、たまに来ては蓮がいるかどうかチェックしてたと。それでたまたま洗濯物が干してあったから、部屋を訪ねたけど居なかったからマンションの外で待ってたと。
で、慎吾と言い合いになってたところに蓮、登場。
ずっと好きだったけど蓮と慎吾を見守ってた、慎吾が佐藤美咲と結婚して、蓮を苦しめた事が許せないのと、蓮を心配して見に来た、って事で良い?」

「うん、そんなような事言ってた。」

「それで実家に帰ってあの人に話したと。
何で?」

「そんなの知らないよ~あ、山口にメッセージ送ってみようか?」

「うーーん、あの人が絡んできそうで嫌かな。隼也帰ってきてから考えよう。」

あの人が何を考えてるのか、何をしたいのか全く分からない。

しばらくすると隼ちゃんが帰って来た。

「あれ、蓮帰って来たの?」

「親父に聞いて」と言って、俺は夕飯の準備を始めた。

手の込んだものは作りたくなかったから、焼き魚とお浸しと卵焼きと味噌汁を作って食卓に運んでる間に、親父が隼ちゃんに説明したようだ。

夕食を食べ終わった後、隼ちゃんが話し出した。

「俺はね、ずっとあの人の事見張ってたの、また宗を苦しめるんじゃないかと心配だったから。

あの女、慎吾を嵌めた黒幕だと思うよ、まだ証拠はないけど。

最初から狙って再婚した訳じゃなかったんだろうけど、たまたま蓮の同級生の娘と、同じ高校に通っていた息子がいた。

再婚した時、義理の息子は大学生、義理の娘は高校生、蓮の事を何気に聞き出したんだと思う、蓮の名前は出さずにね。

不思議に思った事があったんだよ。
その頃あの人、ファミレスとかハンバーガーショップとかコンビニ、ラーメン屋にマメに通ってた時があった。
今まであの人、学生時代は別としてプライド高いからそういう場所行きたがらないのに、どうして行くんだろうって思ってた。

あの人・・・慎吾のバイト先に通ってたんだ、きっと。

まだ蓮と慎吾は付き合ってなかったけど、何処かで耳にしたんじゃないかな、蓮と慎吾がいつも一緒にいたとか。
義理の息子が何気に言ったのかもしれないね。

蓮と付き合ってた俺の事を心底嫌っていたからね、あの人。
だから蓮と慎吾が付き合ってるなら邪魔してやろうとは思うんじゃないかな、あの人なら。
正直、狂ってると思うよ、あの人。
尋常じゃない。

義理の娘が佐藤美咲の友人だったなら、何かしらあの人が誘導したり、煽ったりした可能性は充分あると思う。

俺は本当にあの人が嫌いだし、今も昔も怒ってる。
実の息子にする所業じゃない。
あっちがその気なら、こっちだって昔と違ってガキじゃない。
今度こそあの女を追い詰める。

あの時、やられっぱなしで反撃出来なくて、今でも夢に見る。俺から宗を奪った優越感で笑ったあの女の顔。
俺は絶対忘れないし、許さない。」

俺みたいに隼ちゃんは口が悪くないし、大きい声も出さないけど、腹に響く良く通る低い声で話す隼ちゃんが、すごく怒ってるのがわかった。
初めて怒ってる隼ちゃんに驚きつつ、自分の母親ながらろくでもない女だったのだと実感し、改めて昨日、ドアを開けなくて良かったと思った。

「あの人が俺をどうしようと、どう思おうと構わないんだけど、蓮に手を出したか、出そうとしてるのは許せないよ、俺も。
もし、蓮と慎吾を苦しめる為に今回の事を仕組んでいたのなら、今度は見逃さない。

あの時は、慎吾みたいに心強い味方が近くにいなくて、やられっぱなしだったからね、今度は倍返しでやり返すよ。
一度、直接対決しようかな、場を整えてよ、隼也。蓮も慎吾も委員長も近くで控えてもらってさ。」
と親父も口調は乱れないが、しっかり怒っていた。

離婚の時、親父は一言もあの人に言い返す事はなかった。
引き止めようなんて思っていなかったからかぁ…俺は言い返さない親父にイライラしていたが、そんな裏事情があるとは思ってなかったもんな…。

「直接対決しても、あの人頭は回るからバレるような事言わないんじゃないの?」
と言えば、

「話すように誘導するんだよ、尋問ってそういうもんだよ、蓮。」
と警察みたいな事を言う隼ちゃん。

「多分ね、俺の隣りに隼也がいたらあの人、我慢できないからボロを出すのは早いよ、きっと。
とにかく自分のモノにならなかった俺と、邪魔をする隼也が気に入らないの。
蓮は自分に似てるから気に入ってたけど、思い通りにならない蓮も気に入らないんだよ、あの人は。
自分中心に地球は回ってると思ってるから。」


大体話しが終わった頃慎吾がやってきた。

「遅かったね、話し終わっちゃったよ。」
と言われた慎吾は、

「蓮に聞くから大丈夫です!蓮、お腹空いた、何か食べたい。」

「仕事してきた人にはちゃんと夕飯作っておいたから食べ給え。」


慎吾が食事している間に、今まで話していた内容を話した。

「怖!きも!蓮の元母ちゃん怖!」

そればっかり言っていた。

その後、親父はあの人に連絡してあの人に会うことになった。
場所は隼ちゃんが用意した洒落た小料理屋の個室。個室には隠しカメラ2台設置。
俺達は隣りの個室を借り、画像と音声を聞くことになった。


決戦は3日後。


















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