私の婚約者の苦手なもの

jun

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堕ちた

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“ローリー”はシア達のテーブルに移り、マシューさんの隣りに座った。
単にシアの隣りが嫌(女性だから)だっただけで座ったのだが、マシューは隣りに座った事に喜んでいるようだ。
「隣り座って頂けて光栄です!」
と言ってはしゃいでいる…

「それではお名前教えて下さる?私はローリーよ。家名は秘密。あなたは?」

「僕はマシューです。」

「マシューね。そちらのあなたは?」

「私はシンシアです。」

「シンシアさんね。」

「それでどうするの?マシューは?」

「それで、とは?」

「彼女は解消したいんでしょ?聞いていたけれど、あなたが悪いわ。そしてあなた暴力を振るったのでしょう?ダメよ、暴力は。
私、女性に暴力を振るうような方は嫌いよ。」

「決して、決して、これからはそんな事はしません!」

「本当かしら?口だけではなんとでも言えるわ。」

「本当です!信じて下さい!」

「私と約束してくれる?」

「はい‼︎!」

「貴方の浮気相手の方はどうするの?私、浮気する方も嫌いよ。」

「もう二度と浮気はしません!」

「本当?約束してくれる?」

「はい!!!」

「シンシアさんとの婚約はどうするの?シンシアさんは解消したいと言ってるわ。
あんなに悲しそうな顔で…シンシアさんが可哀想だわ…もう解放してあげて…シクシク」

「それは…」

「それにあなたが婚約を解消したら、こうして時折お茶を飲めるようになれるわ、どうかしら?」

「一緒にお茶を飲んでくれるのですか?」

「お茶くらい飲んでもよろしくてよ。ニコ」

「分かりました。
シンシア、婚約解消了承した。両親を説得するのは大変だが、解消出来るよう頑張ってみる!それでいいか?」

「へ?あ、はい!喜んで!」

「それでは急いで報告してきます!また会ってもらえますか?」

「独り身になったらね。」

「はい!!!では今日は失礼します!」

「頑張って、マシュー!」

「・・・ありがとう…ローリー…」











「チョロいな。」


私とシアはただ呆然と二人のやりとりを見ていた。
あっという間に話しが進み、
あっという間にマシューはローリーに堕ちた。

“ローリー”怖っ・・・・・・


ガタガタガタと椅子がなり、お客さんが立ち上がり、拍手喝采になった。


「さすが“ローリー”様です!」
「あれで堕ちない方がおかしいわよね」
「あれでしばらく登校してくれないかしら…」
「代表、見逃して悔しいでしょうね~」
「カトリーヌにオレが来ていた事は内緒だぞ!」


とガヤガヤし出した。


「あれ、みんな、居たの?殿下まで?」
とシア。

「ロイの女装見ないでどうする!しかし上手かったなぁ~ローリーの男の堕とし方。」

「いやぁ、あれはローリーだからですよ、この美貌をあの距離で見たら、ああなりますよ~」と私。

「だな。ローリーが本当の女だったらオレもヤラレるわ」

「ローリー、大丈夫?」

「ローリーじゃない!ロナルド!なんでみんないるかな~見られたくないから家で支度したのに!」

「いいじゃないか、こんな美人、早々見れないぞ」

「僕は早く着替えたい!リリー、もう脱いでいい?」

「家に帰ってからね。でも凄かったよ、ロイ。」

「アイツがチョロすぎるんだよ!」

「とにかく婚約解消出来そうなんだから良かったね」

「おい、代理、呆けてる場合か!」

「いやあ~驚きました…。この前のあれを見たせいか、今日のローリーが強力過ぎて見惚れてしまいました。
これで解消出来たらいいのですが…」

「でも、お前どうすんの?これからも“ローリー”になってアイツに会うの?」

「嫌ですよ!もう“ローリー”にはなりません!」

「でも、ノリノリでやってたのにロイ。」

「ちょっと楽しかったけど…」

「とにかく、これで上手くいったら御の字だ。今日は解散!」

と殿下が言ったのでその日は解散となった。


帰りの馬車で、
「次のドレスは何色を着ようか…」
とボソっと言っていた…



おば様、ロイは女装に目覚めたかもしれません…いいのでしょうか…











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