私の婚約者の苦手なもの

jun

文字の大きさ
上 下
86 / 125

馬車

しおりを挟む



ロイ視点



今日は朝から殿下の執務の手伝いをさせられている。
この人隠密と一緒に居たいばかりにすぐサボる。

なので、隠密に叱られて渋々仕事をしている状態だから、集中出来ず捗らない。

「ハア~~~~」

「五月蝿いです、殿下。集中して下さい。」

「叱られてしまった…」

「また叱られますよ、そんなんじゃ。ちょっと隠密に言ってきましょうか?」

「やります…」

の繰り返しだ。

こっちだってリリーと居られないのに!

今頃リリーはランチを食べているだろう。
今日は誰と何を食べているんだろうか。
隣りに誰が座ってるんだろう…
あの可愛い口で何を食べてるんだろう…

「ロイ、集中しろ!」

「・・・・・・はい…」



その後はなんとか仕事を片付ける事が出来たので遅い昼食を殿下と取っていた。

「そういえばお前達の結婚式はいつなの?」

「卒業式すぐでは慌ただしいとかで、式の一カ月後です。」

「準備進んでるのか?」

「母上やマリア母様が張り切って色々やってるみたいです。」

「ドレスは?」

「ドレスは他人には任せられませんので僕も口出してます。母上達と日々闘いです。」

「あれ、リリーちゃんは?」

「リリーはなんでもいいそうです。その代わり僕とお揃いになるように、なんて可愛い事は言います。」

「…そう。しかしお前らも結婚か~」

「そうです、やっとです!」

「お前らの子供ってちょっと可哀想だよな。」

「どうしてですか?リリーと僕の子なら可愛いに決まってるじゃないですか、可哀想ではありません!」

「だって子供産まれたらリリーちゃん、子供に付きっきりになるぞ、リリーちゃん子供に取られるぞ。」

「・・・・とられる?」

「そう、取られる。」

「リリー、ガ、トラレル…」

「嘘嘘、リリーちゃんはいつでもお前のものだ!」

「子供は要りません!」

「ロイ、よく考えてみろ。リリーちゃんにそっくりな女の子が生まれてきたとしたらどうする?」

「リリーにそっくり…」

「そうだ、そっくりだ。リリーちゃんが小さなリリーちゃんを抱っこしてるんだぞ!」

「そんな極楽のような光景が見れる…」

「そうだ、だから子供は作れ!」

「はい。分かりました!」

「…良かった~危なくグランディ家潰すとこだった。」

「ところでどうして可哀想なんですか?」

「そういうところがだ!子供にも嫉妬するだろう、お前。」

「小さなリリーにどうして嫉妬するんですか、バカなんですか、殿下。」

「バカはお前だ!小さな男の子のリリーちゃんならどうする?」

「・・・可愛いです…」

「はいはい、もういいよ。」


そんなことを話してその日は帰ることなった。


教室にリリーは居なかった。

ガックリして馬車に乗ってリリーの家に向かっていた途中、急に馬車が激しく揺れたと思ったら、馬車が横倒しになった。
その時頭をあちこちにぶつけ、

僕は意識を失くした。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい

宇水涼麻
恋愛
 ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。 「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」  呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。  王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。  その意味することとは?  慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?  なぜこのような状況になったのだろうか?  ご指摘いただき一部変更いたしました。  みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。 今後ともよろしくお願いします。 たくさんのお気に入り嬉しいです! 大変励みになります。 ありがとうございます。 おかげさまで160万pt達成! ↓これよりネタバレあらすじ 第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。 親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。 ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。

MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。 記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。 旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。 屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。 旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。 記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ? それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…? 小説家になろう様に掲載済みです。

私を侮辱するだけの婚約者はもういりません!

杉本凪咲
恋愛
聖女に選ばれた男爵令嬢の私。 しかし一向に力は目覚めず、婚約者の王子にも侮辱される日々を送っていた。 やがて王子は私の素性を疑いはじめ……

【完結】殿下の本命は誰なのですか?

紫崎 藍華
恋愛
ローランド王子からリリアンを婚約者にすると告げられ婚約破棄されたクレア。 王命により決められた婚約なので勝手に破棄されたことを報告しなければならないのだが、そのときリリアンが倒れてしまった。 予想外の事態に正式な婚約破棄の手続きは後回しにされ、クレアは曖昧な立場のままローランド王子に振り回されることになる。

断罪されてムカついたので、その場の勢いで騎士様にプロポーズかましたら、逃げれんようなった…

甘寧
恋愛
主人公リーゼは、婚約者であるロドルフ殿下に婚約破棄を告げられた。その傍らには、アリアナと言う子爵令嬢が勝ち誇った様にほくそ笑んでいた。 身に覚えのない罪を着せられ断罪され、頭に来たリーゼはロドルフの叔父にあたる騎士団長のウィルフレッドとその場の勢いだけで婚約してしまう。 だが、それはウィルフレッドもその場の勢いだと分かってのこと。すぐにでも婚約は撤回するつもりでいたのに、ウィルフレッドはそれを許してくれなくて…!? 利用した人物は、ドSで自分勝手で最低な団長様だったと後悔するリーゼだったが、傍から見れば過保護で執着心の強い団長様と言う印象。 周りは生暖かい目で二人を応援しているが、どうにも面白くないと思う者もいて…

婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います

ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」 公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。 本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか? 義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。 不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます! この作品は小説家になろうでも掲載しています

私のことは気にせずどうぞ勝手にやっていてください

みゅー
恋愛
異世界へ転生したと気づいた主人公。だが、自分は登場人物でもなく、王太子殿下が見初めたのは自分の侍女だった。 自分には好きな人がいるので気にしていなかったが、その相手が実は王太子殿下だと気づく。 主人公は開きなおって、勝手にやって下さいと思いなおすが……… 切ない話を書きたくて書きました。 ハッピーエンドです。

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

処理中です...