私の婚約者の苦手なもの

jun

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気の小さい男

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タニヤさんとロザンナさんの家に行った帰り、グランディ家の馬車とすれ違った。


あれ?と思ったが、気にしなかった。


帰ってのんびりしていたら、バタバタと走る音がしたと思って、ドアを開けたらロイだった。


「リリー、会いたかった~」

「昨日会ったよ、どうしたの?」

「タニヤの所にいると思ったのにいなかったから。」

「え?タニヤさんの家にいったの?」

「行ったけど叔父上の付き添い。叔父上がロザンナさんに会いたくても会いに行けないから連れて行った。」

「えーーー!レイおじ様ロザンナさんのこと好きなの?離婚しないの?」

「どうだろ、離婚はするんじゃないか、もう貴族は嫌だろうからロザンナさんは。」

「そうか…こんなことにもあの事件は影響しちゃうんだね…なんだか可哀想、レイおじ様…。」

「そうだな、それにしてもロザンナさんの雰囲気は変わったんだね、驚いた。
叔父上なんて、ロザンナさんの笑顔を見て固まってた。」

「そうなの⁉︎」

と部屋の入り口で話していたら、お母様が駆け寄ってきた。


「ちょっと!今の話は本当なの?」

「マリア母様、お邪魔してます。」

「そんな事いいのよ、それより今の話よ!」

「本当ですよ、あまり興奮しないで下さい、母様。」

「あら、ごめんなさいね。それにしてもレイモンド様、今になってね~でも離婚を無しにするのは難しいわね…」

「そうですね、でも叔父上のあんな顔を見てしまったら、なんとかしたいと思ってしまいました。」

「あんな顔ってどんな顔よ。」

「ロザンナさんが笑ってくれた時とまた来てねと言われた時の顔は、それはそれは嬉しそうに笑っていました。」

「そう、レイモンド様、奥様亡くしてから再婚なんかしないなんて言ってたのに…
一人は寂しいもの、上手くいってほしいわね…」

「でも、タニヤは叔父上が来ているのが嫌だったようです。」

「タニヤさん、レイおじ様にいつも怒られてたって言ってたし、再婚してからロザンナさん、笑わなくなった事気にしてたから…」

「レイモンド様、前途多難ね。」


なんだか皆んなで沈んでしまった。


「さあさあ、ダメよ、暗くなったら。お茶でもしましょ!
そうそう、ロイ君、カイル様来てるわよ」

「え?父上何しに来たんですか?」

「アランと話してるわ。」



と言って三人でお父様達の所に行った。





「アラン父様、お邪魔してます。
父上、何しに来たんですか?」

「おーロイ君、また来てたんだね、もうここに住めばいいんじゃないか?」

「はい、そうします。」

「ダメダメ、ロナルド、何言ってるんだ!」

「アラン父様の許可が出ました。今日から長期休暇が終わるまでここにいます。」

「ダ・メ・だ!」

「嘘ですよ、泊まったらリリーに手を出しそうですから。」

「お前はサラッと凄いこと言うなよ、アラン見てみろ、動かなくなったぞ。」

「アラン父様すみません、冗談です。」

「ロイは手を出さないの?」

リリーの一言に皆が固まった。

「リリー、何言ってるの?」

「シンシアちゃんが言ってたの、ロイは意外と気が小さいから殿下みたいにはならないですよって。」

「あのやーろーーーーーー!」

「ロナルド、口悪いぞ。そのシンシアって子はロナルドの事を良く知ってるなあ~」
とカイルおじ様が大笑いしている。

「お、お父様は、ロイ君が正しいと思うぞ!」
とお父様は挙動不審になり、

「あら、意外とロイ君は奥手なのね~」
とお母様も笑っている。


私はトリーちゃんと殿下が少し羨ましかった。
私達はあんな甘い雰囲気にならないから…。



ロイが近付いて小さな声で
「リリーは殿下達みたいにして欲しいの?」
と聞くから

小さく頷いたら、
「さあ、行こう、リリー。」

と歩き出したロイを大人達が一斉に止めて、
ロイが、怒っていたのが可笑しくて笑ってしまった。


私達はまだまだ甘くはなりそうもないなと実感した。




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