私の婚約者の苦手なもの

jun

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気になる

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ロイ視点


最近、リリーは会員達と楽しそうにしている。隣りにいるのに少し寂しい…。
特に、代理といる時は僕の存在を忘れて楽しそうにしている。
可愛くていいのだが、寂しい…こっち向いて欲しい…。
そんな事考えてると、大体代理がこっちを見てニヤニヤしている。
コイツ!
そう、コイツは最初こそ隠密のように畏っていたのに、今では僕を親戚のオジサンを見るような目で見てくる。

そんな時リリーが
「シンシアちゃん、何ニヤニヤしてロイを見てるの?」
と聞くと
「ロナルド様がリリー様に構ってもらえなくて拗ねているのが面白いなと。」
なんてリリーに言っている。

「拗ねてない!」
と言えば

「ほらほら、拗ねてる。リリー様、ロナルド様が拗ねていますよ。リリー様の出番です。」
とリリーをけし掛ける。

「大丈夫、ロイ?何に拗ねてるの?甘い物食べる?私、クッキー持ってるよ。」
と食べさせてくれる。


くそッ!僕が喜ぶ事を熟知してる。
流石『愛でる会』代表代理だ。

だが、僕のリリーを籠絡させようとしているコイツは敵だ。

食べ物で釣り、話しで釣り、小物で釣り、
リリーの関心を僕から掻っ攫っていく。

侮れない相手だ。

だから僕も最近は食べ物は常備しているし、
話題を探して会員達(男子会員)からも話しを聞いたり、
街に面白グッズを見に行ったりしている。

面白グッズを見に行くとたまに、代理に会い、奪い合いになるが。


そして、長期休暇に入ってしまった。
漸くリリーを独り占め出来ると思ったのに、タニヤの所に行くという。
タニヤの側には行きたくないので断ったが、我慢して行けば良かった…。


今から行こうかな。
今からなら間に合うかも。

でもなぁ…と考えていたら、叔父上が来た。


「ロイ、少しいいか?」

「良いですよ、どうしたんですか?」

「今日はリリーちゃんとタニヤ達の所には行かなかったのか?」

「リリーとマリア母様の二人で行きました。僕はタニヤは苦手なので留守番です。それが何か?」

「いや、行ったのかなと思ったんだ。あのな、リリーちゃんからタニヤ達の事は何か聞いてるか?」

「随分元気になったと聞いてますよ。ま、あの子は前から元気でしたが。」

「いや、タニヤではなくロザンナの事は何か聞いてないか?」

「ロザンナさんの事ですか?そうですね、よく笑うようになったとか、それくらいですかね。」

「そうか…笑うようになったのか…」

「・・・・・」

「叔父上」

「なんだ」

「気になるなら行ってくればいいじゃないですか、まだ夫婦なんだから。」

「もう関わりたくないだろう、ウチとは…。」

「まだ関わってるんですから、気にする事ないですよ、行くなら僕も行きます!」

「え!ロイも行ってくれるのか!」

「リリーもいるでしょうから。」

「今から?」

「今行かなくていつ行くんですか!」

「わ、分かった!行こう!」


こうして僕達はロザンナさんとタニヤの家へ向かった。


僕と叔父上がロザンナさんとタニヤの家へ向かう途中、ワソニック家の馬車とすれ違った。


あ…。



肩を落として馬車に乗っている僕を見て
「ロイ、どうした?」と叔父上。

「今、ワソニック家の馬車とすれ違いました…もう…リリーはいない…」

「この世にいないみたいに言うなよ!お前が行くって言ったんだ、今更帰るなんて言うなよ!」

「分かってますよ!行きますよ!」

そんな会話しながら馬車に乗ってるうちに、タニヤの家に着いた。




叔父上はドアベルを鳴らさないので、僕が鳴らす。


中から
「はーい」とロザンナさんの声がすると、叔父上の肩がビクっとなった。


「はーい」とドアを開けたロザンナさんが叔父上を見て固まった。

「お久しぶりです、ロザンナさん。
叔父上が、ロザンナさんが元気になったと聞いて、居ても立ってもいられず、でも嫌われてるかもと思って来れない所を僕が無理矢理連れてきました。」

「え?・・・そうなんですか?玄関では何ですから中へどうぞ。」

と入れてくれた。

「どうぞ、座って下さい。今お茶をいれますから。」

と言ってキッチンに行った。


「ロイ!お前何言ってんだ!」

「だって、叔父上が何も言わないから僕が答えたんです、それが何か?」

「嫌われてるとか言うなよ…」

「僕は“嫌われてるかも知れないと思って”と言ったんです、嫌われてるとは言ってません。」

「俺がロザンナに嫌われたくないと思ってると誤解するだろう!」

「そうではないんですか?」

「それは…」

叔父上が答える前にロザンナさんがお茶を持ってきた。

「どうぞ。」

「ありがとう。」

「・・・・・・・・・」

「あのう、今日はどうしました?何かあったんでしょうか?」

「いえ、何もありませんよ。ロザンナさんが笑うようになったと言ったら、叔父上が笑う所を見たいというので連れてきました。」

「ロイ、そんな事一言も言ってない!俺は笑えるようになって良かったって言っただけで…」

「気になって仕方なかったんでしょ?」

「それは…元気にしているのか気にはしていた…。」

「そうでしょ?だったら文句なんかないでしょ。」

「そう…なのか?」

「そうです!」

その時、クスクスと笑い声が聞こえた。

「⁉︎」
叔父上が固まった。

ロザンナさんは元々顔立ちがいい上、今は化粧もしていない素朴な感じで最初の印象とは違って、とてもいい感じだ。

「仲がよろしいんですね、すみません、笑ってしまいました。」

「いや、構わない、どんどん笑ってくれ。」



う~ん、いい感じだ。


別に二人をどうこうしようとは思っていなかったが、
何だかこんな叔父上が面白くて、ついつい煽ってしまった。

さて、僕はどうするか…

と思ってたら、


「あれ?お父様とロナルドだ!」


いないと思ったらいた…

「タニヤ、元気だったか?」

「元気ですけど、何ですか?お母さんに何か用ですか?」

「いや、元気かどうか気になって来ただけだ。もう帰ろうと思っていたところだ。」

「タニヤ!お父様にちゃんと挨拶しなさい。」

「・・・・・」

「ロザンナ、いいんだ。急に来て済まなかった。」


と言って叔父上は家を出た。

「ロザンナさん、お邪魔しました。叔父上も顔が見れて安心出来たと思います。
もしまた叔父上が来ましたら、よろしくお願いします。」

そう言って外に出た。


叔父上はポツンと立っていた。


「叔父上、顔が見れて良かったですね。
ロザンナさんの笑顔も見れました。
ロザンナさんは化粧をしない方が素敵かもしれないです。」

と叔父上に話しかけた時、

ロザンナさんが追いかけてきた。



「レイモンド様、今日はありがとうございました。また、来て下さいね。」


とロザンナさんが言った時の叔父上の顔…

さっきまで落ち込んでたくせに…



「ああ、また来るよ!」

と元気に笑顔で返していた。



ハァ~世話がやける…


帰りの馬車の中ではご機嫌の叔父上が鼻歌を歌っていた。


ああ、リリーに会いたかったなぁ~
















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