私の婚約者の苦手なもの

jun

文字の大きさ
上 下
79 / 125

新しい家

しおりを挟む


あのトリーちゃんと殿下のケンカからは何事もなく、平穏な日々を送り、
気付けば今日から夏の長期休暇になる。

今年はトリーちゃんやシンシアちゃんと色々とやりたい事があったけど、トリーちゃんは王子妃教育が始まるのでシンシアちゃんと遊ぼうと思う。

ロイはどこにでも付いてくるのでいつもと変わらない。

とりあえず、


今日はお母様とタニヤさんの新しい家に遊びに行こうと思っている。
あれからタニヤさんは、別邸を出てお母様と二人で新しい家に住んでいる。
離婚はまだしていないけど、タニヤさんのお母様がもう限界だったらしい。
タニヤさんも結局学院を辞めて別の学校に行っている。

余程学院が嫌だったのか、辞める事が決まると前より元気になった。
その後、話してみたら意外とシンシアちゃんと気が合うのか、二人で盛り上がっていた。
ついでに私とも仲良くなった。
ロイは近付いてこないけど。

レイおじ様とタニヤさんのお母様の事件が解決したのはお父様から聞いた。
タニヤさんも聞いたようだけど、

「大人ってやる事がえげつないよね」
と言ってケロっとしていた。

私のお母様とタニヤさんのお母様はたまにお喋りする仲になったらしく一緒に行ってくれることになった。


ちなみに
殿下は忙しかったのかゲッソリしてたけど、
トリーちゃんに甘えて元気になってた。
夏休みはトリーちゃんが王宮に毎日来るので喜んでいる。



「リリーナちゃん久しぶり~!」

「タニヤさんは今日も元気そうだね。」

と玄関前で待っていてくれたタニヤさんと再会を喜んでいた。

タニヤさんのお母様のロザンナさんが出てきた。

「マリア様、リリーナ様、今日はこんな所まで足を運んで下さり申し訳ございません。
お久しぶりでございます。」
と丁寧に挨拶してくれた。

「ロザンナさん、そんな堅苦しい挨拶なんていらないわ。変わりないですか。」

「ロザンナさん、こんにちは。」

「はい。お陰様でタニヤと二人元気に暮らしております。」

「ねえ、家に入って入って!」

「すみません、どうぞ中へ。」

そう言われて中に入ると、小さいけど過ごしやすそうで、小物も可愛く素敵な部屋だった。

「まあ、可愛らしい部屋ね。これは二人で選んだの?」

「そうです。お母さんと二人で選んで、とっても楽しかったです。」

「そう~良かったわね。」

とタニヤさんは嬉しそうに話している。


学院にいた時のタニヤさんは、いつも怒ってるか騒いでるかで、友達になれるとは思わなかったけど、今のタニヤさんは元気で明るい女の子だ。

「リリーナちゃん、私の部屋に行こう!」
と誘われついて行く。

タニヤさんの部屋は二階らしい。
二階はタニヤさんの部屋とお母様の部屋がある。

「入って入って。」


「うわあ~凄く…可愛い部屋だね。」
「そうでしょ~!」

物凄く・・・ピンクだった…。

「座って座って!」

小さなテーブルと椅子がある。
ピンクだ。

「うん、ありがとう」

そこへロザンナさんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。

「リリーナ様、どうぞ。
タニヤはこんな子ですが、どうぞよろしくお願いします。」

「はい、タニヤさんは面白いので好きです。お茶、ありがとうございます。」

それではとロザンナさんが部屋を出て行った。


「リリーナちゃん、お母さんのこと助けてくれてありがとう。」
とタニヤさんが頭を下げた。

「私何もしてないよ!お母様達、大人が動いてくれたからだよ。」

「お母さんから聞いたの。最初にリリーナちゃんのお母さんが、話し聞いてくれたって。
お母さん、あの事があってからどんどん元気が無くなっていって、
おじいちゃんお父様が死んじゃって助けてくれる人いないし、
私も友達とは離れちゃったしで、訳わかんなかったんだよね。」

「急にいろんな事があったからね」

「うん、急に学校辞めさせられて、新しいお父様が出来て大きな屋敷に最初は喜んだけど、怒られてばっかりだったし、お母さんは笑わなくなったし…

そしたらまた別の屋敷に行かされて、学校も厳しくて…。

今考えると怖いね、殿下を追いかけ回すなんて。でも滅多に出来る事じゃないから、良い思い出だね!」

「タニヤさん、大変だったんだね…。」

「でも今はこの家でお母さんも笑うようになったし楽しいから大丈夫!」

「貴族じゃなくなるけどいいの?」

「いいのいいの、貴族は面倒だしね。私は平民が楽だから良かったよ。」

「そっか、なら良かった!」

「うん!でもたまにおじいちゃんお父様思い出す。可愛がってくれたから。」

「おじいちゃんお父様…おじいちゃんなんだかお父様なんだか分からない呼び方だね」
と二人で笑った。


その後、お母様達のところに戻り、挨拶して帰ることになった。


「今日はありがとうございました。また遊びに来て下さい。」

「リリーナちゃん、また来てね!」


「タニヤさん、ロザンナさん、また来るね」


と言ってお母様と帰った。



今度はシンシアちゃんと来ようと思う。

シンシアちゃんなら、
“おじいちゃんお父様”の事をもっと上手く突っ込んだだろうなと思った。




















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。

MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。 記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。 旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。 屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。 旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。 記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ? それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…? 小説家になろう様に掲載済みです。

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい

宇水涼麻
恋愛
 ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。 「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」  呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。  王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。  その意味することとは?  慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?  なぜこのような状況になったのだろうか?  ご指摘いただき一部変更いたしました。  みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。 今後ともよろしくお願いします。 たくさんのお気に入り嬉しいです! 大変励みになります。 ありがとうございます。 おかげさまで160万pt達成! ↓これよりネタバレあらすじ 第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。 親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。 ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

結婚して二年、告げられたのは離婚でした。

杉本凪咲
恋愛
結婚して二年、告げられたのは離婚でした。 彼は私ではない女性を妻にしたいようで、私に心無い言葉を浴びせかける。 しかしそれには裏があり……

私のことは気にせずどうぞ勝手にやっていてください

みゅー
恋愛
異世界へ転生したと気づいた主人公。だが、自分は登場人物でもなく、王太子殿下が見初めたのは自分の侍女だった。 自分には好きな人がいるので気にしていなかったが、その相手が実は王太子殿下だと気づく。 主人公は開きなおって、勝手にやって下さいと思いなおすが……… 切ない話を書きたくて書きました。 ハッピーエンドです。

【完結】殿下の本命は誰なのですか?

紫崎 藍華
恋愛
ローランド王子からリリアンを婚約者にすると告げられ婚約破棄されたクレア。 王命により決められた婚約なので勝手に破棄されたことを報告しなければならないのだが、そのときリリアンが倒れてしまった。 予想外の事態に正式な婚約破棄の手続きは後回しにされ、クレアは曖昧な立場のままローランド王子に振り回されることになる。

【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!

はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。 伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。 しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。 当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。 ……本当に好きな人を、諦めてまで。 幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。 そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。 このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。 夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。 愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

処理中です...