私の婚約者の苦手なもの

jun

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あれからロイとは、今まで通り一緒に登校している。

何故か、タニヤさんはピタッとロイに近づかなくなったらしい。

ロイの事を好きだと思ったんだけど、違ったのかな?


ロイに聞いても
「全く近寄って来なくなった!良かった~」
と言っていた。


心配事が無くなったので安心だけど、
最近のトリーちゃんの事が気がかりだ。

なんだか元気がない。
聞いてもなんともないしか言わない。

心配だなぁ…

と思っていたら、
ロイが走ってきて抱きついてきた。


久しぶりの感覚に、思わず殺虫剤を出して構えた。

「今度はどんな虫?」

「いやいや、虫じゃないから!」

「あ!そうだった!じゃあ女の子?」

「違う。リリーが悲しい顔してたから走ってきた。」

「え?近くにいなかったよね?」

「僕はリリーの事ならなんでも分かるんだよ。」

「知ってるよ、会員の人かトリーちゃんに聞いたんでしょ?」

「バレた。急に出て来た人が、リリーが悲しそうって教えてくれた。」

「『愛でる会』恐るべし。」

「それより、どうしたの?何かされたの?」

「う~ん、トリーちゃんが最近元気がなくて…。聞いてもなんともないって。
でも元気ない感じなんだよね…」

「そういえばそうかも。リリーが落とした食べ物口に入れても注意しなかったし、リリーの食べかけのクッキー、リリーが隠密の口に押し込んでも黙々と食べてた。普通なら保存するって持ち帰るのに。」

「でしょ?おかしいよね?」

「聞いてみよう。」

「ダメだよ、トリーちゃん教えてくれない。」

「違うよ。『愛でる会』いるか?」

「はい」


おーーービックリ!
植え込みから出て来た。


『愛でる会』凄いなあ。

どこにでもいるんだなぁ…


「カトリーヌに何かあったのか?」

「・・・何かあったような無かったような…言っていいものか…。」

「お願い!いつも私達ばっかり助けて貰ってるのに何にもお返ししてないの。
だから困ってるならトリーちゃんを助けたいの!」

「・・・代表は、おそらくルイジェルド殿下の事で悩んでるんだと思います。
ルイジェルド殿下は、
代表を見かけると、それはそれは嬉しそうに代表に近付いて行っては、楽しそうに何やら話されています。
代表は、最初のうちは無表情を貫いていましたが最近では、代表も楽しそうに笑っています。ですが…」

「「ですが?」」

「ですが、最近楽しそうではないのです。
ロナルド様の親戚の方がルイジェルド殿下に絡み出して…。
代表は注意してるのですが、全く、全く、聞かないのです。
殿下もこれでもかってくらい罵声を浴びせてるのですが、全く応えないのです。
見ていて、ちょっとあの人怖いです…怖いものないんでしょうか?
胸を押しつけたり、抱きついたり、咄嗟のことに殿下も応対出来ない時もあって…。
最近は代表のお兄様が間に入ってくれますが…。
おそらくそれが代表の悩んでる事かと。」


「「そっちに行ったの?」」

「そのようです。」

「それは…殿下が気の毒っていうか…」
とロイ。

「とにかく、理由が分かって良かった。ありがとう。あと、頭に葉っぱが付いてるよ。」

「は⁉︎すみません、ありがとうございます。私はこれで。」

と言って走って行った。



「そうか、トリーちゃん…殿下のこと…」

「なに?」

「なんでもない。女の子の話。」

「それにしても、僕の次は殿下を狙ったかあ~無謀だな。」

「うん、でもなんとかしないと!」


「放課後、殿下に聞いてみよう。」


トリーちゃん…頑張れ!









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