私の婚約者の苦手なもの

jun

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違和感

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ルイジェルド視点



緊急集会の日、早くから打ち合わせの確認をしながら、学院長と生徒達を待つ。


ロイも近くで側近達と打ち合わせている。


説明によっては動揺が広がりパニックになる恐れもある案件だ。

問題行動の事は箝口令を敷いている。
慎重に進めねばならない。



生徒達が集まり、学長とオレが分かりやすく、でも深くは言わずに進めていく。



説明が終わり、後は各自調査書に記入させ、回収と隔離を終わらせれば終了だ。



出口に医師達が並び、生徒は空いてる所に行って提出していく。記入している生徒達と提出していく生徒達をチェックしながら終わるのを待っていた。


その時、視界に入った近くで記入していた女子生徒がわざわざ遠くの医師の所に行こうとしていたので、一番近い医師の所を見た。
誰も並んではいなかった。
違和感を感じ、見ていたら、その女子生徒は隣りにいた生徒の腕を掴み、抱きついた。
ヤバいと思い、すぐに駆け出す。


その間その女子生徒からは目を離さなかった。
腕を掴んだ時、一瞬笑ったからだ。


最短で行こうとして、机を倒してしまった。

その時悲鳴が聞こえ、ロイがオレを追い越しその場に向かう。


噛みついた女子生徒は誰かに顔を殴られて倒れた後、近くにいた生徒や医師に羽交締めにされていた。


ロイが必死に「リリー」と呼び、首にハンカチをあて止血していた。


リリーちゃんだったのか…


リリーちゃんを横抱きにしてロイと医師一人が急いで医務室に向かって行った。


オレは直様指示を出した。

羽交締めの生徒に鎮静剤を打たせ、調査書の回収を再開させる。


人手が足りなかったが、途中で手伝ってくれる生徒が大勢集まってくれて、回収、選別は滞りなく終わることができた。


拳から血を流している女子生徒がいた。


彼女が殴ったのだろう。
腫れている。

故意か偶然か殴ったのは正解だ。
おそらくあれはリリーちゃんを狙って噛んだ。

引き離そうとしても離しはしなかっだろう…

殺す気だったのか…




とにかく彼女の治療をさせないと。

彼女の近くに行き、別室での治療を勧める。

雰囲気が独特で気配を上手く消している。

距離感も護衛のようで、もしかしてイーガー家の令嬢かと聞けば当たりだった。


リリーちゃんを助けてくれた事に感謝を述べると、自分が勝手にやった事だからと言う。


今まで見てきた令嬢と違って距離感が心地良い。


名前を愛称で呼んだら、切長の目がまん丸になった。

別室に着いたので、中にいる医師に彼女の治療を頼むと、急いで講堂へ戻る。
後処理を済ませないと。


トリーちゃんか…なかなか良い。


学院長と先生達の姿を見つけ、走り出す。

おそらく面倒なことになる。

その前に情報を集めなければ…。


事後処理をしながら作業を手伝ってくれている生徒にあの女子生徒の事を聞く。

どうやらその生徒はロイの熱狂的ファンらしい。ロイのファンはたくさんいるが、リリーちゃんを溺愛していることが分かると大概は諦めて遠くから眺める鑑賞用としてロイを見守っている。

たまにいる突撃隊もバキバキに心を折られて終わる。
だが、あの子は虎視眈々と狙っていたのだろう…どうリリーちゃんを排除するかを。

昨日たまたまロイがいない所をリリーちゃんに接触したようだが、軽い嫌がらせ程度だったらしい。
おそらく焦れて動き出したのだろう。

だが、どうしてこのタイミングで噛むという行動に出たのだ…?
先日の事件をどこかで目撃したのか…?
詳しい事は今はまだ分からんな…




事後処理がほとんど終わる頃にロイ達が例の女子生徒が目覚めたと伝えにきた。


四人で例の女子生徒のところに行くと、トリーちゃんが殺気を放っている。


殺気には気づかないフリをして、
彼女、イレーネ・クォーツ伯爵令嬢に質問していく。


コイツ、先日の事件のこと知ってるな…
学院内ではなく街で見たのか…
どっちにしても知っていたから噛みついたんだろう。
噛みつかれたくらいでは死にはしないが、傷をつける事は可能だ。

覚えていないフリをするつもりだったのだろうが、ボロが出始める。

案の定リリーちゃんを狙っていた。


とりあえずは事故ではなかったことはハッキリした。


この女と同じ空気を吸っているのは気分が悪い。



質問を終わらせ退室しようとすると一人になりたくないとほざく。
ロイに残ってほしいのだろう。

ロイを見たらロイも殺気を放っている。
ついでにトリーちゃんも。

医師がつくと伝えさっさと部屋を出た。



ロイはリリーちゃんをトリーちゃんに預け、オレと空き部屋に入る。



ハァ~今日も遅くなりそうだ~














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