私の婚約者の苦手なもの

jun

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捕獲

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今日の授業は中庭で好きなものを写生するとのことで、各自バラバラになり、写生している。
ロイは私の隣りにいるが。


二人並んで花壇の花を描いていると、用務員のおじさんが近くで作業を始めた。


なんとなく見ていたら、おじさんが側で写生していた女子生徒に近づいて何かを掴んだ。
一瞬、ビカビカしたものが見えた気がして、戻ってきたおじさんに話しかけた。


「おじさん、何を捕まえたの?」


「あ~最近よく見かける虫だよ」


「え?見せてもらえますか?」


「いいよ、ほら」


やっぱりビカビカ虫だ!


だが、恐らく死んでしまったのだろう…。
なんだろう…見なきゃ良かった…。


「強く握り過ぎたなぁ~綺麗だが噛むんだよ、こいつは。見かけたら気をつけるんだよ!」


「おじさん、この虫見つけたら生捕りしてもらえますか、1匹だけでもいいので!」


「別にいいけど、噛まれないようにね!」



オオオオオーーーーーー!


ついに捕獲出来る!


「ロイ、生捕り出来るよ!やったね!」


「捕まえたら、アンネリッタ嬢に連絡して調べてもらおう、リリーが噛まれたらダメだからね。」


「そうだね、専門家に預けるのが一番だよね。」



後日、用務員のおじさんから捕まえたと連絡があり、受け取りにいった。


初めて近くで見る事が出来た。
写生の時は、潰れた状態のはよく見れなかったから。


全体的にカミキリムシっぽい。
だが、派手だ。派手というか柄がうるさいというか、赤、オレンジ、青、緑、金、本体は真っ黄色なのに背中の模様は各色がまだらに配置されていてチカチカする。
とにかくビカビカだ。


これは怖いかも…こんなのが向かって来たらそりゃ小さなロイは怖いわ。

そういえばロイは大丈夫だろうか…。


「ロイ、ビカビカ虫見ても大丈夫?」


「あ!……怖い」

「なんで棒読み?」



多少慣れてもやはりまだ怖いのか抱きついてきた。


背中をポンポンして落ち着かせる。


ロイは首筋に顔を埋めてスンスンしている。


スンスンスンスンスーーーーーー


「ロ、ロイ?」

「ごめんごめん、リリーの香り好きだから。」

「私もロイの香り好き~!」


ロイの首筋をスンスンしてみた。

スンスン

「う~ん、好き~!」


ロイの身体が固まった。
スンスンも止まった。

ん?息止まってる?


「ロイ、ロイ、息止まってるよ!」


プハァーーー


「ロイ、大丈夫?」

「うん、ちょっと・・・ビカビカ虫思い出した…。」

「コレは忘れられないよね…。
じゃあ、私アンネリッタさんに渡してくるね。」


「待って、僕も行くよ。」


ビカビカ虫が入ったカゴは私が持ち、二人でアンネリッタさんのところに持って行った。


アンネリッタさんはビカビカ虫をみて、


「確かにビカビカね…」



と笑っていた。


これで虫除け対策もなんとかなるだろう。








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