帰らなければ良かった

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番外編 奪還と返還〜エドワードの純愛

憎み続ける事を許してほしい

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エドワード視点


あの後、すぐに修道院に手を回し、ベルの罪を少しずつ広めた。
今まで全員が同じ仲間だと思っていたベル以外の女性達は、媚薬を使って他人の婚約者、それも結婚式間近で相思相愛の仲の男性を、媚薬を使って情事の現場を婚約者に見せつけた女、という事が周知された。

それからの修道院は阿鼻叫喚の状態に陥った。

申し訳なく思うが、こちらからも心のケアの為の専門家の派遣やフォローはしっかりさせた。

ベルは孤立し、人の目につかないようにと隔離された。


俺はあの女を許さない。
だが、負の感情というのは精神にくるものがあるらしい。

その事に気付いたのはブライアンだった。

「団長…無理をしてはいませんか?
だいぶお疲れのようです。今読んでいるのは例の件の報告書ですよね?」

「ああ、しかし大丈夫だ。」

「団長はその報告書を読んでいる時は必ずため息とは違う、何か気持ちを安定させるように深く息をはいています。
私、主導でやっていく事も可能です。
当事者ですし。
少しそれから離れてみては?」

「いや、ブライアンがどうしてもというなら構わないが、良ければ俺にやらせて欲しい。やはり、お前やシシリーには極力あの女からは遠くにいて欲しいんだ。
心配かけて済まない。しんどい時はお前やラルスに相談する、だからしばらく静観していてくれ。」

「団長にだけしんどい思いをさせてしまい、申し訳ないです…」

「気にするな、本当に大丈夫なんだ。ただ修道院にいる、他の女性達に申し訳ないと思っていただけだから。」

「・・・分かりました。とにかく無理はしないで下さい。」

「ああ、ありがとう、ブライアン。」


ブライアンに言われるまで気付かなかった。
俺はそんなにしんどさが態度に出ていたなんて。

それでも、あの時のシシリーやブライアンを見ていた俺は、何もしてやれなかった。
その事が辛かったから、こんな事くらいしか出来ない。

抱きしめてあげる事も、涙を拭いてやる事も出来なかったから…。

あの時、録音を泣きながら聞いていたシシリーを抱きしめてあげたかった。
そんなもの聞くなと耳を塞いでやりたかった。
でも、出来なかった…。
少しでも触れたら、俺は…二人の信頼を失ってしまう事をしてしまいそうだったから…。

そしてあの時、シシリーは俺に、一緒に考えてくれと助けを求めた。

嬉しかった。
最初に俺を頼ってくれた事が本当に嬉しかった。

だから俺はどんなにしんどくてもシシリーが納得出来るまで、手なんか抜かず最後までやり遂げると決めた。

純粋に慕ってくれている二人に、ほんの少し後ろめたい気持ちがあるが、決して二人の邪魔はしないから、これが終わるまでは俺にやらせてくれ。

俺の最初で最後の最愛の人が、何の曇りもなく幸せに暮らせるように、



俺はあの女を憎み続ける。















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