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辺境伯
しおりを挟むシックス視点
「シックス、面倒だからもう直接脅したら?」
「は?何を」
今日は早く帰れたので、子供達と一緒に夕食を食べている最中、突然物騒な事を言うサンディ。
「だから例の令嬢達によ。」
「なんで?」
「もう我慢が出来ないから。」
「そんなに酷いの?」
「ええ、このままでは広がる一方よ。」
「ちなみに誰が脅しに行くのが効果的?」
「そりゃあ、二人の仲睦まじい姿を見せるのが、一番よ。あの煌びやかな二人の一人が溺愛している姿は、話題になるわよ~。
あっという間にその話しで持ちきりよ。
その姿を見せつつの、ラルス様とエドワード様の二人を先頭に騎士団引き連れて、脅せばいいのよ、“これ以上手を出したら騎士団が許さない”って。
どう?それで行ったら?」
「確かに効果的ではあるけど、お茶会に騎士団行く事なんてないでしょ?」
「呼べば良いのよ。」
「騎士団を呼びつけるお茶会なんてないよ、無理。」
「私を迎えにって貴方が連れてくればいいのよ、騎士団はたまたまって。」
「そんな騎士団がゾロゾロ出歩く事ないし。」
「そんな全員連れて来なくていいのよ、トップよトップ。目立つ人だけ連れてきたら良いのよ、なんなら近衛も。」
「近衛?近衛が持ち場離れる訳に行かないでしょ!」
「だから例えよ例え。とにかく目立ってなんぼよ。これだけのメンバーがあの二人には付いてるよって、この二人に何かしたらヤバイんだよって教えたら良いのよ。
そもそも、あの子娘達、何か企んでっていうより、ただ幸せな人が憎らしいだけだと思うわ。なんとなくだけど。」
「はいはい、分かったから。もう子供達は食べ終わってるよ。」
全く何を言い出すかと思えば…。
団長二人が揃って真っ昼間のお茶会に顔出すなんてあり得ない。
でも、それが一番手っ取り早いのかもしれないと思う。
そんな事を思いながら、食事を終わらせた。
翌日、団長にサンディの話しをしてみた。
「意外と良い案だと思うよ。一回脅しをかけるのも手だね。」
そう言って何か考え出したかと思っていると、
「そういえば、今、あの方こっちに来てたよね?」
「あの方とは?」
「辺境伯。」
「あ…」
「団長二人は無理だけど、団長と辺境伯なら行けそうだよね?辺境伯ならオニキスの数人、こっちに連れてきてるよね、きっと。」
「多分…」
「ちょっと出るね」
そう言って団長は出て行ってしまった。
ヤバイ…あの人辺境伯を引き入れるつもりだ。
もし、あの人怒らせたら大変じゃないの?
大丈夫なの?
知らない。
俺は何も聞かなかった。
うん、俺は何も辺境伯の事なんて話してないもの、団長が勝手に仲間に入れちゃうだけだもの。
ガース・・・ごめん…。
後はお前に任せた。
もう考えないようにと執務に専念した。
しばらくすると、
ガチャとドアが開いた。
「シックス、お茶出してくれる?」
声の方を見れば、そこには団長とあの辺境伯が立っていた。
うそーー
「はい」なんとか返事をし、動揺を隠しお茶を出した。
「ガランド様、ご無沙汰しております。」
となんとか挨拶をした。
「おお、シックス、奥方と子供達は元気か?」
「はい、相変わらず元気です。」
「それは良かった。それでシックス、どのお茶会に行けば良いのだ。」
「は?」
「ラルスから聞いた。私とエドワードでお茶会に顔を出せば良いのだろう?」
「いや、そのー・・・今すぐサンディに確認します!」
「いや、そんな急がんでもいい。まだしばらくはこっちにいるからな。シシリーともゆっくりしたいし。」
「では、分かり次第お伝えします。」
団長を見れば、ニヤっと笑って何も言わない。
「あの、団長、本当に行くんですか?」
「シックスが言ったんだよ、一回試すのも良いって。」
「いやいや、俺は“一回試すのも良いかもしれない”って言ったんです!良いとは一言も言ってないですから!辺境伯、引き連れて行ったら、シシリーとブライアンにバレるじゃないですか?」
「いいんじゃない?そのうちバレるだろうし。」
「エドワード団長が許さないでしょ?二人が心配だから内緒にしてるのに、なんで勝手にこんな事してるんですか!」
「シックス、落ち着け。俺がエドワードと話してくる。俺も娘のシシリーが心配だからな。心配するな、悪いようにはしないから。」
「あーーーはい…。」
「団長…少しガースの所に行ってきても良いですか?」
本当に済まない、ガース。
極秘ではなくなってしまったよ…
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