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エドワードの不安
しおりを挟むエドワード視点
シシリーが復帰してから、一カ月が経った。
バタバタしていたのも落ち着き、以前の落ち着きが戻ってきていたが、ラルスとの週一にある報告会で聞いた話が気になった。
「エド、ブライアンのあの事を詳しく知っている奴はほとんどいないよな?」
「ああ、俺とミッシェル、ガース、ヤコブ位しかいないはずだ。例え知っていても口外するとは思えないが、それがどうした?」
「クララに聞かれた。ブライアンは浮気したのかってな。」
「は?なんだそれ?」
「だろ?俺も同じ反応をした。どういう事か聞いたら、クララが参加したお茶会でそんな話しが出たらしい。ブライアンが浮気をして、結婚が延期になったと。」
確かに結婚式は延期になった。
シシリーの怪我の事やバタバタした事もあって、半年程延期になったのだ。
「延期したからそんな話しになったのか、それともあの話しが漏れてそんな噂が流れたのか…ただの噂なら良いが、あんな事があった後だ。少し気をつけた方がいいかもしれない。」
ラルスに礼を言い、執務室に戻ってきた。
お茶会という事は、何処かの夫人か令嬢達が噂をしているという事だ。
騎士団の誰かの彼女、嫁から漏れたのか?
ベルの存在はファルコンの者しか知らない。
それも何故連行されたのかは、ほとんどが知らない。
だが、なんとなくは分かっただろう。
それでもブライアンが媚薬を飲んだか飲んだとしてもどうなったのかを知る人など俺達以外ではいない。
ベルを連行する時も、ブライアンは警備隊を部屋には入れていないし、ベルは猿轡をしていた。
部屋を掃除したのはシシリーだそうだし、あの部屋へ入らない限り詳しい事は知り得ないはずだ。
ならただの噂なのか…
「団長、大丈夫ですか?何かありました?」
ブライアンが俺が何もせず黙ったままなのが気になったのか、声をかけてきた。
「いや、少し考え事をしてた。
ブライアン、結婚式は問題なく出来そうか?」
「今のところ何も問題はないので大丈夫です。」
「そうか、延期になってしまったが、楽しみにしている。」
「はい、ありがとうございます。」
気を取り直し、執務をこなした。
「団長、それじゃあお先に失礼します。」
「ああ、おつかれ。」
ブライアンは今からシシリーの所に迎えに行くのだろう。
シシリーの執務室には副リーダーとなったヤコブがいる。
シシリーの移動は結婚式と同じく半年延びた為、まだシシリーがリーダーだ。
新しいリーダーは決まっていない。
なので、ヤコブが執務室にいるのは仕方ないのだが、カールの時はそんなに気にしなかったのに、何故かヤコブと二人きりになっているのが気に入らないらしい。
そんなブライアンが浮気などするわけがないのだが、騎士団以外の人間は何故かシシリーがブライアンを一方的に好きなだけで、ブライアンが結婚するのは妥協して、と思われている。
だからシシリーがブライアンを唆したとなるのだろう。
二人は気にしていないが、あんな事があったばかりだ、少し調べた方が良いかもしれない。
ガースを呼び、ラルスから聞いた話しをした。
「嫌な感じがしますね。態とお茶会で話して噂を広げているのかもしれません。
少し調べてみましょう。あんな事、二度とさせません。」
「悪いが少数で頼む。考え過ぎなら良いのだが、何か気になってな。」
「いえ、そういう直感的なものは侮れません。俺も嫌な感じはしますから。とりあえず、俺とヤコブ、ミッシェルはどうします?」
「ミッシェルにも頼もう。ミッシェルは悪意を見抜くのがずば抜けて良い。」
「確かに。シシリーは気付かないが、ミッシェルは嫌味を言った相手には倍、言い返しているからね。
とりあえず三人で調べます。」
「済まないが、頼んだ。」
ガースも言ったが、もう二度と俺の部下に手を出させない。
ファルコン騎士団を舐め腐ってる奴がいるなら、こっちも容赦はしない。
普段穏やかなガースも戦闘体制に入ったようだ。
女だろうがなんだろうが容赦しない。
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