帰らなければ良かった

jun

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側にいれば

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カール視点







死ねなかったのか…。


あの時、

シシリーの側にいれないなら、

シシリーに軽蔑されるなら、

もう死ぬしかない。


そう思って、首を切った。


なのに、団長が助けてくれたのか…。


ミッシェル、怒ってたなぁ…。

そうだよな、俺のした事はシシリーを傷付ける事だから。

それでも許せなかったんだよ、ミッシェル。

何も知らないでシシリーの横で笑ってるブライアンを、どうしても許せなかった。

シシリーが言わなかったから知らないのは仕方なくても、少し考えたら分かりそうなものだ。


だから、他の女とやってるところを見せればシシリーはアイツと別れると思ったんだよ。

ブライアンといれば、結婚しても嫌がらせは続く。

そんな環境にシシリーを置いておきたくなかった。

俺が側で守れる時は良い。

側にいない時、側にいられない時、

それは隣にブライアンがいる時だ。

ブライアンがシシリーの側に居ればいるほど、シシリーへの嫉妬が増幅する令嬢達。

だから、俺はベルを唆した。


なのに、二人は別れなかった。
手を繋ぎ、仲良く歩いていた。

失敗したのか?と思った。

試しにベルの店の話しをしたら、二人は反応した。


ブライアンは媚薬を飲んだんだ。
そして、ベルとやったんだ!

なのに、何故?


混乱したまま、執務室へ戻ると、団長とミッシェルがいた。


あ~バレたのか。


そして、シシリーはブライアンを許したんだ…。



そうか…ブライアンが他の女を抱いてもシシリーは許したのか…。


なら、俺に出来る事はないな…。
もう、あの二人を別れさせることなんか出来ない…。


だから、シシリーに軽蔑される前に死のうと思った。



なのに…。




首を切ったから声も出せない。


まだ、身体も動かせない。


血を流しすぎたんだな…



シシリーは大丈夫だろうか…

泣いてはいないだろうか…

執務、溜め込んでるだろうなぁ…

ヤコブへの引き継ぎなんてしてないのに、アイツ、大丈夫だろうか…

団長…怒ってるだろうなぁ…

団長だって、シシリーの事好きなのに、どうしてブライアンから奪ってくれないんですか、団長なら俺は…。

団長はブライアンから奪うなんて、そんなことしないか…


楽しかったなぁ…


俺…戻りたいなぁ…




シシリーに会いたいなぁ…










「シシリー、意識戻ったらしいぞ。」

「本当か⁉︎良かった…。一時は危なかったんだろ?」

「ああ、団長が気付くの遅かったら死んでたらしい。ラルス団長も副団長もミッシェルも眠らされてたから、団長が来なかったらと思ったらこぇーよ。」

「しかし刺された後に毒だろ?よく助かったな、シシリー。」

「ホントだよな、でも良かった良かった。」





ドアの外にいる俺を監視している同僚達が、話している内容に、頭がついていけなかった。


シシリーが死ぬところだった?


刺された?


毒?


何があった⁉︎


今度は媚薬じゃなく、命を狙ったって事なのか⁉︎


ラルス団長もブライアンもミッシェルも眠らされたと言っていた。


そんな事あるのか⁉︎



俺がシシリーの側にいればそんな事にはならなかった!


なんで死のうとした!シシリーの側をどうして離れた!

どうせ死ぬならシシリーの代わりに死ねば良かったのに!




シシリー…


俺はお前を守って死にたい…。















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