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初めての野宿
にぃには寝不足さん
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とってもとても眠たいのに、まぶたにあたるお日さまの光が眩しくって目が覚める。
なんてこった。
まだ、全然眠いのにっ。
目元をこすりつつ、もう一眠りするために寝返りを打ったら、お布団からコロンと体が落っこちた。
寝直すどころか、すっかり目が覚めちゃうとか、踏んだり蹴ったりだっ!
「へぶしっ」
冷たい地面に打ち付けたお尻をさすって立ち上がると、あまりの寒さにくしゃみが飛び出す。
コレはヤバい。
やっぱり、もう一度お布団に戻ろう。
上掛けの中に潜り込み、ほっと一息ついたところで視線を感じて横を向く。
「フェリシア……」
「うに」
にぃにの声の低さから寝ぼけてることは理解したけど、めっちゃ怖い。半目で睨み付けられて、怖さのあまりシッポがピュッと股の間に入ってくる。
「うるさい」
「静かにします……」
「そうして」
そっけなく言い捨ててすぐに、にぃには寝息を立て始めた。
多分、次に起きたときに今のやり取りは覚えてない。
――寝起きのコレがなければ、最高のにぃになのになぁ……
上掛けの頭からかぶってため息一つつくうちに、眠りに落ちる。
わたし、寝付きと寝起きの良さには定評があるのです。
そんな朝の一幕があったものの、二度目は割と気持ちよく起きられた。
「僕ね、今、猛烈に後悔してる」
温め直したミルクスープをすすりつつ、にぃにが言う。
「ほむ?」
「巫女様たちと遭遇してもいいから、人里に向かうべきだったんじゃないかなって……」
「えええ? わたし、ヤダよ」
巫女様は、女の子には意地悪で、無類の男好き。その夫の村長だって、同レベルの女好きだ。そんでもって、二人共、わたしたちの五年後とやらを待ちわびてた。そんな人達と再会なんてしたくない。
「でもさ、フェリシア。野宿をしてみて、どう思った?」
「夜空がピッカピカでキレイすぎる。ぶっちゃけ、最高」
「……そう」
おんや? 昨日の夜、にぃにも見とれてたよね?
ご不満そうな視線に促されて、別の感想を口に出す。
「夜ふかしさんは初めてで、ドッキドキのワックワクだったっ」
あやや、これもお望みの返事と違うっぽい。
にぃにの
「……そう。不満点はなかった?」
「焚き火料理は案外難しい」
「……他は?」
「うーん……朝はすんごく寒かったかなぁ」
「そうっ! それっ!!」
どうやらにぃには、壁や天井のない状態での寝起きがとても、とても、とても、とても、とっても、とおおおおっても、嫌だったらしい。
「だってさ、葉擦れの音は気になるし。葉っぱが何度も顔の上に落ちてきて、そのたびに飛び起きる羽目になるしっ」
「ほーほー」
我が家も大概ボロだったけど、壁がある分だけ外の音は聞こえづらかったし、寝ている間に木の葉が顔に落ちてくるなんてことはなかったね。ただし、雨の日は別だ。雨の日は、たまーに水滴が落ちてきた。割と風通しが良すぎる家だったけど、直に風にさらされるよりは暖かく過ごせてたかも。
「むしろ、フェリシアがなんであんなに気持ちよく熟睡できてたのかが謎すぎるっ……!」
それは多分、夜空の素晴らしさとか、今までやったことのないあれやこれやに興奮しすぎたせいじゃないかと思います。
「にぃには、繊細なんだねぇ」
「フェリシアは鈍感なんだね」
ブスッとした表情でヒドイことを言うにぃには、寝不足でご機嫌斜めなんだってことにすることに決めて、スープをジュルリ。
――移動速度と就寝環境、どっちを優先したほうがいいかなぁ……?
もうちょい、にぃにの頭がスッキリしてきたころに相談しようっと。
とりあえず、今はご飯が優先だ。
なんてこった。
まだ、全然眠いのにっ。
目元をこすりつつ、もう一眠りするために寝返りを打ったら、お布団からコロンと体が落っこちた。
寝直すどころか、すっかり目が覚めちゃうとか、踏んだり蹴ったりだっ!
「へぶしっ」
冷たい地面に打ち付けたお尻をさすって立ち上がると、あまりの寒さにくしゃみが飛び出す。
コレはヤバい。
やっぱり、もう一度お布団に戻ろう。
上掛けの中に潜り込み、ほっと一息ついたところで視線を感じて横を向く。
「フェリシア……」
「うに」
にぃにの声の低さから寝ぼけてることは理解したけど、めっちゃ怖い。半目で睨み付けられて、怖さのあまりシッポがピュッと股の間に入ってくる。
「うるさい」
「静かにします……」
「そうして」
そっけなく言い捨ててすぐに、にぃには寝息を立て始めた。
多分、次に起きたときに今のやり取りは覚えてない。
――寝起きのコレがなければ、最高のにぃになのになぁ……
上掛けの頭からかぶってため息一つつくうちに、眠りに落ちる。
わたし、寝付きと寝起きの良さには定評があるのです。
そんな朝の一幕があったものの、二度目は割と気持ちよく起きられた。
「僕ね、今、猛烈に後悔してる」
温め直したミルクスープをすすりつつ、にぃにが言う。
「ほむ?」
「巫女様たちと遭遇してもいいから、人里に向かうべきだったんじゃないかなって……」
「えええ? わたし、ヤダよ」
巫女様は、女の子には意地悪で、無類の男好き。その夫の村長だって、同レベルの女好きだ。そんでもって、二人共、わたしたちの五年後とやらを待ちわびてた。そんな人達と再会なんてしたくない。
「でもさ、フェリシア。野宿をしてみて、どう思った?」
「夜空がピッカピカでキレイすぎる。ぶっちゃけ、最高」
「……そう」
おんや? 昨日の夜、にぃにも見とれてたよね?
ご不満そうな視線に促されて、別の感想を口に出す。
「夜ふかしさんは初めてで、ドッキドキのワックワクだったっ」
あやや、これもお望みの返事と違うっぽい。
にぃにの
「……そう。不満点はなかった?」
「焚き火料理は案外難しい」
「……他は?」
「うーん……朝はすんごく寒かったかなぁ」
「そうっ! それっ!!」
どうやらにぃには、壁や天井のない状態での寝起きがとても、とても、とても、とても、とっても、とおおおおっても、嫌だったらしい。
「だってさ、葉擦れの音は気になるし。葉っぱが何度も顔の上に落ちてきて、そのたびに飛び起きる羽目になるしっ」
「ほーほー」
我が家も大概ボロだったけど、壁がある分だけ外の音は聞こえづらかったし、寝ている間に木の葉が顔に落ちてくるなんてことはなかったね。ただし、雨の日は別だ。雨の日は、たまーに水滴が落ちてきた。割と風通しが良すぎる家だったけど、直に風にさらされるよりは暖かく過ごせてたかも。
「むしろ、フェリシアがなんであんなに気持ちよく熟睡できてたのかが謎すぎるっ……!」
それは多分、夜空の素晴らしさとか、今までやったことのないあれやこれやに興奮しすぎたせいじゃないかと思います。
「にぃには、繊細なんだねぇ」
「フェリシアは鈍感なんだね」
ブスッとした表情でヒドイことを言うにぃには、寝不足でご機嫌斜めなんだってことにすることに決めて、スープをジュルリ。
――移動速度と就寝環境、どっちを優先したほうがいいかなぁ……?
もうちょい、にぃにの頭がスッキリしてきたころに相談しようっと。
とりあえず、今はご飯が優先だ。
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