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二年目 駐屯所
勘違い
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とりあえず、アスラーダさんが幌馬車の主に物言いに行くのは重しを膝に乗せたから防げた……と。
お次は、全員で自分の考えを話し合うことかな。
ダンさんとラヴィーナさんにも座るようにと手ぶりで示すと、二人はリエラ達の正面に揃って腰を下ろす。
……こういう時の仕草は、上品だね。
ラヴィーナさん。
少し、リエラも見習うことにしよう。
「で、座れってことは打ち合わせでもしようってことかしら?」
「はい。それぞれの意見のすり合わせをした方が良さそうなので」
主に、すぐにでも殴り込みに行きそうなアスラーダさんが対象です。
アストールちゃんがいつもお膝抱っこしてもらっているのが羨ましかったからとか、そういうのはちょっとだけ。
うん。
ちょっとだけ、役得だなんて思ってた。
実は、ひそかに羨ましかったのだ。
アスラーダさんにお膝抱っこしてもらってるアストールちゃんのことが。
「すり合わせでも、打ち合わせでもいいんだが……。嬢ちゃんは兄ちゃんの膝から降りてやった方がいいんじゃないか?」
だけど、ダンさんが神妙な表情でそんなことをいうものだから、問題ないよね?
――とアスラーダさんを見上げてみたら、彼は真っ赤な顔をして口をパクパクさせている。
「え? だって、アストールちゃんのこと、いつも膝にのせてるじゃないですか……」
だから、オッケーなはず。
思わずそう呟く。
「アストールって……幼児な挙句に、ラディの妹じゃない。リエラちゃんとは違うでしょう」
リエラの独り言を聞いたラヴィーナさんは呆れた表情だ。
いや、でも……
「アスラーダさんにとってリエラは、妹枠なはず……?」
だよね?
けれど、返ってきたのは否定の仕草。
「い、今まで、リエラのことを妹だと思ったことは――」
その上、しどろもどろにそう言うと、プイッとそっぽを向いてしまう。
「え……」
正直ショックだ。
だって今までずっと、妹枠だから、優しくしてくれたり過保護だったりするんだとばっかり思ってたのに。
でも、妹枠じゃないんだったらなんだろう?
娘?
これは違うよね……
炎麗ちゃんのパパって言われるのにも、微妙な表情になるくらいだし。
じゃあ、アスタールさんの弟子枠?
それなら、コンカッセちゃんとかアッシェちゃんとかも同じ立場だけど、まだ、過保護な行動をしているのは見たことがない。
となると、まさか、『輝影の支配者』の『代行者』枠?
それは、あんまりだ……!!
中町での『輝影の支配者』を考えたら、人として見てもらえてないってことだよね。
こう……神様の代役的な。
もしかして、リエラがアスタールさんから『代行者』について聞く前からアスラーダさんはそのことを知ってたのかもしれない。
それで、これまでずっとリエラに優しくしてたのだったら……
そう思い至ったリエラは、アスラーダさんの膝から降りて離れた場所にぺたんと座る。
そうか。
それで、リエラにあんなに優しくしてくれてたのか……
ちょっとだけ、アスラーダさんが自分に好意を持ってくれてるんじゃないかなーなんて思ってただなんて、とんだ思い上がりだ。
そうだよね。
アスラーダさんは王都育ちの貴族で、次期グラムナード領主様になる人だ。
孤児院育ちのリエラなんて、『代行者』じゃなければ、最初から相手にする価値もないだろう。
勘違いがひどすぎて、どうしたらいいものやら見当もつかない。
ついつい膝を抱えて丸くなりそうになったところで、ハッと気づいて顔を上げる。
今、仕事中!
私事は後回しにしなくちゃいけない。
泣くんだったら、自分の部屋に戻ってからだ。
お次は、全員で自分の考えを話し合うことかな。
ダンさんとラヴィーナさんにも座るようにと手ぶりで示すと、二人はリエラ達の正面に揃って腰を下ろす。
……こういう時の仕草は、上品だね。
ラヴィーナさん。
少し、リエラも見習うことにしよう。
「で、座れってことは打ち合わせでもしようってことかしら?」
「はい。それぞれの意見のすり合わせをした方が良さそうなので」
主に、すぐにでも殴り込みに行きそうなアスラーダさんが対象です。
アストールちゃんがいつもお膝抱っこしてもらっているのが羨ましかったからとか、そういうのはちょっとだけ。
うん。
ちょっとだけ、役得だなんて思ってた。
実は、ひそかに羨ましかったのだ。
アスラーダさんにお膝抱っこしてもらってるアストールちゃんのことが。
「すり合わせでも、打ち合わせでもいいんだが……。嬢ちゃんは兄ちゃんの膝から降りてやった方がいいんじゃないか?」
だけど、ダンさんが神妙な表情でそんなことをいうものだから、問題ないよね?
――とアスラーダさんを見上げてみたら、彼は真っ赤な顔をして口をパクパクさせている。
「え? だって、アストールちゃんのこと、いつも膝にのせてるじゃないですか……」
だから、オッケーなはず。
思わずそう呟く。
「アストールって……幼児な挙句に、ラディの妹じゃない。リエラちゃんとは違うでしょう」
リエラの独り言を聞いたラヴィーナさんは呆れた表情だ。
いや、でも……
「アスラーダさんにとってリエラは、妹枠なはず……?」
だよね?
けれど、返ってきたのは否定の仕草。
「い、今まで、リエラのことを妹だと思ったことは――」
その上、しどろもどろにそう言うと、プイッとそっぽを向いてしまう。
「え……」
正直ショックだ。
だって今までずっと、妹枠だから、優しくしてくれたり過保護だったりするんだとばっかり思ってたのに。
でも、妹枠じゃないんだったらなんだろう?
娘?
これは違うよね……
炎麗ちゃんのパパって言われるのにも、微妙な表情になるくらいだし。
じゃあ、アスタールさんの弟子枠?
それなら、コンカッセちゃんとかアッシェちゃんとかも同じ立場だけど、まだ、過保護な行動をしているのは見たことがない。
となると、まさか、『輝影の支配者』の『代行者』枠?
それは、あんまりだ……!!
中町での『輝影の支配者』を考えたら、人として見てもらえてないってことだよね。
こう……神様の代役的な。
もしかして、リエラがアスタールさんから『代行者』について聞く前からアスラーダさんはそのことを知ってたのかもしれない。
それで、これまでずっとリエラに優しくしてたのだったら……
そう思い至ったリエラは、アスラーダさんの膝から降りて離れた場所にぺたんと座る。
そうか。
それで、リエラにあんなに優しくしてくれてたのか……
ちょっとだけ、アスラーダさんが自分に好意を持ってくれてるんじゃないかなーなんて思ってただなんて、とんだ思い上がりだ。
そうだよね。
アスラーダさんは王都育ちの貴族で、次期グラムナード領主様になる人だ。
孤児院育ちのリエラなんて、『代行者』じゃなければ、最初から相手にする価値もないだろう。
勘違いがひどすぎて、どうしたらいいものやら見当もつかない。
ついつい膝を抱えて丸くなりそうになったところで、ハッと気づいて顔を上げる。
今、仕事中!
私事は後回しにしなくちゃいけない。
泣くんだったら、自分の部屋に戻ってからだ。
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