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二年目 山道視察
思い立ったが吉日
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「さて」
ラヴィーナさんは食事を終えると、何やら気合を入れつつ岩壁の方へと向かう。
「それじゃあ、サクッとやっちゃいますか」
「やっちゃうって、何をですか?」
「今さっき話してたじゃない。トイレと日除けを作るのよ」
至極当然のことのように彼女はそう言うけれど、普通はそんなに簡単に作れるようなもんじゃない。
そう、魔法を使えない人ならば……
「いやいや、そんな、作るって思い立ったからってすぐに出来るもんじゃ――」
魔法を使えない人を代表して、ダンさんが彼女を窘めようとして言葉を失う。
口がぱかーんと開いた彼の目の前で、ラヴィーナさんが手をかざした先でみるみるうちに岩壁が姿を変えていくんだから、まあ、気持ちは分からないでもない。
リエラだって、グラムナードについたばっかりの時だったら同じ反応をしたと思う。
トイレをラヴィーナさんが作ってくれるんだったら、リエラは日除けづくりかな?
そう思って上を見上げてみる。
日除けだから、庇みたいにニョッと岩が突き出すような感じ?
でも、それだと日除けとして役に立たない時間帯もありそうだ。
唇に人差し指をあてつつ、むむむと唸っているとアスラーダさんがそれに気が付いて耳に口を寄せてくる。
「この道中で、リエラは目立つような魔法を使わないようにしてくれ」
「えっと、なにか理由でも?」
「予定外の人間がいるからというのもあるんだが……」
言葉を濁しつつ、視線がラヴィーナさんの方へとチラチラ動く。
ダンさんだけじゃなく、彼女も問題なのか。
「もう、すでにチョコチョコと使っちゃってますけど……」
ラヴィーナさんも輝影族だから、当然『魔力視』が使える。
って言うことは、現時点で既に何度も、リエラが魔法を使っているところは見ているはずだ。
足を冷やしている時もだけど、移動中にだって、日差しを遮るのに魔法を使っていたんだから。
「あの程度なら問題ない」
ラヴィーナさんの前でも魔法を使わないで欲しいという理由が気にならない訳でもないけど、本人がすぐ近くにいる状態じゃ聞きづらい。
仕方がないから、頷いて了解を示すだけにとどめた。
「伯母上。日除けはどんなのを作ればいい?」
「あら、リエラちゃんじゃなくてラディがやるの?」
アスラーダさんに問いかけられてこちらを振り向いたラヴィーナさんは、不満げな表情で口をとがらせる。
「落ちて来なければ、適当にやればいいんじゃない」
という、投げやりな言葉から、リエラに作らせたかったのだという思惑が透けて見えた。
「リエラ、どんな感じがいいと思う?」
「そうですねぇ――」
「いやいやいやいや、まずいだろう!?」
自分でやろうとしていたことを説明しようとしたところで、リエラ達の間にダンさんが割って入ってくる。
「お前さん達は、ついさっき領有権がどうの、開発許可がどうのって話してたばっかりなのに、なに、シレッと勝手なことをやらかそうとしてんだよ!?」
「勝手なこと?」
「領主代理がいるのに?」
アスラーダさんと二人で顔を見合わせてから首を傾げると、ダンさんの口から「は?」と言う、気の抜けた声が漏れだした。
ラヴィーナさんは食事を終えると、何やら気合を入れつつ岩壁の方へと向かう。
「それじゃあ、サクッとやっちゃいますか」
「やっちゃうって、何をですか?」
「今さっき話してたじゃない。トイレと日除けを作るのよ」
至極当然のことのように彼女はそう言うけれど、普通はそんなに簡単に作れるようなもんじゃない。
そう、魔法を使えない人ならば……
「いやいや、そんな、作るって思い立ったからってすぐに出来るもんじゃ――」
魔法を使えない人を代表して、ダンさんが彼女を窘めようとして言葉を失う。
口がぱかーんと開いた彼の目の前で、ラヴィーナさんが手をかざした先でみるみるうちに岩壁が姿を変えていくんだから、まあ、気持ちは分からないでもない。
リエラだって、グラムナードについたばっかりの時だったら同じ反応をしたと思う。
トイレをラヴィーナさんが作ってくれるんだったら、リエラは日除けづくりかな?
そう思って上を見上げてみる。
日除けだから、庇みたいにニョッと岩が突き出すような感じ?
でも、それだと日除けとして役に立たない時間帯もありそうだ。
唇に人差し指をあてつつ、むむむと唸っているとアスラーダさんがそれに気が付いて耳に口を寄せてくる。
「この道中で、リエラは目立つような魔法を使わないようにしてくれ」
「えっと、なにか理由でも?」
「予定外の人間がいるからというのもあるんだが……」
言葉を濁しつつ、視線がラヴィーナさんの方へとチラチラ動く。
ダンさんだけじゃなく、彼女も問題なのか。
「もう、すでにチョコチョコと使っちゃってますけど……」
ラヴィーナさんも輝影族だから、当然『魔力視』が使える。
って言うことは、現時点で既に何度も、リエラが魔法を使っているところは見ているはずだ。
足を冷やしている時もだけど、移動中にだって、日差しを遮るのに魔法を使っていたんだから。
「あの程度なら問題ない」
ラヴィーナさんの前でも魔法を使わないで欲しいという理由が気にならない訳でもないけど、本人がすぐ近くにいる状態じゃ聞きづらい。
仕方がないから、頷いて了解を示すだけにとどめた。
「伯母上。日除けはどんなのを作ればいい?」
「あら、リエラちゃんじゃなくてラディがやるの?」
アスラーダさんに問いかけられてこちらを振り向いたラヴィーナさんは、不満げな表情で口をとがらせる。
「落ちて来なければ、適当にやればいいんじゃない」
という、投げやりな言葉から、リエラに作らせたかったのだという思惑が透けて見えた。
「リエラ、どんな感じがいいと思う?」
「そうですねぇ――」
「いやいやいやいや、まずいだろう!?」
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「お前さん達は、ついさっき領有権がどうの、開発許可がどうのって話してたばっかりなのに、なに、シレッと勝手なことをやらかそうとしてんだよ!?」
「勝手なこと?」
「領主代理がいるのに?」
アスラーダさんと二人で顔を見合わせてから首を傾げると、ダンさんの口から「は?」と言う、気の抜けた声が漏れだした。
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