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二年目 見習い期間

見習い期間終了

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 午後一杯を、素材のスケッチをしながらポツリポツリと話して過ごしたおかげもあってか、リエラ先輩とも大分打ち解けられたような気がする。
私の個人的な感触なので、リエラ先輩の方はどう思ってるかは分からないけど。



 その翌日は、早朝に起きだす。
今日から、朝には体術の授業があるんだよ。
ちなみに私は授業って言っちゃってるけど、本当は修行なのかも。
ほら、一応曲がりなりにも弟子入りした先で習得するべきと思われてる事だもんね。

 セリス師が運動するとき用にって用意してくれた服を着て、裏にある鍛錬場へ。
鍛錬場は、ぱっと見だとそんなに広くないように見える。
大体、奥行きが二~三〇メートルくらい。
幅は工房とおんなじくらいだから……一〇〇メートルくらいはあるのかな?
壁と言うよりも太い柱が等間隔で立っていて、その上に屋根が乗っている。
ちょっと天井が低く感じるのは、広さの割に高さがないせいかな?
それでも、アスラーダさん二人分くらいの高さはあるみたい。
え?
例がおかしいって?
ただ単純に、今居るメンバーの中で一番背が高い人だから、名前が出てきただけ。

「一応、お前たちの体術指南をさせてもらう事になったアスラーダだ。」

 彼も、どうやら師と呼ばねばならないらしい。
でも、アスタール師と混同しそうだから何かいい呼び方を考えないと。

「あと、教師ではないからそういった呼び方はしないでくれ。
 ついでに、『様』付けも却下だ。」

 ……これは困った。
二重に困る。
だってこの人ってば、らしくないとは言え一応は貴族だし。
『師』ってつけてれば、敬ってる風になる気がするんだけどそれもダメで『様』付けもダメとか。

「それじゃ、アスラーダさんでいいのです?」
「ああ、それでいい。」

 私が困っている間に、アッシェがしたっと手を上げて今まで通りで良いのかを確認。
本人もそれを軽く了承とか……。
考えても仕方ないんだろうけど可笑しすぎる。



 私が周りの順応性の高さに遠い目をしてる間に、それぞれがどの程度の体力や武器を扱う技量があるのかを調べる事になった……らしい。
らしいって言うのは、また、考え事に耽ってしまっててきちんと聞いてなかったから。
アッシェが誘導してくれたから、今は、現在の体力を見る為に走らされてるところ。
ふふふ。
勿論、ダントツのビリケツだよ!
工房の外周を走ってるんだけど、もう、何度ポッシェとアッシェを見た事やら……。
エリザちゃんも足は速くないけど体力はあるみたい。
私の事を三回くらいは追い抜いていってる。
結局、五周くらいしたところで足がもつれて盛大に転げたら、もう、立ち上がれなかった。

 その結果と言えば、暫くの間、きっちりと体力作りに専念することが義務付けられたって言うのは言うまでもない事だと思う。
まずは、早朝の時間内に倍の距離走れとか……。
アスラーダ様(呼び方早く決めなくちゃ)は蛇の化身だと思う。
きっと、とびっきり大きいやつ。





 まぁ、私の内心のアレコレは置いといて。
その日の体力測定が終わった時点で、それぞれの見習い期間中の日課が確定。

 早朝は全員そろって師兄の元で、体力づくりと私以外の人は武術の訓練。
アスラーダ様の事は、結局『師兄』って呼ぶ事にした。
最初のうちは、なんだか文句を言ってたんだけどね。
「師匠の兄……じゃ、ない?」
って聞いたら、その後は何も言わなくなった。

 朝食後はお昼の時間までの間、ラエル師の元でみんな揃って魔力操作の練習。
進捗度はそれぞれバラバラだけど、きっちりとそれを把握した上で指導してるラエル師は流石の貫禄ってやつなのかな?
あの見た目で、一〇〇歳超えてるなんて詐欺っぽいけど……。
私とアッシェは見習い期間の間に、『魔力視』もクリア。
魔法の実技に入ったよ!
エリザちゃんはあと少しで多分、『魔力視』も出来るようになるんじゃないかな?
ポッシェは、なんだかまだまだみたい。

 午後はそれぞれの適性に合わせてバラバラ。
ちょっと寂しいけど、やれる事がみんな違うんだから仕方ないんだろうなぁ……。

 ポッシェはスルト先輩と一緒に、武術の訓練をしてるみたい。
一カ月経った頃から、迷宮にも入り始めてるらしいから、ちょっと心配。
多少のケガなら、魔法薬ですぐに治っちゃうのは知ってるんだけど、ソレはソレ。

 エリザちゃんとアッシェの二人はセリス師の元で調薬のお勉強。
この二人は、私と同じように自作の図鑑を作ってるらしい。
基本知識は大事って事かな。
私は大体一人で、スフェーン師の元で図鑑を作る毎日。
リエラ先輩は、アスタール師の元で学ぶ事もあるから不定期で週に一~二回くらいの頻度で来てる感じ。
ただ、あんまり魔法具を作る事には積極的じゃないかな?
彼女の場合、魔法薬の方が性にあってるみたい。
この辺はそれぞれの好みってヤツだから仕方ないところかなぁ……。



 なにはともあれ、そんなこんなであっという間に三カ月。
やっと大まかな図鑑も出来上がったところで、見習い期間が終了したのでした。
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