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二年目 いざ、グラムナードへ!

見世物

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 さて、私達が乗せて貰う事になった商隊の隊長さんの名前はアメデさん。
オクレール商会って言うフレトゥムールでは大き目なお店で働いてる人で、フレトゥムール領内にある村々を巡って行商をして回ってる人。
今回の道中は、小さな村を回って商売をしながら領境を超えてエルドランの町を目指す。
五台の馬車とその護衛の騎馬からなる、二十人を超えるの大所帯での大移動。

 私達は一応はお客様という扱いなんだけど、村で行商をするときには売り子のお手伝いをする事になっていて、その分の運賃はおまけして貰えることになってる。
フレトゥムールの町からエルドランの町までは駅馬車だと五日かかる。
運賃にして、一人当たり五万ミル。
平地だったら三日位でいけるらしいんだけど、登り坂が続く上にうねうねとした道を通らなくちゃいけないからなんだって。
ちなみに、この商隊の場合は八日。
運賃の方は、売り子のお手伝いをするって言うのも勘案してくれて、一人当たり二万五千ミルって事になってる。
この料金には三食宿屋の代金も含まれてる事になってるから、宿代分しかとられてないんじゃないかと思う。
商隊に混ぜて貰う為の手配は全て院長様がしてくれたから、きっと運賃やらなんやらは孤児院への寄付扱いなんじゃないかな……。
ありがたいけど、ちょっぴり申し訳ない。


――だから、その分は働いて返す。


 行商予定のローニャン村が近づいてきたと言う声を聞きながら、私は気合を入れた。





 ローニャン村での行商は、思ったよりも客入りが良かったらしい。
――らしいって言うのは、買っていく人よりも遠巻きに見て行く人の方が多かったから。
ちなみに、ローニャン村はフレトゥムールの町から三十km位の場所にある一番近い村。
徒歩でも一日歩けばつくことが出来る距離だ。
だから、この村での目的は主に買い取りの方。
お店を広げるのは、小さい子や高齢者が多少なりとも買い物をする事もあるからなんだって。
なのに、今回に限っては普段買わない年齢層の人達も購入層に加わった。
なんで?
って思うよね。
理由は簡単。
今回、この商隊には『人寄せにゃんこ』がいたから。

「しかし、ただの噂だと思ってたんだけどなぁ……。」
「俺もそう思ってた。
 町に行っても、すれ違う事もなかったし。」
「それこそ、領主家で囲ってるもんだとばっかり……。」

 そんな、普段は買っていかないお客さんに囲われてるのは『人寄せにゃんこ』こと、アッシェ。

「囲われるとか、やーですよー!
 お妾さんじゃあるまいし……。」

 混雑の原因が特定された時にお会計担当に任命されたアッシェは、お釣りを渡しながら笑ってそう返す。

「いや、でも、他に居ない種族だと変なヤツも寄って来るだろ?」
「そうそう、人攫いとか……悪いやつってどこにでもいるから。」
「お前が犯人か!」
「ああ、確かに去年、攫われちゃったですー♪
 お兄さんが犯人だったのですね。
 そんじゃ、お会計は千ミルのところを千ミルにしておくです。」
「金額、変わってないやん。」
「そりゃ、ボッタクル訳にいかないから仕方ないのです。
 はい、次の人は――三百ミルなのです。」

 世間話をこなしつつ、会計も間違わないとは……。
アッシェは一体いくつの脳みそを頭の中に装備してるんだろ?
アレだ、目と同じで三つとか。

「んな訳ないです、コンちゃん……。」
「そっか。」
「ちゃんと、みんなとおんなじなのですよ??」
「ん、そう言う事にしとく。」


――私のアホな思考まで追ってフォローしてくれるとこもアイシテル。


「アッシェは、コンちゃんの事を友達として大好きですー。」

 心の中でアホな事を呟いてみると、アッサリとそれに対しても返答が返ってきた。
これでこそアッシェだ。


――それにしても……。


 お会計の終わった品物をお客さんが持ってきた袋にしまいながら、思考を切り替える。
これじゃ、アッシェが行商のたびに珍獣扱いの見世物にされてしまう。
商隊の売り上げ的な方向では美味しいのかもしれないけど、何か対策を考えた方が良いんじゃないかな?
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