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二年目 フレトゥムールの昔話

ポッシェと私

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「わぁ! 今日の髪形凄く可愛いね! 兎耳族とじぞくさんみたい。」

 幼いあの日。
ポッシェにそう言われてから、私の髪形はずーっとそのまんま。
今日も、頭の高い場所でツインテールが揺れている。
……今でも、この髪型は可愛いんだろうか?
ポッシェはもう、私の髪形については何も言わなくなったから分からない。
もしかしたら、その言葉なんてもう忘れているのかもしれないな。
そうしたら、あの言葉も……もう、忘却の彼方なんだろうか?



 ポッシェと私の付き合いは長い。
その長さたるや、産まれる前から続いていると言うから驚きだ。
私達の両親は探索者と呼ばれる流れ者。
悪い言い方だと『ならず者モドキ』。
そんなに悪くない方の言い方でも『便利屋』なんて言われている、そんな職業に従事していたらしい。
一応、探索者組合っていう職能組合もきちんとあるんだけど、それでも殆どの人間が宿暮らしをしていて色んな町や村をウロウロしているからそんな風に言われるみたいだ。

 普通の人は、『住民票』のある町から殆ど移動する事はない。
町の外は盗賊や、凶暴な野生動物やたまに魔物なんかが出没するからだ。
それでも毎日町と町を繋ぐ駅馬車が走っているから、まるっきり人の移動がない訳ではないのは、探索者達がそういった障害を取り除いてくれているからなんだと、学校でもシスター達からも教わった。
そして、その時にどうしても命を落としてしまう探索者もいるんだそうだ。

 私とポッシェの父親達も、そうやって命を落としたらしい。
母親達は私達を産んだ後、生活する為に探索者に戻って……そうしてやっぱり命を落とした。
世知辛い世の中だ。
……用法が違う?
そう言うのは気にしないでほしい。
大事なのは、言葉から感じるイメージ……。

 なにはともあれ、そんな世知辛い世の中にも救いと言うのはあって、私達は猫神教の教会が国からの支援金を貰いながら経営している孤児院に引き取って貰えた。
一度、探索者として身を立てていた母達は、街中の仕事にありつけなかったらしい。
だから、私は街中でも1人で生きていけるだけのお金を稼げる仕事にあり付けるように、勉強に励む事にした。
将来は両親と同じ様に探索者になると言うポッシェに、なにがあってもいいように。
出来る事なら、親子三人位が毎日薄いスープと硬いパンにでもありつく事が出来るだけの収入が得られる仕事にありつければもっと良い。
探索者という仕事は、命を拾ってもその後、仕事が行えない身体になってしまう事もあるんだから。
ポッシェが万が一そんなことになった時に、きちんと養っていけるだけの力を身に着けたいと思う。

 だって、ポッシェと私は夫婦になる……らしいし?
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