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天敵
887日目~ 夜明けの歌
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『天敵』を森に放してから2週間が経った。
迷宮都市アトモスでは、流れ出てくる魔獣もぱったりと居なくなり、平和な日々が続く様になったらしい。
明日になると、もう、冬に入るからそうでなくとも虫の類は減って行くから奪魂大蛾が原因での魔獣の氾濫は、何もしなくても無くなっていたんじゃないかと思う。
ただし、あくまでも冬の間は、だ。
春になっても、このまま魔獣の氾濫が起こらなければ『天敵作戦』は成功したのだといえるかもしれない。
ラヴィーナさんには、調べた結果で、分かった事だけは伝えておいた。
ただ、確定情報としてではなく、『~じゃないか』『~だと思います』と言う言い方で、時間を掛けて調べれば他の人も同じ様な結論が出るであろう事だけを伝えるに留める様に注意して。
彼女は何か言いたげにしていたけれども、ラエルさんが素知らぬ顔をしてるのを見て、結局、突っ込んだ事は聞いてはこなかった。
ラエルさんが、本気でラヴィーナさんの肩をもつつもりなら、きっと隠したい事とかも洗いざらい話させられてしまったんだろうけど、彼がそうしないでくれた事がとても嬉しい。
ラエルさんはラヴィーナさんとの関係がどうあれ、私のおじいちゃんでいてくれる様で、その事にホッとした。
迷宮経由で流通させる事にした『再生治療薬』は、その効果が探索者協会から発表されると、一大迷宮ブームを巻き起こした。
ソレが最初に発見された『逃走植物と虫の森』は特にソレがひどかったみたいで、今までにない程の探索者がアトモスを訪れているそうだ。
きっと、もうすぐグラムナードの迷宮でも同じモノが発見されて、大騒ぎになるに違いない。
少しでも沢山、一般に流通してくれて身体の不自由な人が減ってくれたらいいな、とそう思う。
ちなみに、その薬の効果が認められてから、一番最初に使用されたのがラヴィーナさんだったのは言うまでもない事だろう。
ところで……。
年明けに、アスラーダさんが領主を継ぐ為にグラムナードに戻ってくる事になった。
王宮でのお仕事はどうなるんだと思ったけど、それはそれとして、彼が側に居てくれる様になる事はとても嬉しい。
これはフーガさんが、私達の結婚が決まった時点であちこちに根回しをくれて居た結果らしく、その事にめちゃくちゃ感激した。
アスラーダさんも、嬉しかったらしくて少しフーガさんを見る目が優しくなったような気がする。
ああ、でも、フーガさんへの態度はアスタールさんの結婚式の打ち合わせをした辺りから、随分と変わって来ていた様な気が今はするかな?
なんか、アスタールさんの希望に出来る限り沿おうとするのを見ていて、何か感じるものがあったらしい。
本人に付きまといじみた事をやっていた時点で気付いてあげられたらきっと、ここまで拗れなかったんだろうなぁ……。
実のところ、アスラーダさんとフーガさんって、接点が少なかった割に似ているなぁと思うんだよね。
なんというか、他人との距離の取り方的な雰囲気が?
妙なところで要領が悪いところが。
そして、そう言うところが2人とも凄く可愛いんだけど……。
フーガさんはそう言う目で見られているのをなんとなく分かっていて、私の事が苦手なんだろうな、とちょっとだけ思う。
イリーナさんにこっそりとその事を話したら、彼女は嬉しそうにこう言った。
「うふふ。そうでしょ~? フーガちゃんってば、そう言うところが可愛いのよ~! いつもは格好良いのにね♪」
おノロケ、ありがとうございました。
その愛情を、少しでいいのでお子さん達にも分けて頂けたらと思います。
特にまだ小さいアストールちゃんとか。
お母さんが恋しい年齢だと思うんだよね……。
まだ6歳だった筈だし。
ところで、ここにきて驚きの事態が起きている。
いや、驚いちゃいけないのか?
このところ、私の中では色んな騒動が起こっていて、そのせいで色々マヒしてるのかもしれない。
「アスラーダさん……。とっても大事な話があるんです。」
仕事が終わって、やっと王都の屋敷の自室に戻った彼を出迎えながら告げる。
本当なら今の時間の私は、眠る前にグラムナードで明日の為の準備をしている様な時間だ。
「? リエラ?」
「急いでお伝えする必要があるかと思って、こっそり転移してきたんですが……。」
ここに居る筈のない、私の姿をみてキョトンとするアスラーダさんの手を握り、ヒタとその目を見詰めると、いつになく改まった私の態度に、彼の顔が引き締まる。
ああ、緊張する必要は……あるのか?
なにはともあれ、私達にとっては重大な事件だ。
「何かあったのか?!」
手を咄嗟に握り返しながら、顔色を変える彼に、私はそっとその言葉を口にした。
「赤ちゃんがいらっしゃいました。」
「……は…………?」
どんな緊急事態が起きたのかと身構えていた彼は、ポカンと口を開けてそう問い返してくる。
でも……グラムナード人は子供が出来辛いって聞いてたんだよ?
だから、まぁ10年位は授からないだろうなぁって、そう思ってたのに。
時期的には、グラムナードで式を上げた頃なんだろうなと思う。
実は、奪魂大蛾の事件の時に無理をし過ぎて倒れた後、ずっと微熱が引かずに寝込む羽目になっていたんだけれども、あんまりにも長く続くので医者にかかったら言われたのだ。
「おめでとうございます。」
……って。
「子供……?」
「はい。」
「俺と、お前の……?」
「他の人のだったら驚きです。」
「そりゃそうだ……。」
呆然としたまま、アスラーダさんは私と遣り取りをした後、不意に口を噤む。
「リエラ。」
「はい。」
私が返事をするのと同時に、彼は私をヒョイと横抱きにすると部屋を飛び出す。
「父上、父上!!!」
そのまま廊下を素晴らしいスピードで走り抜けると、居間でくつろぐフーガさん達の元へ。
「父上!」
「どうした?」
キョトンとしたイリーナさんを膝に載せながら、不審そうに問うフーガさんに、彼は歓喜の叫びと共に宣言する。
「リエラが身籠った!!! すぐにでも、グラムナードに戻りたい!!!!!」
「……分かった。すぐに戻りなさい。」
アスラーダさんのトンデモ無い発言に、殆ど思考する事無く彼は頷いた。
フーガさん、それ、条件反射ですね??
「いや、お仕事的にソレは無理でしょう??」
「何とかするから、行け。」
フーガさんに、自信満々に後押しされ、私は戸惑いながらもアスラーダさんと共にグラムナードまでの空間を渡る。
「……本当に良かったんでしょうか……?」
「良いに決まってる。」
私的には良くは無いだろうと思ったものの、彼が凄く嬉しそうに私を抱きしめたまま喜びの声を上げてクルクル回るのを見ていたらそんな事はどうでも良くなってきてしまった。
「元気に産まれてきてくれると良いな……。」
「そうですねぇ……。」
彼は私の前にひざまづくと、まだまだ普段と変わりのないお腹にそっと手を触れ、祈る様に言葉を続ける。
「健康に、元気で産まれてきてくれると良いな……。」
「男の子が良いとか、そう言うのは無いんですか?」
「健康で、健常であってくれれば他に望むモノは無い。」
「……確かに、他に望むモノは無いですね。」
そっと、彼の頭を抱き寄せると、丁度お腹の辺りにすっぽりと包まれるようになった。
元気に。
ただ、元気に産まれてくれればいい。
貴方のお父さんはそれだけを願ってくれているから。
そうして、夏の暑い盛りに産まれたのは元気な男の子。
夜が明ける頃に、大きな泣き声を上げた彼は『アルバーダ』と名付けられた。
迷宮都市アトモスでは、流れ出てくる魔獣もぱったりと居なくなり、平和な日々が続く様になったらしい。
明日になると、もう、冬に入るからそうでなくとも虫の類は減って行くから奪魂大蛾が原因での魔獣の氾濫は、何もしなくても無くなっていたんじゃないかと思う。
ただし、あくまでも冬の間は、だ。
春になっても、このまま魔獣の氾濫が起こらなければ『天敵作戦』は成功したのだといえるかもしれない。
ラヴィーナさんには、調べた結果で、分かった事だけは伝えておいた。
ただ、確定情報としてではなく、『~じゃないか』『~だと思います』と言う言い方で、時間を掛けて調べれば他の人も同じ様な結論が出るであろう事だけを伝えるに留める様に注意して。
彼女は何か言いたげにしていたけれども、ラエルさんが素知らぬ顔をしてるのを見て、結局、突っ込んだ事は聞いてはこなかった。
ラエルさんが、本気でラヴィーナさんの肩をもつつもりなら、きっと隠したい事とかも洗いざらい話させられてしまったんだろうけど、彼がそうしないでくれた事がとても嬉しい。
ラエルさんはラヴィーナさんとの関係がどうあれ、私のおじいちゃんでいてくれる様で、その事にホッとした。
迷宮経由で流通させる事にした『再生治療薬』は、その効果が探索者協会から発表されると、一大迷宮ブームを巻き起こした。
ソレが最初に発見された『逃走植物と虫の森』は特にソレがひどかったみたいで、今までにない程の探索者がアトモスを訪れているそうだ。
きっと、もうすぐグラムナードの迷宮でも同じモノが発見されて、大騒ぎになるに違いない。
少しでも沢山、一般に流通してくれて身体の不自由な人が減ってくれたらいいな、とそう思う。
ちなみに、その薬の効果が認められてから、一番最初に使用されたのがラヴィーナさんだったのは言うまでもない事だろう。
ところで……。
年明けに、アスラーダさんが領主を継ぐ為にグラムナードに戻ってくる事になった。
王宮でのお仕事はどうなるんだと思ったけど、それはそれとして、彼が側に居てくれる様になる事はとても嬉しい。
これはフーガさんが、私達の結婚が決まった時点であちこちに根回しをくれて居た結果らしく、その事にめちゃくちゃ感激した。
アスラーダさんも、嬉しかったらしくて少しフーガさんを見る目が優しくなったような気がする。
ああ、でも、フーガさんへの態度はアスタールさんの結婚式の打ち合わせをした辺りから、随分と変わって来ていた様な気が今はするかな?
なんか、アスタールさんの希望に出来る限り沿おうとするのを見ていて、何か感じるものがあったらしい。
本人に付きまといじみた事をやっていた時点で気付いてあげられたらきっと、ここまで拗れなかったんだろうなぁ……。
実のところ、アスラーダさんとフーガさんって、接点が少なかった割に似ているなぁと思うんだよね。
なんというか、他人との距離の取り方的な雰囲気が?
妙なところで要領が悪いところが。
そして、そう言うところが2人とも凄く可愛いんだけど……。
フーガさんはそう言う目で見られているのをなんとなく分かっていて、私の事が苦手なんだろうな、とちょっとだけ思う。
イリーナさんにこっそりとその事を話したら、彼女は嬉しそうにこう言った。
「うふふ。そうでしょ~? フーガちゃんってば、そう言うところが可愛いのよ~! いつもは格好良いのにね♪」
おノロケ、ありがとうございました。
その愛情を、少しでいいのでお子さん達にも分けて頂けたらと思います。
特にまだ小さいアストールちゃんとか。
お母さんが恋しい年齢だと思うんだよね……。
まだ6歳だった筈だし。
ところで、ここにきて驚きの事態が起きている。
いや、驚いちゃいけないのか?
このところ、私の中では色んな騒動が起こっていて、そのせいで色々マヒしてるのかもしれない。
「アスラーダさん……。とっても大事な話があるんです。」
仕事が終わって、やっと王都の屋敷の自室に戻った彼を出迎えながら告げる。
本当なら今の時間の私は、眠る前にグラムナードで明日の為の準備をしている様な時間だ。
「? リエラ?」
「急いでお伝えする必要があるかと思って、こっそり転移してきたんですが……。」
ここに居る筈のない、私の姿をみてキョトンとするアスラーダさんの手を握り、ヒタとその目を見詰めると、いつになく改まった私の態度に、彼の顔が引き締まる。
ああ、緊張する必要は……あるのか?
なにはともあれ、私達にとっては重大な事件だ。
「何かあったのか?!」
手を咄嗟に握り返しながら、顔色を変える彼に、私はそっとその言葉を口にした。
「赤ちゃんがいらっしゃいました。」
「……は…………?」
どんな緊急事態が起きたのかと身構えていた彼は、ポカンと口を開けてそう問い返してくる。
でも……グラムナード人は子供が出来辛いって聞いてたんだよ?
だから、まぁ10年位は授からないだろうなぁって、そう思ってたのに。
時期的には、グラムナードで式を上げた頃なんだろうなと思う。
実は、奪魂大蛾の事件の時に無理をし過ぎて倒れた後、ずっと微熱が引かずに寝込む羽目になっていたんだけれども、あんまりにも長く続くので医者にかかったら言われたのだ。
「おめでとうございます。」
……って。
「子供……?」
「はい。」
「俺と、お前の……?」
「他の人のだったら驚きです。」
「そりゃそうだ……。」
呆然としたまま、アスラーダさんは私と遣り取りをした後、不意に口を噤む。
「リエラ。」
「はい。」
私が返事をするのと同時に、彼は私をヒョイと横抱きにすると部屋を飛び出す。
「父上、父上!!!」
そのまま廊下を素晴らしいスピードで走り抜けると、居間でくつろぐフーガさん達の元へ。
「父上!」
「どうした?」
キョトンとしたイリーナさんを膝に載せながら、不審そうに問うフーガさんに、彼は歓喜の叫びと共に宣言する。
「リエラが身籠った!!! すぐにでも、グラムナードに戻りたい!!!!!」
「……分かった。すぐに戻りなさい。」
アスラーダさんのトンデモ無い発言に、殆ど思考する事無く彼は頷いた。
フーガさん、それ、条件反射ですね??
「いや、お仕事的にソレは無理でしょう??」
「何とかするから、行け。」
フーガさんに、自信満々に後押しされ、私は戸惑いながらもアスラーダさんと共にグラムナードまでの空間を渡る。
「……本当に良かったんでしょうか……?」
「良いに決まってる。」
私的には良くは無いだろうと思ったものの、彼が凄く嬉しそうに私を抱きしめたまま喜びの声を上げてクルクル回るのを見ていたらそんな事はどうでも良くなってきてしまった。
「元気に産まれてきてくれると良いな……。」
「そうですねぇ……。」
彼は私の前にひざまづくと、まだまだ普段と変わりのないお腹にそっと手を触れ、祈る様に言葉を続ける。
「健康に、元気で産まれてきてくれると良いな……。」
「男の子が良いとか、そう言うのは無いんですか?」
「健康で、健常であってくれれば他に望むモノは無い。」
「……確かに、他に望むモノは無いですね。」
そっと、彼の頭を抱き寄せると、丁度お腹の辺りにすっぽりと包まれるようになった。
元気に。
ただ、元気に産まれてくれればいい。
貴方のお父さんはそれだけを願ってくれているから。
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