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だって、卵が食べたいし
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アイラが眠る前に作ってくれた苗の確認を終えてから、ちょっぴりお風呂タイム。魔力がお風呂で回復するのは、改めてありがたい次第です。
床暖房もそうだけど、料理にも魔力を使うからねぇ……
お湯の中でだらーんとしながら、さっき確認した結果を思い返す。
「ホットベリーは果物系。オイルベリーはヒマワリに紅花、ゴマともイケる。――ってことは油を取る植物と相性がいいってことかな?」
まだ、合成をしていないから確定ではないんだけど、もしかしたらホットベリーからはフルーツビネガーができるのかもしれない。となると、オイルウッドはごま油とかの食用油系?
改めて、食の世界が広がりそうな予感にワクワクする。
「塩蔦は果物・豆類と合成できるのがチラホラ……。キュウリとトマトって、果菜だから果物の仲間的な扱いなのかな?」
多分、実を食べる系の野菜のことだったと思うんだけど、よく覚えてないや。
「ポテ蔓は今の所、ほとんどが地下茎を食べる系オンリーで、例外はカラムシだけ」
そういえば、カラムシは塩蔦とも合成できるんだっけ。でも、合成した結果がカラムシの蔓に変わるならいいけど、葉っぱになっちゃうと困っちゃう。
正直なところ、不味くはないけど毎日食べたい味でもないんだよね。とはいえたくさんあることだし、またお浸しにするか。……お浸しと言えば、鰹節、ほしいなぁ。
ないものねだりをしても仕方ないんだけど。
「風蝶花の木は、今のところはお花系」
サンプルが少ないから、他も見てみたいけど……次の機会にでも、確認させてもらおう。
「問題は、ゲイルベリーだよね」
ゲイルベリーは、果汁が醤油モドキで種が味噌モドキという木。だけど、木に触れると風の刃で攻撃してくるという、ちょっと危ない木でもある。完熟すると実が落ちるから、採集をする分にはなんとかなるんだけど、育てるのは避けたい。
なのに、よりによってその木とトマトが反応するとは……
「果たして、出来るのはケチャップの木か、トマトソースの木か……」
確定したわけじゃないけど、『調味料の生る木』だと認識しちゃってるせいで、普通のトマトが生るとは思えない。だから絶対、トマト系の調味料が生るに違いないと半ば以上確信してる。
昨日量産したばっかりだから、すぐに必要ってわけでもないけど使い勝手のいい食材だから気になるんだよね。
お風呂を上がったら、合成植物の想像をする時間は終了。気持ちを新たに、錬金室で棚作り。お風呂の隣にぽっかり空いたスペースにコレを置いて、倉庫の中身を移動してくる予定です。
空いた倉庫?
アイラが、外に出られるようになったら鳥を捕まえると気合を入れていたので、改造して鳥小屋にするつもり。多分、原動力は『すき焼き』なんじゃないかな。
私としても、是非とも捕まえて欲しい。なにせ、料理の幅が大いに広がる食材なのでいつでも受け入れられるようにしておきたいところです。
なんのかんのでお籠り期間も明日まで。明後日の朝には外に出られるから、今のうちに用意だけでもしておいた方がいいと思うんだよね。
私が鳥小屋の下準備をしている間に、アイラはスービットの毛を織った布でズボンを仕上げてくれていた。履き替えたら、思っていた以上に暖かい。
「これ、あったかいね」
「良かった。でも、色も模様もないからちょっとつまらないのよね」
お昼ごはんを食べつつ、アイラはそう言って頬をふくらませる。今日のお昼は春菊とスーフェットの炒めものに、暖根と白菜のお味噌汁。そして白菜のお漬物に花粉米と、和食風。炒めものは、一緒に炒めたオニオンフラワーのお陰でいい塩梅。美味しく出来ました。
「色かぁ……」
確かに、今回作ってくれたのは材料になったスービットの毛の色のままだから真っ白。味気ないと言えば味気ないけど……
「草木染っていう手もあるからそのうちやるとしても、材料が悩ましいわね」
「畑で取れたものとかは使えないの?」
「前にネットで調べたら、野菜系は色が薄いんですって」
場合によっては、ほとんど色が変わらないなんてこともあるらしい。確かにそれだと、手間を掛けて染めるのは時間がもったいないかも。
「じゃあ、別に急がなくてもいいじゃない」
「……それもそうね。そもそも、着るものも足りてないんだもの。そっちを充実させてから考えることにするわ」
という訳で、アイラの午後の予定は機織りと服作り。
「そう言えば、そこの壁の穴。早く中に漆喰を塗っちゃってね。じゃないと、いつまでたっても植えられないじゃない」
「あ! すっかり忘れてた!」
私は、食事中に出してもらった苗を合成してから、壁の穴の中塗り。アイラは苦笑で済ませてくれたけど、先にやっておかなきゃいけなかったことを忘れてて、申し訳なさすぎて穴があったら入りたい。
……そう言えば、掘りごたつのフレームも作らないと。
「だと思った。午前中は何してたの?」
「明後日には外に出るんだと思って、鳥小屋の準備を進めてました」
「ちょっと気が早いと思うわ」
「だって、卵料理も食べたいじゃない」
「思った以上に期待が重い……!」
期待はしていますとも。
でも、ちょっと気が早いかもしれないけど、場所は開けておいて損はないと思う。
床暖房もそうだけど、料理にも魔力を使うからねぇ……
お湯の中でだらーんとしながら、さっき確認した結果を思い返す。
「ホットベリーは果物系。オイルベリーはヒマワリに紅花、ゴマともイケる。――ってことは油を取る植物と相性がいいってことかな?」
まだ、合成をしていないから確定ではないんだけど、もしかしたらホットベリーからはフルーツビネガーができるのかもしれない。となると、オイルウッドはごま油とかの食用油系?
改めて、食の世界が広がりそうな予感にワクワクする。
「塩蔦は果物・豆類と合成できるのがチラホラ……。キュウリとトマトって、果菜だから果物の仲間的な扱いなのかな?」
多分、実を食べる系の野菜のことだったと思うんだけど、よく覚えてないや。
「ポテ蔓は今の所、ほとんどが地下茎を食べる系オンリーで、例外はカラムシだけ」
そういえば、カラムシは塩蔦とも合成できるんだっけ。でも、合成した結果がカラムシの蔓に変わるならいいけど、葉っぱになっちゃうと困っちゃう。
正直なところ、不味くはないけど毎日食べたい味でもないんだよね。とはいえたくさんあることだし、またお浸しにするか。……お浸しと言えば、鰹節、ほしいなぁ。
ないものねだりをしても仕方ないんだけど。
「風蝶花の木は、今のところはお花系」
サンプルが少ないから、他も見てみたいけど……次の機会にでも、確認させてもらおう。
「問題は、ゲイルベリーだよね」
ゲイルベリーは、果汁が醤油モドキで種が味噌モドキという木。だけど、木に触れると風の刃で攻撃してくるという、ちょっと危ない木でもある。完熟すると実が落ちるから、採集をする分にはなんとかなるんだけど、育てるのは避けたい。
なのに、よりによってその木とトマトが反応するとは……
「果たして、出来るのはケチャップの木か、トマトソースの木か……」
確定したわけじゃないけど、『調味料の生る木』だと認識しちゃってるせいで、普通のトマトが生るとは思えない。だから絶対、トマト系の調味料が生るに違いないと半ば以上確信してる。
昨日量産したばっかりだから、すぐに必要ってわけでもないけど使い勝手のいい食材だから気になるんだよね。
お風呂を上がったら、合成植物の想像をする時間は終了。気持ちを新たに、錬金室で棚作り。お風呂の隣にぽっかり空いたスペースにコレを置いて、倉庫の中身を移動してくる予定です。
空いた倉庫?
アイラが、外に出られるようになったら鳥を捕まえると気合を入れていたので、改造して鳥小屋にするつもり。多分、原動力は『すき焼き』なんじゃないかな。
私としても、是非とも捕まえて欲しい。なにせ、料理の幅が大いに広がる食材なのでいつでも受け入れられるようにしておきたいところです。
なんのかんのでお籠り期間も明日まで。明後日の朝には外に出られるから、今のうちに用意だけでもしておいた方がいいと思うんだよね。
私が鳥小屋の下準備をしている間に、アイラはスービットの毛を織った布でズボンを仕上げてくれていた。履き替えたら、思っていた以上に暖かい。
「これ、あったかいね」
「良かった。でも、色も模様もないからちょっとつまらないのよね」
お昼ごはんを食べつつ、アイラはそう言って頬をふくらませる。今日のお昼は春菊とスーフェットの炒めものに、暖根と白菜のお味噌汁。そして白菜のお漬物に花粉米と、和食風。炒めものは、一緒に炒めたオニオンフラワーのお陰でいい塩梅。美味しく出来ました。
「色かぁ……」
確かに、今回作ってくれたのは材料になったスービットの毛の色のままだから真っ白。味気ないと言えば味気ないけど……
「草木染っていう手もあるからそのうちやるとしても、材料が悩ましいわね」
「畑で取れたものとかは使えないの?」
「前にネットで調べたら、野菜系は色が薄いんですって」
場合によっては、ほとんど色が変わらないなんてこともあるらしい。確かにそれだと、手間を掛けて染めるのは時間がもったいないかも。
「じゃあ、別に急がなくてもいいじゃない」
「……それもそうね。そもそも、着るものも足りてないんだもの。そっちを充実させてから考えることにするわ」
という訳で、アイラの午後の予定は機織りと服作り。
「そう言えば、そこの壁の穴。早く中に漆喰を塗っちゃってね。じゃないと、いつまでたっても植えられないじゃない」
「あ! すっかり忘れてた!」
私は、食事中に出してもらった苗を合成してから、壁の穴の中塗り。アイラは苦笑で済ませてくれたけど、先にやっておかなきゃいけなかったことを忘れてて、申し訳なさすぎて穴があったら入りたい。
……そう言えば、掘りごたつのフレームも作らないと。
「だと思った。午前中は何してたの?」
「明後日には外に出るんだと思って、鳥小屋の準備を進めてました」
「ちょっと気が早いと思うわ」
「だって、卵料理も食べたいじゃない」
「思った以上に期待が重い……!」
期待はしていますとも。
でも、ちょっと気が早いかもしれないけど、場所は開けておいて損はないと思う。
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