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食料庫がいっぱい

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 お風呂から上がると、既にアイラは起き出してティータイム中。折角なので、私も竹茶とピタパンでご相伴させてもらう。
丁度、運動をしたあとで小腹も空いたところだし、十時のおやつの時間です。

「そういえばね、レイちゃん。お昼前だけど、収穫しといたわ」
「え、もう?」
「沢山あるから、後で確認しといてね」

 それはもう、もちろんですとも!
お料理タイムに、お楽しみが追加されたのが嬉しくて頬が緩む。

「なんか、”ファーム”のレベルが上ったからスキルを使えば三倍採れるの」
「なにそれ。すごいお得!」

 一粒(の種)で、三倍採れるなんて。
食材の量を気にせずに料理してもいい日が来ちゃうかも?

「お得でしょう!? でもね、想定以上の量だったから運ぶのが大変で……」

 得意げに胸を張ったアイラが、ちょっぴり眉を下げる。

「それなら、私もお手伝いしたい! 収穫はスキルが無いからやめておくけど、採れたものを回収するお手伝いなら出来るよ」

 むしろ、手伝わせて欲しい。こう――二人で収穫した作物を抱えて笑い合うなんて、ちょっとイイ。広い空の下の農園だったりするともっといいんだけど、環境に関してはこの際だから目をつぶる。
アイラから、無事に同行の許可をもらってティータイムは終了。――かと思いきや、アイラが「そういえば――」と言い出した。

「寝る前に貰った種、確認してみたらちゃんと植えられるみたい」
「そっか。確か、暖気草と春菊の掛け合わせだったよね」
「暖菊ですって」
「暖根の仲間かぁ」

 ってことは、食べると体が温まる系?

「暖気草の種をまた採っておいたから、暇なときにでも他の種とも合成しちゃってくれると助かるわ」
「了解。私も興味あるし、お安い御用です」

 暖気草の種を八つと、掛け合わせる種を八種類預かると、コップに入れてグールグル。種は小さいから、コレでも大きすぎるくらいだね。種を合成するようにお猪口みたいなのを用意しておいてもいいかも。

「見事にどれも、火・炎・暖が名前に付いてるわね」
「へぇ、どんなのが出来るか楽しみ」

 もちろん、食べれるものなら出来得る限り美味しくしますとも!



 改めて席を立つと、ウキウキ気分で食料貯蔵庫へ。何があるのか、楽しみです。
まず、目についたのはトマト。割と大きめな籠からはみ出さんばかりに入ってる。これは、想定外!
ニヨニヨしながら確認すると、どれも赤く熟していて今がまさに食べ時。余ってしまったら”データストレージ”に入れておいたほうがいいかも?
他の新顔さんは、ポテ蔓とキャベツだね。
ポテ蔓の地下茎は十五個位。どれも小さくて、新ジャガでよく見る赤ちゃんの握りこぶし位の大きさで皮が薄い。泥だけとれば、このまま煮っころがしにしても、じゃがバターみたいにして食べても良さそうに見える。
後で、一つ茹でてみよう。
つまみ食いは、お料理する人の特権なのです。

 キャベツもギュッと葉が詰まって重たいところが、何とも私好み。春キャベツのスカスカした感じは苦手だから、冬キャベツの方が好きなんだよね。
春キャベツって、ちょっぴり苦味があるのが個人的には微妙なところ。アレはアレで使い方はあるんだけど……
ポトフにも惹かれるけど、お昼には、少し千切りにしたものをパンに挟んで使う予定です。

 朝ごはんで使い切ってしまったレタスフラワーも追加で入荷してる。でもこれはお昼に使うからあんまり残らないかもしれない。
なにせ、BLTサンドの主役の一人ですから。
ちなみにレタスフラワーって、普通のレタスと違って最初から一口サイズ大。だから、サラダに入れる時には割と便利。ただし、サンチュみたいに肉を包むのに使うのは難しい。今度、サンチュ日普通のレタスを育ててくれるようにお願いしてみよう。

 そして、ここ数日に大量に採れていた白菜様に引き続いて春菊様がいらっしゃった辺りに、アイラのすき焼きに掛ける情熱が垣間見える。
卵がないのが一番のネックなので、それを何とか出来るまではとっておいたほうがいいんだろうか……?
それとも、気付かないふりをして使ってしまう?
でも意外と、白菜やアーフェットの肉と一緒に調理するだけで満足してくれるかもしれないんだよね。
どうするべきかが、ちょっと悩ましい。
 
 なにはともあれ、お昼ご飯の用意と一緒にトマトケチャップとトマトソースも作っておくか。ブラウンソースも作っておきたかったけど、今回はお預け。
だって、玉ねぎオニオンフラワーの在庫がほぼないんだもの。
お料理してると、オニオンフラワーがあっという間に無くなっちゃう。これは、すぐにでも追加生産をお願いしないと厳しいね。
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