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ミルク作り実験

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 私がお風呂に入っている間に、アイラは仮眠。今日中にもう一度、体力を上げるために三時間寝るんだそうだ。また、魔力をあげようとしたときみたいに倒れないといいんだけど……
私はその間に、処理の出来ていなかったスーフェットの毛皮を錬金釜でグールグル。
一気に四十三枚処理するのは、結構ヘビーです……

 さすがの私も体力を使い切って、一時間ほど、居間でボーッとして過ごす。
こうやってボーッとする時間がこのところなかったせいか、なんか落ち着かない。
余分な時間があると、ついつい日本の家族のことを思い出しちゃうからなぁ……
料理上手で脳天気なお父さんと、変なことにやたらと詳しい変わり者のお母さん。それから、ダイエットマニアのお姉ちゃんが私の家族だった。
お母さんとお姉ちゃんが家庭菜園をやってたんだけど、私は食べる方にしか興味がなくて手を出さなかったんだよね。やっておけば良かったなぁ……
そうしたら、アイラのお手伝いもできるのに。
あー、ダメダメ。家族のことを考えると気分が沈む。
別のこと――夕飯の献立について考えよう。
きっと、お腹が空いてきたから落ち込んじゃうんだろう。

 お肉の種類と量は増えたけど、相変わらず野菜といえるのはオニオンフラワーだけなんだよね。今日、遠出して手に入れてきた食材も風蝶花の蜜だけだ。調味料はあるけど、それだけだとバリエーションは出しづらい。
確か、明後日辺りに初めての収穫があるはずだから、ソレまでは我慢だね。

 今日のところは沢山あるスーフェットで――ハンバーグでも作ろっか。
多めに作って、後日ハンバーガーにするのもイイ。
うん。メインはソレで決めちゃおう。デミグラスソースは材料がないから無理だけど、ゲイルベリーの汁を使えば和風ソースっぽいのは作れるし。
そうしたら、付け合せはオニオンフラワーのソテー。こっちの味付けはは塩コショウ(もどき)だけで。
スープは……今回はパス。具に、オニオンフラワー以外のものを入れられるようになってからにしたい。

 ライスウッドの花粉――長いからもう、花粉米でいいか。花粉米を炊き始めると、”データストレージ”からスーフェットの腹身とオニオンフラワーを土鍋に入れてグールグル。特大サイズの土鍋ならコレくらい軽く入るし、キッチンから移動せずに錬金術が使えるのが便利です。
錬金調理で出来上がったハンバーグを”データストレージ”にしまい込み、ちょっぴり切り分けておいた脂身を火にかけてゲイルベリーのソースを作る。これは、さっと火を通してから風蝶花の蜜で味を整えればそれで完成だ。
ソースは冷めても構わないし、小皿にとっておけばいいか。
最後に花粉米が炊けたら、ごはんの料理は終了。アイラが起きてくるまでの間は、私の自由時間だ。

 確認をしてみると、アイラが起きてくるまでには後三十分ちょっとの時間がある。
今のうちに、手元に残っている骨を使ってスープの素を作ってしまおう。
骨はかさばるので、特大錬金釜に入れてガランゴロン。グルグル回しても、固いものだといつもとは違う音がするんだなぁ……
出来上がったビットスープの素とフォススープの素は、専用の壺を作って入れてしまう。もちろん、蓋付きです。他のものと間違えないように、ツボのお腹にきちんと名前が浮き彫りにされているのが素敵。こういうのが想像しながらグルグルするだけで出来上がるって、ほんとにすごい。”錬金術”、バンザイだ。

 さてさて、次がお楽しみ♪
血からミルクを錬金してみよう会~!
ぱふぱふどんどん~♪
まずは大きな土鍋に、フェット系の血を一匹分。思ったよりも随分と少ないから、予定を変更。全部入れてしまおう。
土鍋の中にある真っ白な液体が血だと言われると、すごい違和感がある。見た目だけは、薄めのミルクみたいなんだもの。
これを本物のミルクにするのが、今回の実験です。
いつも通りにグールグルっとしていると、土鍋の中身が淡く光って、中の液体が少し減る。どうやら、これで終わりらしい。
”検索”の結果はこんなかんじ。

・ビット系のミルク(錬金料理)
 コクがあり、刺激の少ない良質の美味しいミルク。
 対応スキル:”酪農” ”料理” ”ファーム” ”錬金術”

 正直豚のミルクって聞いたことがないから、あまり期待していなかったんだけど、コレは嬉しい誤算かも。土鍋の中の量も特に変わったようには見えないかわりに、少しだけ白さが増したような気がする。
お試しで一口舐めてみると、たしかに濃厚で美味しい。残りを全部、ミルクにして飲む用にしてしまうか、悩ましいレベル。
夕飯に出してみて、アイラの反応を見てから決めることにしよう。

 ちなみにその後試したフェット系の血はちょっと美味しい牛乳モドキで、フォス系の血は羊乳モドキで、馬肉っぽい味だったスーミゴが馬乳風味。フェット系以外は、肉の味から想像しただけなので、本当は違う味かも。
それぞれを、新たに作った青土製のミルク瓶に入れておく。後でアイラと味見をしてから、更に加工をするかを悩むことにしよう。

 引き続き、フェットミルクも作って味見をしてみる。こっちは割と普通に牛乳ぽい味だ。沢山あるし、半分はバターとチーズに加工してしまう。
これで、次回から乳製品を使ったメニューも作れるね。
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