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午前の予定

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 今日はたっぷり十二時間も寝て、元気いっぱい。
朝ごはんは手抜きのピタパンで済ませ、今日の予定を話し合う。

「あたしとしては、雪原草を補充するべきだと思うの」
「そこは賛成だけど、ゲイルベリーと塩蔦も多めに欲しいなぁ……」
「なんで?」
「アイラが昨日乱獲してきた、イタチモドキを保存できるように加工するために必要なんだよ」

 数えてみたら、合計で六十匹分を超えていたから塩漬けにするなり何なりして保存できるようにしておきたい。

「”データストレージ”は?」
「ほとんど、イタチモドキでいっぱいです」
「え、ほんとに? ……なんか、ごめん」
「食べ物は必要だからいいんだけど、次は加減してもらえると嬉しいです」
「りょうかいでぇす……」

 アイラは外に食材収集、私は拠点の改造をしつつ食器類を整える予定。
可能なら、魔力も伸ばしたいところです。

「あれ? アイラは魔力を伸ばすの執着してなかったっけ?」

 魔力のことを考えて、ふと思い出す。

「主に、お風呂のお湯を補充するために増やしたいと思ってるわ」
「お風呂に命かけないで」

 いやいや、本当に。
昨日みたいなことを何度も繰り返されたら、私の心臓が保ちません。

「そこまでするつもりはないんだけど……。まあ、今朝早くに午前中の超回復は終わらせたから、次は寝る前ね」

 すでにそこまでやってるじゃない。という言葉は、寸止め。
理解はしてくれてるみたいだし、これ以上は言わないほうがいいよね。

「あ、そうだ。昨日狩った動物の毛皮はどうすればいい?」
「どう……と言うと?」
「多分、錬金釜でグールグルっとしてやれば鞣すのはイケるんだけど、どうも面積が減るみたい」

 昨日鞣しておいた毛皮と皮革を、錬金室から取って来て、テーブルに広げる。

「大分、行方不明になった部分があるように見えるけど……」
「そうなんだよね。自力で鞣せるなら、利用できる量は増えると思う」

 錬金釜でグルグルしたら、なぜか背中とお腹の部分が別々になった上に、四角く整形された状態になってたんだよね。
こう、クマの敷物とかでイメージしたような形じゃない。

「これは、毛の色からすると同じ動物の毛皮よね」
「どっちもスーフォスの毛皮なんだけど、そっちはお腹の方。もう片方は背中側ね」
「毛の質感が違うから別々になったのかしら? お腹の毛の方が柔らかいわ」

 ちなみに、スーフォスは真っ白でフワフワな毛に覆われたキツネっぽい生き物。大きさは中型犬程度でそれほど大きくもない。
味や匂いがマトンっぽかったのには、ちょっとビックリしたなぁ……
……あれ? もしかしたて、刺し身にしたらアイラも匂いが気にならないかも。

「あたしも皮の鞣し方は知らないから、全部鞣してもらえたらなにか作れるかも」
「じゃあ、加工に必要なものの形とか数をお願い。後で作っちゃう」

 皮の処理についての打ち合わせ終えたら、行動開始。
出掛けていくアイラを見送ると、玄関通路の中をちんまりと改良をする。
ちなみに、玄関通路っていうのは、昨日作った二重扉の間の空間のこと。元々あった出入り口をそのまま拡張したお陰で、二枚の扉の間は四メートルほどの微妙に長い通路がある。
ここに一時的に荷物を置ける場所を作るのが、今日の最初のお仕事だ。ちなみに、倉庫は別です。

 玄関通路の拡張が終わったら、錬金窯のお引越し。移動先は居間。
移動しながら、”エリアライト”と”ホット”を掛けまくっておくのも、午前のお仕事の一つだ。魔力の上限を増やすために、使い切らねばならないのだ。
アイラに頼まれた、皮を加工する道具を作るためにグルグルしつつ、軽く休憩。
改めて部屋に”ホット”を掛け直し、プロフィールを確認してみると、体力が余り気味だ。折角なので、スービットの毛皮を毛と皮に分離してから、革を鞣しておく。
鞣さなきゃいけない毛皮がたくさんあるから、余裕があるうちに処理しないと。
スービットは、小型犬くらいの大きさだから皮はあんまりとれない。
代わりに毛はフワフワでいい毛糸ができそうなんだって。
もしかして、セーターでも編んでくれるんだろうか?
そうだとしたら、めちゃくちゃ嬉しいんだけど。
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