上 下
40 / 104

何を検索してみよう?

しおりを挟む
 思った以上に肉類に飢えていることが判明したアイラに、肉を食べさせてあげるためにどうすればいいのかを散々悩んだ結果、意外とあっさりとその悩みは解決することになった。

 解決方法は、『魔法』を活用すること。
”検索”先生にお伺いしてやっと思い出したのは、”光魔法”のレベル一で使えるようになっていた『フラッシュ』。
効果は、対象の眼前で閃光を閃かせることによって、目潰しをすると言うもの。
なんだけど――コレが思いの外効き目が抜群。どっかのアニメみたいに、「目が、目が~!」なんてもんじゃなく、そのまま昏倒すればいい方で、ショック死する個体までいる始末だ。
アイラが、まぁ、大喜びで狩りまくった。
その数およそ、十五匹。私も実験がてら、鳥を大小含めて三種に、獣を五種類。合計で八匹ほど仕留めた。
飛んでる鳥をおとせたから、一応、魚にも挑戦してみたんだけど、そっちは不発。
残念無念。いつかは獲っちゃる! と誓いつつ、今日の成果は全部で二十三匹。
大きさも種類もまちまちだけど、肉が不足する心配はしなくても良さそうだ。
食生活が豊かになるのって、心の余裕につながって素晴らしい。

 ――それにしても、この世界。魚も鳥も飛んでいるなんて、空は随分と窮屈そうだよね。
空のイワシ雲を見上げて、ため息を吐く。
お魚め! 絶対に食べてやるんだから!!



 拠点の穴に戻ると、アイラは既に就寝中。
寝室に”ホット”を掛けて、私は錬金室で日用品の作り直しをしてしまおう。
鉄やアルミが手に入ったから、調理器具はそっちで整えてしまいたい。
中華鍋にフライパン、お玉に包丁、アイラの”ファーム”に必要なスキやクワも作り直して、シャベルにノコギリ、スコップや雪原草を刈り取るのに便利なカマも鉄製のほうが使いやすいよね。
それぞれ、必要数を作ったらあっという間にクッタクタ。
もうちょいで、体力が尽きそう……
仮眠をとるために寝室に向かうと、アイラが丁度起き出してきたところだった。
添い寝が出来なくって、ちょっぴり残念。

 寝落ちる容易を整えて、”検索”先生に質問タイムなんだけど――残りの体力は2。
魚を捕るために必要な情報が欲しいってなると、何を調べればいいだろう?
ゴロゴロしながら、内容を考える。
”魚の捕り方”? これだと、竿釣りとかがひっかかりそうだよね。
”魚の生息域”? 空っていう返事が返ってくる気がする……
うーん……ちょっと、一足飛びすぎかも。
急がば回れともいうし、まずはこの世界の常識的な方向から始めよう。

 じゃあ、まずは”浮遊諸島”について。”検索”先生、お願いします!

””浮遊諸島”、に、ついて、ですね”

 ”検索”先生の声と同時に、脳裏にイメージ画像が思い浮かぶ。
”浮遊諸島”の中心には、私とアイラが生まれ育った地球と同じように太陽の相当するものがあって、その外側をグルグルと無数の島が巡っている。
太陽に近い島は暑く、遠くなるほど冷たくなるというのは太陽系と同じみたいだ。
そこから考えると、私達が居るのって大分外側なんだろう。
だって、めちゃくちゃ寒いし。
仮称・太陽の周りを回る島には必ず大きな木が生えていて、そこから時折、空に向かって何かが浮かび上がり、が新たな島になる。
どうやら浮かび上がっていくのは大きな木の苗かなにかで、ソレを中心にして島ができるらしい。常に太陽に剥いている方向は一定だから、昼や夜は何日も続くんじゃないかな……?
やばい、ウチの島ってどれだけ昼と夜が続くんだろう?
『”浮遊諸島”について』で”検索”出来るのはここまでみたいで、ソレ以上のイメージは浮かんでこなくなった。

 次は――島の中心に生えている木、かな?
いやいや、自分達が住んでいる島の方がいい。
”検索”さんから流れ込んできたイメージは、太陽から遠く離れた端の端に浮かぶ、小さな小さな島の姿。これが、私達が今居る場所らしい。
小さな島ではあるものの、しょっちゅう訪れる鳥のお陰か植生は意外と豊かに見える。――と言っても、植物も動物も揃って白っぽい色合いだからパッと見だと分かりづらいんだけど……
多分、鳥の糞に種が含まれてたのが発芽して雪原草とかが繁殖したんじゃないかな。
島は上から見ると丸っこいけど横から見ると台形で、上部はドーム状の何かに覆われているみたい。魚の群れは、ソレを避けるようにして空を泳いでいる。
鳥はどういう訳か、ソレを突き抜けてこられるみたいだ。
あ。でっかい鳥が、なにか運んできた。
運ばれてきた何かは地面に落ちると同時に猛ダッシュ!
あっという間に視界から消え去っていくソレを見送るのと同時に、意識が遠くなる。
体力切れですね?
おやすみなさい……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...