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新たな収穫物 下
しおりを挟むしばらくの間、喜びに浸ってから気を取り直して”検索”を再開。
その結果わかったのは、ライスウッドが多岐にわたって利用可能な万能植物だってこと。対応スキルが軽く調べてみただけでも”裁縫” ”紡績” ”工芸” ”細工” ”武具作成” ”弓製造” ”調薬”って、どれだけ使い勝手がいいの?
あ、そうそう。対応スキルの項目に、毎回必ず顔を出していた”錬金術”もかなりな万能スキルだった。
さてさて、最後に残ったのは氷のように透き通った葉のついた蔓草。
これは、採集してきた分しか見つからなかった。
一応根っこまで持ってきているけど、なにかに使えるといいなぁ……
そんな”検索”結果はこちら。
・透き通った葉のついた蔓草 → 塩蔦
地中の塩分を吸い上げて成長する。
葉のように見えるものは塩の結晶であり、調味料として利用されている。
対応スキル:”調理” ”錬金術”
塩! コレもありがたい!
最初に持ってきていた塩も、大分かさが減ってきてたから嬉しすぎる。
人間、生きていくのには塩も必要だからね。
試しに葉っぱを蔦から一枚ちぎりとり、ちょっとだけ舐めてみると、塩っ辛さの中にも複雑な味が口の中に広がる。
塩の結晶と言っても、純粋な塩化ナトリウムって訳じゃないみたいだ。
個人的な好みとしては、料理に使うのならこの方がありがたい。
一応他の使い方も調べてみると、蔦の部分は”裁縫”の材料になるらしい。
「レイちゃん、新しいのはどうだった?」
全部の”検索”を終えたタイミングで、アイラがお風呂を上がってきた。
お風呂の直前には随分と疲れた顔をしていたんだけど……
うん。良かった、大分元気になってるね。
上機嫌な様子のアイラに、テーブルの上に広げたものを仕分けしつつ、大まかな使い道を説明していく。
「調味料が二つに、薬の材料が一つ。それから……もう一つは後でのお楽しみ」
「ああ。その嬉しそうな顔は、食べ物ね」
あんまり期待させすぎて、がっかりするはめになると可哀想かと思いつつ、ライスウッドに関してはちょっぴりぼかしつつ報告すると、アイラはニヤッと笑って言い切った。
「バレてる!?」
「とーぜんよ」
大げさに驚いたふりを返すと、アイラは更にドヤ顔になって胸を張る。
一拍置いて、どちらからともなく吹き出すと、もう笑いが止まらない。
しばらくゲラゲラと笑いあう。
こんなしょーもないやり取りで笑っちゃうなんて、随分と笑いの沸点が低すぎるとは思うけど、笑えるのはいいことだ。
ずーっと、深刻な顔してなんていられない。
確か、笑うのってリラックス効果があるって聞いたことがあるしね。
「まー、どれがアタリだったのかは分かんないけど、お夕飯を楽しみにしてればいいんでしょ?」
「うん。それも使ってご飯を作ってみる予定」
「じゃあ、あたしはとりあえず、一時間くらい仮眠してくるー」
「ほいほい。休んでら~」
ひとしきり笑った後、目元の涙を拭いながら寝室に向かうアイラを見送りつつ、私はゲイルベリーの果汁と種の確認作業。
どんな調味料が出てくるのかな~?
ゲイルベリーの実は5センチ位の大きさで、形はスモモによく似ていて見が少し柔らかいみたい。試しに爪を立ててみると、あっさりと皮が破れて果汁が滲み出す。
汁の色も黒っぽい。それに、ちょっとだけ独特な香りがして美味しそう……?
妙に馴染みのあるその匂いに、思考が止まる。
え?
これって、醤油の匂いだよね??
ドキドキしながら果汁の付いた指先を、ペロッと一舐め。
……間違いなく醤油味。
それも、好みにどストライク!
私は慌てて立ち上がると、防寒装備を整えて大急ぎで外に飛び出す。
拾ってきた数じゃ、ご飯を作るのにはとてもじゃないけど足りやしない。
大急ぎで、もっとたくさん集めなきゃ!!
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