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混浴は恥ずかしいですよ

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「ふわぁ~。お風呂はやっぱり気持ちいいねぇ……」

 何でこうなったんだっけ?
そう思いつつ、只今絶賛、混浴中。
ああ、そうそう。
発端は、私がお風呂の準備を失敗したせいでした。

「ねぇ、アイラ……」
「なぁに、レイちゃん?」
「混浴は百歩譲って仕方がなかったとしても、さすがに、コレはよろしくないと思います……」

 コレって言うのは、アレだ。
湯船で抱っこ状態になってる、この状況。
なんか、セガレさんが今にも自己主張をはじめそうで落ち着きません。

「いや、だからアイラ! お願いだから触ろうとしないで!?」
「えー、いいじゃない。減るもんでもないんだし。代わりにあたしのことも触っていいよ?」
「その代案は大変魅力的ですが、謹んでご辞退させていただきます。っていうか、もうのぼせそう……」

 さすがにのぼせたら大変だと、やっと開放されたのはお風呂に浸かってから三十分後。女の子なんだから、もっと慎みを……って、言っても駄目だろうな。
二人きりなんだから平気とか言われそう。



 それにしても、まさかアイラの”水魔法”でお湯まで出せるとは思わなかった。
『飲用に適さない』って部分で私の興味の対象から外れたのが原因だよね、明らかに。料理に使えないのかーって思った記憶があるし。
ただ、料理に使えないと言う部分で興味を失うべきじゃなかったんだなと、今となっては反省しきり。
なにせ、”水魔法”で出したお湯に使っていると魔力がみるみる回復していくことが分かったんだから。
なんというかこう、温泉ならぬ魔力泉? 的な。
これからは、日に何度もお世話になることになりそう。
特に、魔力枯渇明けとかにありがたいよね。

 洗濯をしてからお風呂を出るというアイラのために、物干し竿を用意する。
材料はいつもの青土だ。
むしろ、ほぼそれしかない。
チャチャッと”錬金術”で作ってしまい、地味に伸縮機能をつけてみた。
設置するのにあたって、壁が多少崩れても大丈夫なように深めの横穴を開けることになったから必要になった機能なんだけど。
出来上がった竿を持って脱衣所に戻ると、浴室からはアイラが鼻歌交じりに洗濯物をしている音が聞こえてきた。
なにはともあれ、お風呂を作ったのは正解だったみたい。
ちょっとほっこりしつつ、物干し竿を設置して廊下に戻る。
そういえば魔力も回復していることだし、空気を温めつつ明かりもつけておこう。
広くしてしまった分、”ホット”と”エリアライト”が必要な場所が増えちゃったのが地味に悩み事。
増やしたの、私だけど。
もう少し段階を踏んで増やすべきだったと、今は反省しているところです。
広げる前に時間が戻ったとしても、やっぱり広げていたんじゃないかという確信はあるけど、まあ、反省はする。
広げる範囲をもう少し狭くしても良かったかなーって方向で。

 大きな欠伸が出て、思考を中断。
アイラはもう少しワラを編んでから眠るらしい。
今日は先に眠らせてもらうことにしよう。
アイラの寝顔を見ながら眠るのが、ここ最近の楽しみだったんだけど今日は我慢。
それにしても、明日からは混浴を避けられるといいんだけど……
なにか、方策を練っておいたほうがいいんだろうか?
ちょっと悩みどころです。
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