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お風呂を作ろう 上
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精神的に不安定になっている様子のアイラは、大急ぎで完成させた寝室で休ませて、私は防寒対策を練ることにする。
今、手元にあるものでやれることっていう限定条件がなかなか厳しい。
日本だったら、それこそホームセンターで長靴を買ってきて、分厚い靴下でも履けばいいだけのことなのに……
防寒着だって手袋だって、なんでも通販で手に入ったから、こんなことで悩むだなんて思いもしなかった。
現状、手元にあるもので使えそうなものというと雪原草のワラ、かな?
昔話なんかだと、ワラで作った長靴やカッパ、頭にかぶる傘で雪山を出歩いてたよね。現代人の私達には、あれじゃあ万全な対策とは言えないとは思うけど、参考には出来るんじゃないだろうか。
どうやって?
って聞かれたら困っちゃうんだけど。
とりあえず、何もせずに考え事というのも非生産的だ。
何か、作業をしながら考えよう。
まずやっておくべきなのは、料理かな。
夕飯は……オジヤにしておこう。お米は控えめにして、裂きイカとオニオンフラワーを入れたらきっと美味しいはず。
料理の仕込みはあっという間に終わったので、お次は”錬金術”の番だ。
特大サイズの土鍋で作るのは、シャベルを二つにクワとスキ。
それから石臼と調味料を入れる用のツボを四つ。
ツボには、ホットベリーの皮と種と果汁にオイルウッドの油を入れる予定だ。
ああ、ツボから中身を出す用の匙も必要か。
ツボと同じ数だけ匙を作って、それぞれのツボにセットする。
せっかく容れ物を用意したんだから、ついでに調味料の加工も済ませちゃおうかな。
皮を剥きやすいようにホットベリーの実を割って、ハンカチに包んでから果汁を絞る。これは、お酢の代用品。
残ってた六つの実を全部絞り終えたら房の中から種を取り出し、土鍋の蓋をひっくり返した上に置く。しばらく乾燥させて砕いたら、コショウの代わりになってくれる。
コショウって万能香辛料だから、代用品が手に入ったのがありがたいよね。
最後に唐辛子として使うことが出来る皮も、剥いた状態のままで種と一緒に乾燥させておこう。どっちも、乾かせば日持ちするはずだ。
そういえば、唐辛子って防寒対策に使われてなかったっけ?
戦争で乗り込んでいった先の寒さが厳しいからって、ワラジかなんかに仕込んでおいたせいでその土地に唐辛子が広まったって話を聞いた気がする。
百聞は一見に如かずとも言うし、試してみよう。
後でワラで長靴を編めないかどうか、アイラに相談、かな?
カゴは編んだことがあるそうだし、応用でなんとかできるとありがたいんだけど……
まあそれも、アイラが元気になってくれないと話してみることも出来ない。
起きたら、元気になっているといいなぁ……
寝室に”ホット”を掛けたしながら、アイラの様子を確認。
――良く眠ってるみたい。
規則正しい寝息が聞こえてきて、ほっと一安心。
アイラが起きてくる前に、もう少し拡張作業をしてしまおう。
作っておくべきなのは、洗濯物を洗ったり干したり、体を拭いたりするようの部屋と、畑専用スペース。それからトイレ。
気温が低いのが幸いして、まだ体臭はそれほどひどくない。それでも、ずーっと同じものを着続けている状態だから不衛生だよね。
正直なところ頭や体がかゆい気がするし、お風呂に入りたい。
きっとアイラもそうだよね。元々は毎日入ってたわけだし。
うう、お風呂のことを考えたら、どうしても入りたくなってきちゃったよ!
お風呂、作ろう!
そんでもって、洗濯物を干せるスペースも用意すればいい。
作業中に発生する青土は、データストレージに放り込みつつ一杯になるたびに外に放置することにして、早速、”ディグ”を駆使ししつつ作業に取り掛かる。
場所は、寝ているアイラを起こさないで済むように、寝室の反対側。
昨日みたいに、素材がないというのは困ってしまう。
まずは廊下から手を付けることにして、幅や高さ、奥行きを決める。
入口の幅は寝室と同じで、高さは天井より少し下。アイラは私よりも小柄だし、私が頭を打ち付けない程度でいいだろう。
そうなるとディグの範囲の基本も決まってくる。
幅は1センチに高さは1.8メートル、奥行きは他の部屋を作ることも考えて5メートル。足りなくなったら掘り足せばいい。
空気の流出が気になるけど、そこは後々の課題かな。
もう、ブルーシートもレジャーシートも在庫がないのです。
底辺から始めて左右を”ディグ”で削り、最後に底辺に空いた隙間に”データストレージ”を広げてから上部にも”ディグ”を掛ける。
そうすれば、何もせずとも青土の塊がデータストレージの中に自重で落ちてくるという寸法だ。奥の方に不格好な形で残ってしまうのは、ご愛嬌。
圧迫感のある両脇を時短のために”ディグ”で削って調整。両側が20センチづつ広がったら、いい感じの余裕が出来た。
奥の方は、余裕を見て処理をすることにして次はお風呂!
夢が広がるね。
ところで、ふとプロフィールを見てみたら”算術”スキルにひっそりとカウントが付いてた。
廊下の幅を広げる時にやけにスルスルと計算が出てきたんだけど、まさか、そこですか!?
今、手元にあるものでやれることっていう限定条件がなかなか厳しい。
日本だったら、それこそホームセンターで長靴を買ってきて、分厚い靴下でも履けばいいだけのことなのに……
防寒着だって手袋だって、なんでも通販で手に入ったから、こんなことで悩むだなんて思いもしなかった。
現状、手元にあるもので使えそうなものというと雪原草のワラ、かな?
昔話なんかだと、ワラで作った長靴やカッパ、頭にかぶる傘で雪山を出歩いてたよね。現代人の私達には、あれじゃあ万全な対策とは言えないとは思うけど、参考には出来るんじゃないだろうか。
どうやって?
って聞かれたら困っちゃうんだけど。
とりあえず、何もせずに考え事というのも非生産的だ。
何か、作業をしながら考えよう。
まずやっておくべきなのは、料理かな。
夕飯は……オジヤにしておこう。お米は控えめにして、裂きイカとオニオンフラワーを入れたらきっと美味しいはず。
料理の仕込みはあっという間に終わったので、お次は”錬金術”の番だ。
特大サイズの土鍋で作るのは、シャベルを二つにクワとスキ。
それから石臼と調味料を入れる用のツボを四つ。
ツボには、ホットベリーの皮と種と果汁にオイルウッドの油を入れる予定だ。
ああ、ツボから中身を出す用の匙も必要か。
ツボと同じ数だけ匙を作って、それぞれのツボにセットする。
せっかく容れ物を用意したんだから、ついでに調味料の加工も済ませちゃおうかな。
皮を剥きやすいようにホットベリーの実を割って、ハンカチに包んでから果汁を絞る。これは、お酢の代用品。
残ってた六つの実を全部絞り終えたら房の中から種を取り出し、土鍋の蓋をひっくり返した上に置く。しばらく乾燥させて砕いたら、コショウの代わりになってくれる。
コショウって万能香辛料だから、代用品が手に入ったのがありがたいよね。
最後に唐辛子として使うことが出来る皮も、剥いた状態のままで種と一緒に乾燥させておこう。どっちも、乾かせば日持ちするはずだ。
そういえば、唐辛子って防寒対策に使われてなかったっけ?
戦争で乗り込んでいった先の寒さが厳しいからって、ワラジかなんかに仕込んでおいたせいでその土地に唐辛子が広まったって話を聞いた気がする。
百聞は一見に如かずとも言うし、試してみよう。
後でワラで長靴を編めないかどうか、アイラに相談、かな?
カゴは編んだことがあるそうだし、応用でなんとかできるとありがたいんだけど……
まあそれも、アイラが元気になってくれないと話してみることも出来ない。
起きたら、元気になっているといいなぁ……
寝室に”ホット”を掛けたしながら、アイラの様子を確認。
――良く眠ってるみたい。
規則正しい寝息が聞こえてきて、ほっと一安心。
アイラが起きてくる前に、もう少し拡張作業をしてしまおう。
作っておくべきなのは、洗濯物を洗ったり干したり、体を拭いたりするようの部屋と、畑専用スペース。それからトイレ。
気温が低いのが幸いして、まだ体臭はそれほどひどくない。それでも、ずーっと同じものを着続けている状態だから不衛生だよね。
正直なところ頭や体がかゆい気がするし、お風呂に入りたい。
きっとアイラもそうだよね。元々は毎日入ってたわけだし。
うう、お風呂のことを考えたら、どうしても入りたくなってきちゃったよ!
お風呂、作ろう!
そんでもって、洗濯物を干せるスペースも用意すればいい。
作業中に発生する青土は、データストレージに放り込みつつ一杯になるたびに外に放置することにして、早速、”ディグ”を駆使ししつつ作業に取り掛かる。
場所は、寝ているアイラを起こさないで済むように、寝室の反対側。
昨日みたいに、素材がないというのは困ってしまう。
まずは廊下から手を付けることにして、幅や高さ、奥行きを決める。
入口の幅は寝室と同じで、高さは天井より少し下。アイラは私よりも小柄だし、私が頭を打ち付けない程度でいいだろう。
そうなるとディグの範囲の基本も決まってくる。
幅は1センチに高さは1.8メートル、奥行きは他の部屋を作ることも考えて5メートル。足りなくなったら掘り足せばいい。
空気の流出が気になるけど、そこは後々の課題かな。
もう、ブルーシートもレジャーシートも在庫がないのです。
底辺から始めて左右を”ディグ”で削り、最後に底辺に空いた隙間に”データストレージ”を広げてから上部にも”ディグ”を掛ける。
そうすれば、何もせずとも青土の塊がデータストレージの中に自重で落ちてくるという寸法だ。奥の方に不格好な形で残ってしまうのは、ご愛嬌。
圧迫感のある両脇を時短のために”ディグ”で削って調整。両側が20センチづつ広がったら、いい感じの余裕が出来た。
奥の方は、余裕を見て処理をすることにして次はお風呂!
夢が広がるね。
ところで、ふとプロフィールを見てみたら”算術”スキルにひっそりとカウントが付いてた。
廊下の幅を広げる時にやけにスルスルと計算が出てきたんだけど、まさか、そこですか!?
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