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植物採取
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最後に”火魔法”を使って、強制的な眠りに落ちる。
””火魔法”の、レベルが、上がりました。新たに、”ホット”、を、使えるようになります”
意識が落ちる前に聞こえたのは、検索さんによく似た声のアナウンス。
軽くゆすられて、アイラの声で目が覚めた。
スッキリ爽快。
穴掘りを頑張って疲れていたはずなのに、びっくりするほど体が軽い。
「おはよう、アイラ」
「おはよ、レイちゃん。”水魔法”、使えるようになったよー!」
「すごい! 私も、寝る直前に”火魔法”がレベル2になった」
「すごいすごい」
起き上がって、互いの成果を確認し合う。
私の場合、寝る直前に上がったんだけど。
残念なことに”水魔法”で生み出せる水は飲むのには適さないらしい。
代わりに、植物の成長を早めてくれる効果があるそうで、アイラの”ファーム”スキルと相性が良さそうだ。
更に、アイラは随分と頑張って出入り口の拡張も終わらせてくれていた。
もう、感謝しかない。
「穴は広がったけど、代わりに道具はどれもお亡くなり」
「材料も土だけだし、また作ればいいよ」
そんな話をしつつ、早速、防寒装備を整えてから外へと繰り出す。
あんまり寒いと、耳や鼻がもげるって聞くし。
取れる対策なんて、タオルを頭と顔にぐるぐる巻く程度だけど、ないよりずっとマシはなず!
熱が逃げないようにと出入り口にぶら下げたレジャーシートをくぐり抜け、緩いS字型の通路を這い出た先は、アイラが最初に言っていたとおり、一面に広がる雪景色だ。
「これは……壮観」
「なんか、風の関係でこの辺りは雪が積もり辛いみたい」
そう言いながら、アイラは背後を見上げる。
彼女の視線を追いかけてそちらに視線を向けてると、そこには割と高めの山あった。
私達がいたのは、その山の裾にあるちょっぴり凹んだ部分にある横穴だったらしい。
「こっちに一応トイレを作ってみた」
そう言って彼女が指す先には、申し訳程度の高さの壁(?)に囲われたスペースがある。
どうやら、底に穴をほってトイレとして使う予定らしい。
早速使わせてもらったんだけど、そこで心臓が止まるほど驚いて、危うくお粗相してしまうところだった。
難は逃れたけど、何も言ってきてないってことはアイラは気づいてないの?
同性が、寝て起きたら異性になってるのって、かなりな事件だと思う。
くっつきあって寝てたし。
私?
私は、アイラと生き残るために何すれば良いのか考えたりとかでいっぱいいっぱいでそれどころじゃありませんでした。
……アイラも一緒か。
自己完結しつつ、彼女のもとに戻って、軽く周囲を探検しに行く。
「雪だけかと思ったけど、意外とそうでもないのね」
アイラの言う通り、穴から少し離れた場所には、意外なことに背の高い植物が群生している上に、小さな木立まである。
「食べれるものがあるかも?」
「生き残るためには大事よね。ちょっとずつ集めてみよっか。採ったやつは、”データストレージ”に放り込んで、穴に戻ってから”検索”ね」
”データストレージ”なんて、頭からすっぽ抜けてたよ。
「袋をとってこなきゃと思ってた」
そう呟きつつ、採れそうなものを手分けして集める。
ある程度集めたところで、大急ぎで穴へと戻って”トーチ”を連発。
そこにアイラが、消えていた明かりを投入する。
きっと、採ってきたものを確認するために必要だと思ったんだろう。
「じゃ、早速調べてみよっか」
穴の中が暖まってくると、さっさと防寒装備を脱いだアイラは早速”データストレージ”の中から採ってきたものを取り出していく。
「その前に、ちょっと水筒の中身を温めておかない?」
「あー……そうしてもらえると、めっちゃ助かる」
結局、十分かそこらしか外には居なかったんだけど、それでも体の芯まで冷え切っていて辛い。
風が通りづらい分、穴の中は外よりも暖かいんだなと納得。
水筒に入っていた麦茶を飯盒の中に移して、”トーチ”で作った火のそばに置いて温め始める。固形燃料は、別に使いどきがあるかもしれないからしばらく出番はない。
”火魔法”で対応できるうちは、そっちを優先的に使う予定。
魔力は寝れば回復するけど、物資はそうもいかない。
それはそれとして、後で雪を入れておく容器も作ったほうがいいかも。
暖を取るために火をつけるんだし、そばに置いておけばいつでも水が使える状態になる。どちらも無駄にならないし、素敵かも。
ついでに、お弁当も火のそばで温めつつ採ってきたものの確認を始める。
採ってきた植物は、どれも白~水色で見ているだけでも寒々しい。
「食べられるものがあるといいねぇ」
「ほんと、切実に……!」
食べれるものが身近にあれば、手持ちのお米を節約しなくても済むようになる。
ほんと、切実です……
””火魔法”の、レベルが、上がりました。新たに、”ホット”、を、使えるようになります”
意識が落ちる前に聞こえたのは、検索さんによく似た声のアナウンス。
軽くゆすられて、アイラの声で目が覚めた。
スッキリ爽快。
穴掘りを頑張って疲れていたはずなのに、びっくりするほど体が軽い。
「おはよう、アイラ」
「おはよ、レイちゃん。”水魔法”、使えるようになったよー!」
「すごい! 私も、寝る直前に”火魔法”がレベル2になった」
「すごいすごい」
起き上がって、互いの成果を確認し合う。
私の場合、寝る直前に上がったんだけど。
残念なことに”水魔法”で生み出せる水は飲むのには適さないらしい。
代わりに、植物の成長を早めてくれる効果があるそうで、アイラの”ファーム”スキルと相性が良さそうだ。
更に、アイラは随分と頑張って出入り口の拡張も終わらせてくれていた。
もう、感謝しかない。
「穴は広がったけど、代わりに道具はどれもお亡くなり」
「材料も土だけだし、また作ればいいよ」
そんな話をしつつ、早速、防寒装備を整えてから外へと繰り出す。
あんまり寒いと、耳や鼻がもげるって聞くし。
取れる対策なんて、タオルを頭と顔にぐるぐる巻く程度だけど、ないよりずっとマシはなず!
熱が逃げないようにと出入り口にぶら下げたレジャーシートをくぐり抜け、緩いS字型の通路を這い出た先は、アイラが最初に言っていたとおり、一面に広がる雪景色だ。
「これは……壮観」
「なんか、風の関係でこの辺りは雪が積もり辛いみたい」
そう言いながら、アイラは背後を見上げる。
彼女の視線を追いかけてそちらに視線を向けてると、そこには割と高めの山あった。
私達がいたのは、その山の裾にあるちょっぴり凹んだ部分にある横穴だったらしい。
「こっちに一応トイレを作ってみた」
そう言って彼女が指す先には、申し訳程度の高さの壁(?)に囲われたスペースがある。
どうやら、底に穴をほってトイレとして使う予定らしい。
早速使わせてもらったんだけど、そこで心臓が止まるほど驚いて、危うくお粗相してしまうところだった。
難は逃れたけど、何も言ってきてないってことはアイラは気づいてないの?
同性が、寝て起きたら異性になってるのって、かなりな事件だと思う。
くっつきあって寝てたし。
私?
私は、アイラと生き残るために何すれば良いのか考えたりとかでいっぱいいっぱいでそれどころじゃありませんでした。
……アイラも一緒か。
自己完結しつつ、彼女のもとに戻って、軽く周囲を探検しに行く。
「雪だけかと思ったけど、意外とそうでもないのね」
アイラの言う通り、穴から少し離れた場所には、意外なことに背の高い植物が群生している上に、小さな木立まである。
「食べれるものがあるかも?」
「生き残るためには大事よね。ちょっとずつ集めてみよっか。採ったやつは、”データストレージ”に放り込んで、穴に戻ってから”検索”ね」
”データストレージ”なんて、頭からすっぽ抜けてたよ。
「袋をとってこなきゃと思ってた」
そう呟きつつ、採れそうなものを手分けして集める。
ある程度集めたところで、大急ぎで穴へと戻って”トーチ”を連発。
そこにアイラが、消えていた明かりを投入する。
きっと、採ってきたものを確認するために必要だと思ったんだろう。
「じゃ、早速調べてみよっか」
穴の中が暖まってくると、さっさと防寒装備を脱いだアイラは早速”データストレージ”の中から採ってきたものを取り出していく。
「その前に、ちょっと水筒の中身を温めておかない?」
「あー……そうしてもらえると、めっちゃ助かる」
結局、十分かそこらしか外には居なかったんだけど、それでも体の芯まで冷え切っていて辛い。
風が通りづらい分、穴の中は外よりも暖かいんだなと納得。
水筒に入っていた麦茶を飯盒の中に移して、”トーチ”で作った火のそばに置いて温め始める。固形燃料は、別に使いどきがあるかもしれないからしばらく出番はない。
”火魔法”で対応できるうちは、そっちを優先的に使う予定。
魔力は寝れば回復するけど、物資はそうもいかない。
それはそれとして、後で雪を入れておく容器も作ったほうがいいかも。
暖を取るために火をつけるんだし、そばに置いておけばいつでも水が使える状態になる。どちらも無駄にならないし、素敵かも。
ついでに、お弁当も火のそばで温めつつ採ってきたものの確認を始める。
採ってきた植物は、どれも白~水色で見ているだけでも寒々しい。
「食べられるものがあるといいねぇ」
「ほんと、切実に……!」
食べれるものが身近にあれば、手持ちのお米を節約しなくても済むようになる。
ほんと、切実です……
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