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三章 救いの手、嫉妬
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「そうだ、一平見ますか?」
「ほおっ!そういえば見たことがなかったな!」
「…えーっと…あ、あった!」
「おおおっ!爽やかイケメンじゃねえか!」
「ですよねっ!ずるいなーって思ってます!」
「俺の彼は、こんなやつなんだぜ?」
「おおおっ!めっちゃ紳士っ!」
「こいつに会う時は、なんでだか甘えなくなっちゃんだよなー」
「分かりますよ、それ!俺もつい甘えちゃう…」
気持ちがまとまりを見せ、決意も出来た俺は、大輔さんと惚気大会を繰り広げていた。互いにいけない恋をして、誰かに言いたいのに誰にも言えずに日々を過ごす中、共感することが出来る同士の惚気は、本当は誰かにも聞いて欲しい心の声。
「そういえば、俺が飲んでいるカミカゼのカクテル言葉は、どういう意味があるんですか?」
一杯目のブルーラグーンを飲み干した俺は、二杯目に大輔さんが飲んでいたカミカゼを頼んでいた。そして、大輔さんの二杯目はグランドスラムというカクテルだった。
「カミカゼのカクテル言葉は『あなたを救う』」
「…えっ?」
「同じ苦しみを味わっている君の力になりたい、何かあればいつでも声をかけて欲しい。君は独りじゃないんだ、って伝えたかったのかもな?」
「大輔さん…」
この人はどこまで出来た人なのだろう…でも、俺にとってあなたは、なくてはならない心の支えとなる大切な人に変わりはない。
「ははっ!ちょっとくせぇなぁ!」
「そ、そんな事ないです!本当にありがとうございます!」
「んなら良かったよ!んで、このグランドスラムのカクテル言葉は、もっと激アツなんだぜ?」
「げ、激アツ…?」
「ああ、グランドスラムのカクテル言葉は…」
『二人だけの秘密』
俺と一平、そして大輔さんと彼との関係。
二人だけの秘密、そしていけない恋。
それを物語るカクテルこそがグランドスラム。
でも、いけない恋が全ていけないわけでもないことは整理がついたこと。
二人だけの秘密だとしても、素直に愛し合っている秘密をこれからも大切にしていければ、きっとそれだけで幸せで、いつかしっかりとした道が見つかると、そう信じているから。
「ほおっ!そういえば見たことがなかったな!」
「…えーっと…あ、あった!」
「おおおっ!爽やかイケメンじゃねえか!」
「ですよねっ!ずるいなーって思ってます!」
「俺の彼は、こんなやつなんだぜ?」
「おおおっ!めっちゃ紳士っ!」
「こいつに会う時は、なんでだか甘えなくなっちゃんだよなー」
「分かりますよ、それ!俺もつい甘えちゃう…」
気持ちがまとまりを見せ、決意も出来た俺は、大輔さんと惚気大会を繰り広げていた。互いにいけない恋をして、誰かに言いたいのに誰にも言えずに日々を過ごす中、共感することが出来る同士の惚気は、本当は誰かにも聞いて欲しい心の声。
「そういえば、俺が飲んでいるカミカゼのカクテル言葉は、どういう意味があるんですか?」
一杯目のブルーラグーンを飲み干した俺は、二杯目に大輔さんが飲んでいたカミカゼを頼んでいた。そして、大輔さんの二杯目はグランドスラムというカクテルだった。
「カミカゼのカクテル言葉は『あなたを救う』」
「…えっ?」
「同じ苦しみを味わっている君の力になりたい、何かあればいつでも声をかけて欲しい。君は独りじゃないんだ、って伝えたかったのかもな?」
「大輔さん…」
この人はどこまで出来た人なのだろう…でも、俺にとってあなたは、なくてはならない心の支えとなる大切な人に変わりはない。
「ははっ!ちょっとくせぇなぁ!」
「そ、そんな事ないです!本当にありがとうございます!」
「んなら良かったよ!んで、このグランドスラムのカクテル言葉は、もっと激アツなんだぜ?」
「げ、激アツ…?」
「ああ、グランドスラムのカクテル言葉は…」
『二人だけの秘密』
俺と一平、そして大輔さんと彼との関係。
二人だけの秘密、そしていけない恋。
それを物語るカクテルこそがグランドスラム。
でも、いけない恋が全ていけないわけでもないことは整理がついたこと。
二人だけの秘密だとしても、素直に愛し合っている秘密をこれからも大切にしていければ、きっとそれだけで幸せで、いつかしっかりとした道が見つかると、そう信じているから。
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