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Esperanza 一章 見えない想い、見えない不安

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 ──クリスマスまで一ヶ月を切ろうとしていた頃。俺は一平へのクリスマスと誕生日のプレゼントをそれぞれ、どうしたらいいかと頭を抱えていた。

 クリスマスを共に過ごすことと、君の誕生日を祝うことは簡単であっても、プレゼントとなると二つ用意する必要があると考えていたからだ。

『何年経っても一緒くた』
『優太さんが生まれて初めてです』

 君のこの言葉を聞いた以上、手は抜けない。いや、抜こうとも思わないし、君の生まれて初めてを心から喜べるものにしてあげたいから。

 とはいえ、いけない恋をしている訳だから、形に残るようなものは、プレゼントとして適さない。そう、この関係がバレてしまうようなものを君にあげることは出来ないという、このなんとも言えない歯がゆさ。

 う~ん…と悩んでいたその時、俺はいいアドバイスが貰えないかと、ある人へと咄嗟にメールを送っていた。

《大輔さん、こんばんは》
《おう!お疲れっ!んん、優太くんから連絡なんて珍しいな。なんかあったのか?》
《実は、彼へのクリスマスプレゼントと誕生日プレゼントに悩んでいて…》

 普通の恋ならなんにも悩むことも無く、君が喜びそうなものを選んだり、二人だけの特別なものを選んだり出来るのに、今の俺たちにはそれが出来ない。その気持ちを一番に汲み取ってくれるのは、俺たちと同じ気持ちを抱く大輔さんだ。

《うん、なんとなく悩んでる意味が分かった》
《察しが早くて、ありがたいです。すげぇ考えてるんですが、いい物が思いつかなくて…》
《バレないようにだもんな?う~ん、優太くんは何もなければ、どんなものをあげたい?》
《何もなければ、お揃いのものとか、そのものを見た時にお互いを思い出せるような…うわ、自分で言っててちょっとロマンチック過ぎて、痒い》
《ははっ!恋してんなぁ!それなら、お揃いのものを買えばいいんだよ!》
《そ、それが出来ないから困ってるのに…!》
《ほら、もっと頭を柔軟に!君たちは社会人だぞ?身につけるもの以外で傍にいられるものなんて、沢山あるんじゃないのか?》
《しゃ、社会人として…?》
《ああ、そのプレゼントなら自然と身につけていられるし、怪しまれることも少ないはずだ》

 んん?社会人で身につけられるもの…?
 恋人同士で身につけるものばかりを探していた俺に対して、二人のいけない恋がバレないようにとアドバイスをくれる大輔さん。

 社会人として、身につけることが出来るものとはどんなものなのか。そして、そのものこそがどんな時でも二人を繋ぎ、頑張れる活力に繋がるものになるのかと考えていたけれど、大輔さんから繰り出される大人のレクチャーを受け、俺は君へ心を込めて送るプレゼントを選びに行くと決めることが出来たんだ。
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